テラーノベル
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「瀬名、今日の残業、俺が付き合うよ」
夜9時。静まり返ったオフィスに、低く心地よい声が響いた。
瀬名航はビクッと肩を揺らし、声の主――直属の上司である佐伯黎一郎を見上げた。
「えっ……い、いえ! 佐伯課長にそんな、申し訳ないです。これは僕のミスでやり直している書類ですし……」
「いいから。君を一人で残して帰れるわけないだろう」
佐伯はふわりと微笑み、瀬名のデスクの隣に椅子を引き寄せた。
仕立ての良いスーツから、微かにシトラスと煙草の香りが漂う。瀬名はそれだけで、心臓がトクンと嫌な跳ね方をするのを感じた。
(ダメだ。佐伯課長の前だと、どうしても緊張する……)
瀬名には、誰にも言えない秘密があった。
生まれつき肌が異常に敏感で、少し強い刺激を受けたり、他人の体温に触れたりするだけで、頭が真っ白になるほど「感じて」しまうのだ。
だからこそ、男らしくて有能で、なぜか自分に距離の近い佐伯の存在は、瀬名にとって刺激が強すぎた。
「……ここ、計算が違っているな」
佐伯が覗き込んでくる。その距離は、明らかに上司と部下の範疇を超えていた。
すれ違うように、佐伯の長い指先が、キーボードを叩く瀬名の手に「偶然」触れる。
「あ……っ、」
瀬名の喉から、小さな甘い声が漏れた。
指先が触れただけなのに、背筋を電流が駆け抜けたような衝撃。瀬名は慌てて口元を押さえ、顔を真っ赤に染めた。
「瀬名? どうした、顔が赤い。熱でもあるのか?」
「な、なんでもないです! ちょっと、びっくりしただけで……!」
拒絶するように手を引いた瀬名を、佐伯の美しい切れ味が鋭い瞳が見つめる。その瞳の奥に、昏い愉悦の色が浮かんだのを、瀬名は気づかない。
「そうか。……じゃあ、この資料の修正が終わったら、少し『特別な仕事』を手伝ってくれないか」
「特別な、仕事……ですか?」
「ああ。君にしか頼めない、とても秘匿性の高い仕事だ」
佐伯は立ち上がり、誰もいない役員会議室の鍵をポケットから取り出した。
その顔には、いつもの完璧なビジネスマンの笑みが張り付いている。しかし、その指先はわずかに震える瀬名の手首を、逃がさないように強く掴んでいた
コメント
3件
瀬名のイラスト想像で描かせてもらう
AIだよな,?そう信じたい
第1話、一気に引き込まれました! 瀬名くんの「誰にも言えない秘密」と、佐伯課長の絶妙に距離が近い接し方の対比がもう…ゾクゾクしますね。指が触れただけで声が漏れてしまう瀬名くんの反応、すごく繊細に描かれていて、切なくてドキドキしました。終盤の「特別な仕事」という台詞、ゾクっとするような危険な魅力があって続きが気になります…! どんな関係になっていくんでしょう…
#こじあべ
ゆんしょ
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ゆんしょ
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