「」〇〇『』りょうた
僕の幸せの原因は、、、君だった。
君の全てが、、、僕の全てだった。
その全てが、、、一瞬で崩れるなんて。
窓から差し込む光で顔を隠し
隣を見ると、君はスヤスヤと寝ている。
『かわいい、』
その一言を君に問いかけ、ベッドを離れる。
…
寝室から布団のこする音が聞こえ
目を向けると
フワフワとした顔で君は僕に近づく。
「おはよぉ、」
習慣になっている、目覚めのハグ。
いつの間にかこのハグが1日の始まりになっていた。
…
『〇〇?』
「んー?」
『どっか行こっか』
「えー?」
『デート』
「めずらしぃ」
『いいから、行こ?』
「わかったぁ」
「用意してくるー」
『うん、笑』
…
いつもの僕は、君といる時
ずっと一緒にいたいからって外には出ないのに
なんでこの日、デートなんて、、。
…
『んじゃあ、行こっか』
「うん!」
「でも、どこ行くの?」
『んー?』
『色んなとこ行こ?』
…
少しの間、2人で色んな場所を歩き続けて
あるお店に目を向けた
雑貨屋さんだ。
『ここ入る?』
「色んなのありそ〜!入ろ入ろ!」
…
僕は雑貨を手に取り、近くのソファーに腰をかけ
君も腰をかけた。
『えーなんかすごいなぁ、』
「初めて見るそれ」
『なんだろ笑』
「よく分かんないね〜」
『そうだね笑』
君は、ソファーから立ち上がり
お店をうろちょろ。
そんな姿も愛おしい。
「あ!なんかメガネある!」
『えー?』
「青色と色ついてるレンズのある!」
「かけてみて!」
『え似合うかな笑笑』
言われた通りメガネをかける。
「似合う似合う!」
『ほんと?笑』
照れ隠しでドヤる僕に微笑みを向けてくる君。
かわいいな。
またソファーに座り、近くにあった
観葉植物で顔を隠す君。
『なにしてんのー?』
「見ないでー」
『なにしてんの笑』
「やめてー」
全ての行動、、、好きだな。
雑貨屋さんにあった、小さいカメラを買って
ご機嫌になった僕。
『こっち向いてー』
「ん?」
パシャッ
「えちょっと!」
「撮らないでよー」
『いいじゃん?かわいい』
「ならいいけど笑」
橋を渡った時、君のスマホに着信が。
「わかった、ちょっとまっててね!」
『どしたの?』
「お母さん、熱出ちゃったみたいで」
「今家に1人なんだって!」
『えそれは帰んないとだね、』
『俺も行くよ』
「あ、大丈夫大丈夫!」
『え、でも、』
「すぐ帰るから!大丈夫だよ!」
「気をつけて帰ってね!」
『う、うん、分かった』
「〇〇も気をつけてね?」
手を振る僕。
階段を上り、反対方向に向かう君。
なぜか僕は、カメラを向け、ボタンを1回。
時刻は17時。
…
時刻は21時。
僕のスマホに着信が。
『はい?』
(長野凌大様のお電話で間違いないでしょうか、)
『はい、』
…
『え、』
家を飛び出し、病院へ向かう。
『長野凌大です、』
(こちらです。)
案内をされた場所に入ると
君の顔に白い布がかけられていた。
『な、んで、、』
『なんで、、、』
『〇〇、、』
『〇〇、!!!』
『目、覚ましてよ、』
『なんで、、、』
君の名前を呼んでも
いつものような笑顔もなく
僕の名前を呼ぶ声もない。
体も冷たく、唇の色も薄い。
…
僕と離れたあの時間。
君は、階段を降りてすぐに
居眠り運転だったトラックにぶつかった。
頭を強く打ち、病院に搬送された後
死亡が確認された。
僕はその事実を認められず
約3年が経った。
毎日、君との思い出の地を歩いた。
あの日、外に出ていなければ
無理やりにでも君について行ってたら。
もう戻ることのない日々。
思い出として、一生の記憶として、残る。
終わりの始まりとなったこの階段。
君に手を振ったこの場所。
後ろから
「りょうた!」
僕は無意識にカメラを向け、ボタンを1回。
君がいる気がした。
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