テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【笑うあの子の裏事情】
Episode.19 居場所
《🎼☔️side》
……いたよ。
ちゃんと。
そこに。
玄関。
扉が開く音。
冷たい空気。
白い息。
🎼☔️「……」
影の奥。
廊下の、電気の届かないところ。
壁に、背中をつけて。
息をひそめて、 見てた。
まにき…。
声には、出さない。
出したら、 終わる気がして。
「いるま?!よかった、無事だったのね」
「心配したんだぞ」
……ああ。
やっぱり、 そうなんだ。
胸の奥が、少しだけ痛くなる。
でも。
そんなの、もう慣れてる。
🎼☔️「……」
でも。
目は、離せなかった。
ちゃんと帰ってきた。
無事だった。
それだけで───
🎼☔️「……よかった」
心の中で、呟く。
本当は、 言いたかった。
ちゃんと、顔見て。
「おかえり」って。
でも、 無理だった。
🎼☔️「……」
足が、動かない。
声が、出ない。
怖い。
また、何か言われるんじゃないかって。
また、比べられるんじゃないかって。
それより───
🎼☔️「……」
目が、合ったら。
逃げられなくなる。
それが、怖い。
🎼📢「……こさめ?」
呼ばれた。
小さく。
でも、はっきり。
名前。
🎼☔️「……っ」
心臓が、跳ねる。
見つかった。
でも───
動く。
反射で。
ササッ、と。
影の奥へ。
音を立てないように、 息を止めて。
逃げる。
🎼☔️「……」
ごめん。
心の中で、言う。
🎼☔️「……」
でも、 止まれない。
足が勝手に動く。
逃げる方に。
🎼📢「こさめ!」
聞こえる。
声。
近づいてくる足音。
🎼☔️「……っ」
階段の横。
狭いスペース。
物が置いてある影。
そこに、しゃがみ込む。
体を小さくして。
息を、殺す。
🎼📢「こさめ’’!」
すぐ近く。
すぐそこ。
でも、 動かない。
動けない。
🎼☔️「……」
痛い。
体も。
でも、それより。
胸の方が。
ずっと痛い。
🎼☔️「……」
やっと見つけたのに。
って、思ってるのかな。
怒ってるのかな。
呆れてるのかな。
🎼☔️「……」
違う。
分かってる。
まにきは、 そんな人じゃない。
でも───
🎼☔️「……怖い」
小さく、口が動く。
音にならないくらいで。
🎼☔️「……」
見つかったら。
何か、言わなきゃいけない。
でも、 言えない。
何も。
🎼☔️「……」
しばらくして。
足音が、遠ざかる。
ドアの音。
開く音。
閉まる音。
🎼☔️「……」
静かになる。
🎼📢「……いない」
ぽつりと。
小さく呟く。
🎼☔️「……」
いたよ。
ちゃんと。
見てたよ。
帰ってきたとこも。
顔も。
全部。
🎼☔️「……」
ぎゅっと、自分の服を掴む。
震えが、少しだけ来る。
寒いのか。
怖いのか。
分からない。
🎼☔️「……おかえり」
やっと、出た言葉。
誰にも聞こえない。
届かない。
小さな声。
🎼☔️「……」
でも。
それでいい。
今は。
それで、いい。
🎼☔️「……」
ゆっくりと、目を閉じる。
暗い場所。
狭い空間。
でも。
少しだけ、落ち着く。
🎼☔️「……」
俺、弱いな。
ほんとに。
分かってる。
でも。
🎼☔️「……無理、だった」
ぽつりと、こぼれる。
あの時。
出ていけなかった。
声も、かけられなかった。
ただ、隠れて。
見てることしか、できなかった。
🎼☔️「……」
静かな夜。
誰にも見つからない場所で。
こさめは、小さく息を吐いた。
《🎼📢side》
部屋。
静かすぎる。
さっきまでの空気も、もう残っていない。
🎼📢「……」
2段ベッド。
上に、俺。
下は───
こさめの場所。
🎼📢「……」
視線を落とす。
毛布。
整えたはずなのに、どこか“使われてた感じ”が消えない。
でも、 いない。
🎼📢「……」
分かってる。
最初から。
いないって。
いる時の方が、珍しい。
