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考察厨の自分、“煙草の匂い”が出た時点でまず『代用品』が思い浮かびました。俺がトップオタだ 143…143…??足して8になって8は横にすると∞だから2人の未来は無限に広がることの暗示、、とか、、?? 代用品と繋がりがあるとしたら語り手の違いかな、?代用品は中也で残り香は太宰視点的な あと6周するか……
太字で書いてある『代用品』、そして『残り香』。 143という数字。 少々仕掛けを作っておりますので、よければ考察してくださると嬉しいです。 正解は返信欄にて。
煙草の匂いは、嫌いじゃない。
唯、ほんの少し、癪なだけ。
部屋に入ったら直ぐに判る残り香。
火は点けていないのに、空気に残る “ 其れ ” 。
中也が此処に居る証拠。
そして____
____今日も “ 代わり ” が見つからなかった証拠。
「 ……相変わらずだなぁ 」
硝子越しに見る彼の背中は、雄弁に語っていた。
寂しさ、切なさ、空白。
けれども、彼は気付いていない。
……否、きっと、気付いていない振りをしているだけだ。
「 ……今日は、何本吸ったの? 」
漸く満足したのか、夜風から身を引いた中也に声を掛ける。
『 ……別に、今日も一本だけだ 』
嘘だ。
本当は、二本吸っている癖に。
「 ……そう 」
私は、察している。
お得意の善く回る狡賢い頭には、手に取るように判る。
中也が煙草を吸う理由。
くすむ煙の中に見ているモノ。
「 ……上書きしよっか 」
『 ……あ? 』
「 中也が煙草を吸うの、格好悪いからさ 」
“ 君なら、此の意味が判るだろう? “
なんて、誰よりも臆病で卑屈な私は、中也の心臓を触るような言葉は云わない。
『 ……何云ってんだ、手前 』
「 代用品にも、飽きてきただろう? 」
一歩、また一歩、指五本分の距離を詰めていく。
シャツに染み付いたヴァージニアの湿度が濃くなって、思わず目を細める。
「 七年だよ、中也 」
『 …… 』
期待と困惑。
哀愁と歓喜。
ねぇ、中也、
もう、判っただろう?
『 ……相変わらず、憎たらしい野郎だ 』
「 そう云い乍ら、肩を預けてるのは誰だっけ 」
『 ……143本分だぞ? 』
「 知ってるよ 」
ぐい、と肩を抱き寄せると、
情欲に溺れかけの目と絡み合う。
きっと、其れは私も同じだ。
「 煙草の匂いは直ぐに消せるけど…… 」
「 私の匂いは、簡単には消えないよ? 」
『 はッ、散ッ々焦らしやがったんだ 』
『 手前こそ、離すんじゃねぇぞ 』
「 ふふ、勿論 」
肌から外套まで染み付いたヴァージニアの匂い。
灰色の煙の匂い。
代用品の香り。
残り香を埋め尽くす程の、
私の143本分の煙草を、
君に。