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緑水サマ注意
地雷サマ🔙
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雨が降る。それはなんだか寂しくて、少し悲しくも感じる。
星はなく、ただ雲が空を覆い、心を閉ざしているような。
今は会社の帰り。
うちはブラックで 上司から仕事を押し付けられるのはいつも通り。
毎日残業沙汰で、家に帰るのは夜中の12時過ぎ。
『もぉ…こんな会社辞めたい…』
そう夜中の暗い歩行者用の道で呟く。
雨が降っているからか、余計に悲しくなる。
『傘も持っていないから今日はほんとについてないなぁ………』
そう。雨が降っているにも関わらず俺は今傘を持っていない。
だから、スーツはびしょ濡れで髪も雨の雫がぽたぽたと落ちている。
「おにーさんっ」
『んっ?!』
急に目の前に小さな男の子が傘を差し出してきた。
「こんな雨で悲しい顔してちゃ駄目だよ」
それは太陽のような眩しさで疲れていたことも吹き飛ばされそうな笑顔だった。
『まぁそうなんですけど………、いや…あの…あなた濡れちゃってますよ……』
傘を差し出した彼はすごく濡れている。
「いやいやー大丈夫大丈夫、こさめは梅雨の妖精だから!!」
『風邪引きますよ?!』
「惹かないってば〜!!」
こういうやり取りとりをして約3分。
なぜか彼入りたがらない。彼、いや自分自身のことをこさめと読んでいたからおそらくこさめと言う名前だろう。
『だーめっこさめちゃんも入って!!』
強引にこさめちゃんを傘の中に入れる。
「なんでこさの名前………」
『さっきこさめって言ってたから、名前こさめかな〜って思って』
「ふーん、じゃあ君の名前は?」
『俺はすち。』
「じゃあすっちーね。」
『うん』
そこからは会話が少しだけなくなった。
ただ雨の音がするだけ。
オレはなにか言わなきゃと焦る。
するとこさめちゃんが口を開く。
「ねぇすっちーはさ、なんでこんな時間に居るの?」
『うーん…俺は会社がブラックでさぁ。残業でいつもこんな時間に帰るんだ』
なぜかこさめちゃんにはこんなことが話せる。
なぜだろうと疑問を抱いてしまう。
「すっちーもたいへんだねぇ」
『大変なんだよぉ…』
『………そういうこさめちゃんはなんでこんな時間に居るの?』
「こさめはぁ…」
話していた途中で数秒間間を開ける
「雨を降らしにね。」
これは本当なんだろうか?
普通の人間は雨を降らすなんてことは出来ない。
こさめちゃんは嘘を付いているのだろうか?
『雨?』
「そう」
『それって本当なの?』
「うん」
「だけど雨を嫌う人結構いるから、ちょっと悲しい時もあるんだ」
『じゃあ雨をやませることも出来る?』
「うんできるよ」
「やって見せようか?」
『見たい!!』
こさめちゃんは軽く笑った。
そして心を落ち着かせているみたいで、手を組み、なんだか願っているように見えた。
その光景はあまりにも美しかった。
さらさらとした髪、まつ毛は長く街灯に照らされきらきらとひかり、こさめちゃんの髪が風でふわっと浮かんだ。
暗い雨雲から、雲は消えていき、雲から星空が出て、とても綺麗だった。
『ふわぁ凄い!!』
『こさめちゃんって本当に梅雨の妖精だったんだね!!』
「ふふん凄いでしょ〜」
こさめちゃんは得意げに笑った。
「さっそろそろ帰らないと。」
『えっ…』
「消えちゃうからね。」
『俺まだこさめちゃんと一緒にいたい。』
「ごめんね。ほらもうお腹ぐらいまで来てるから」
見てみると、こさめちゃんのお腹まですべてが透けていた。
止まることなく進んでいく。
『こさめちゃんとまだお話したいよ』
今日初めてあったばっかりなのになんだか懐かしく思える。
「大丈夫また会えるよ」
こさめちゃんは泣きそうな涙を拭いて笑った、
そして、俺も涙を拭いて。ハグをした。
『また会おうね』
「分かってる」
「『 また_ 。 』」
コメント
2件
雨の時しか会えないの切ないですなぁ、、、