テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Strayrabbit
⚠文ストキャラがメイド化
「はぁぁッッ!?」探偵社に響き渡った大声はあまりにも珍しい人の声だった。
「しゃ、社長…どうして私が…、」
絶望と混乱で顔が真っ青になっているのは探偵社員の太宰治だ。
そんな太宰を1目も見ず、社長代理の乱歩は話し進める。
「ここは特殊な異能の人材派遣会社だ。探偵社でも使える人材は揃っているけど…その会社の長がどうも厄介でね。」
ええ…っと思わず声を出す太宰治を横に疑問を持った中島敦が話に入る。
「えっと、因みになんですけど…その長と、今回の依頼と調査人の太宰さんとは…どんな関係があるのでしょうか…?」
その疑問を聞いた瞬間、太宰は大袈裟に椅子から崩れ落ちた。どうやら自分でしかこの依頼は受けれないと悟ったらしい。その音を聞く気もしない乱歩さんはニヤリと笑う。
「その長なんだけど、どうやら若い女性を誘拐し、自分のメイドとして傍に置かせてるんだって。」
椅子から落ち、地面で顔を覆う様に寝っ転がった太宰が口を開く
「私じゃなくても…出来るじゃないですか…鏡花ちゃんとか…敦くんとか…。」
弱々しい声でちゃっかりと後輩を売ったな…と横の敦は思い、溜息をつく。
「でも、鏡花ちゃんと敦はまだまだ未熟な探偵社員だよ〜?ここは先輩の善い所見せないとねー。それと依頼には絶対受けないといけないから。」
じゃあよろしく、と乱歩は他人事のように会議室から出て行ってしまった。
他の探偵社員も話し合いが終わり、颯爽と帰っていく。
「珍しいですね、太宰さんが依頼されてこんなに嫌がるの…」
と、敦は呟く。其れに反応したのか太宰は暗い表情でムクリと起き上がる。
「当たり前じゃあないか…潜入捜査は未だ善いものの…私が……この…私がッ……」
太宰は頭を抱え込み、小刻みに震える。
「メイド服を着るなんてッッ…、、」
その言葉に敦はえっ…と声を漏らした。慥かに乱歩さんの説明にも女性を誘拐し、メイドとして傍に置かせている…っていう説明はあったが…太宰とメイド服の組み合わせは流石に目も塞ぎたくもなる。同情なのか解らないが、取り敢えず敦は太宰に声をかけようとしたが、太宰が呟く。
「いやぁー、困っちゃうなぁー…こんなイケメンが、メイド服なんて着てしまったら……似合うに決まっているじゃあないかッッ!!!」
吹っ切れたのか太宰も颯爽と会議室から出て行ってしまった…。
「はぁ…相変わらず読めない人だなぁ…。」
と、関心すら覚えた敦も、続いて会議室を出た。
─次の日─