帰ってくる方が、珍しい。
🎼📢「……」
ベッドに腰を下ろす。
軋む音。
少しだけ響く。
静かすぎるから。
🎼📢「……」
そのまま、上に登る。
いつもの場所。
いつもの視界。
変わらない天井。
🎼📢「……」
布団に入る。
でも、眠れない。
目は閉じる。
けど。
頭の中が、うるさい。
🎼📢「……」
さっきの影。
あの一瞬。
確かに、いた。
🎼📢「……」
なんで出てこない。
なんで逃げる。
なんで。
🎼📢「……」
考えても、答えなんて出ない。
分かってる。
でも。
止まらない。
🎼📢「……」
寝返りを打つ。
ギシ、と音が鳴る。
下を見る。
暗い。
何も見えない。
🎼📢「……」
昔は。
ここから、話してた。
どうでもいいこと。
くだらないこと。
🎼📢「……」
今は。
何もない。
🎼📢「……」
目を閉じる。
無理やり。
意識を落とすみたいに。
*
浅い眠り。
何度も目が覚める。
時間の感覚が曖昧になる。
夢も見た気がする。
でも、覚えてない。
ただ、 落ち着かない。
ずっと。
***
朝。
目が開く。
🎼📢「……」
変わらない天井。
同じ色。
同じ光の入り方。
同じ匂い。
🎼📢「……」
体を起こす。
ゆっくり。
頭が重い。
🎼📢「……」
下を見る。
2段ベッド。
下。
こさめの場所。
🎼📢「……」
やっぱり、いない。
最初から分かってたみたいに。
当たり前みたいに。
🎼📢「……」
何もない。
誰もいない。
🎼📢「……」
目を逸らす。
見てても意味ない。
分かってる。
🎼📢「……」
はしごに足をかける。
降りる。
床に立つ。
冷たい。
🎼📢「……」
机。
ふたつある。
ひとつは、整ってる。
もうひとつは。
物が積まれてる。
本。
プリント。
使ってないもの。
まるで。
🎼📢「……物置」
ぽつりと呟く。
誰も使わない場所。
置いてあるだけの場所。
🎼📢「……」
近づく。
指で、少し触る。
埃は、そんなにない。
誰かが、たまに触ってる。
でも。
使ってない。
🎼📢「……」
手を離す。
🎼📢「……」
部屋の中。
静か。
変わらない。
でも。
どこか、歪んでる。
🎼📢「……」
居ない、っていうより。
🎼📢「……」
口が動く。
言葉になる前に、少し止まる。
🎼📢「……居ていいのか」
小さく、呟く。
誰に向けてでもない。
ただ、浮かんだ言葉。
🎼📢「……」
ここに。
この部屋に。
この家に。
あいつが、いていいのか。
🎼📢「……」
分からない。
あいつも、分かってないと思う。
だから。
帰ってこない。
帰ってきても。
隠れる。
逃げる。
🎼📢「……」
拳を、少し握る。
🎼📢「……」
分かんねぇよ。
どうしたらいいか。
どうすれば。
あいつは───
🎼📢「……」
そこまで考えて、やめる。
考えても、無駄だ。
いつもそうだ。
答えなんて、出ない。
🎼📢「……」
制服に手を伸ばす。
着替える。
いつもの動き。
いつもの流れ。
体は、勝手に動く。
🎼📢「……」
首元を整える。
鏡を見る。
いつもの顔。
何も変わってない。
🎼📢「……」
でも、 少しだけ。
目が、違う気がした。
🎼📢「……」
視線を外す。
ドアに向かう。
🎼📢「……行くか」
小さく呟く。
部屋を出る。
振り返らない。
振り返っても。
何も変わらないから。
🎼📢「……」
ただ一つ。
頭のどこかに、残ってる。
あの一瞬の影。
あの気配。
🎼📢「……」
いたんだよな。
確かに。
🎼📢「……」
ドアが閉まる。
カチ、と音。
部屋はまた。
誰もいない場所に戻った。
next.♡1000
コメント
6件
もうなんか泣きそう🥺 微妙な距離感やすれ違いがあるから余計近づけないよね😭😭 続き気になる🫣💕
兄弟喧嘩という訳では無いけど、兄弟特有のすれ違いが起こってるんだね😭 存在があって、でもそばにいるようでいない。 その絶妙な距離が、2人を離してるのかな…… 続き、楽しみにしてるねん🫶🏻💕︎︎🙂🎐
1,616
8,382