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20
#甲斐田晴受け
チーズスフレ🧀※低浮上
616
書き始めはあの日。太陽が燦々として私を照らしていた。常葉樹の深緑の林が私をかざしてカラッとした夏の空気を肌に触れさせた。見たことない場所で私は小麦色の椅子に座っていた。ぼーっとして目が焼き切れそうな太陽を見上げていたところを、あなたは話しかけた。
「こんにちは」
って。大きな声が頭の上から聞こえて私は上を向く。すると太陽を反射したシルバーグレーの天然パーマがかった髪に私を映した透き通るような瞳。名を甲斐田と言った。
「君の名前は?聞いてもいい?」
と何故か笑いながら言うので、私は名前を言おうとした。けれど…
名前が出てこない。空っぽのビーカーのように、名前どころか、今まで何をしていたかとか、私の好きなものとか、全部わからなくなっていて。
空いた口が塞がらないまま数秒の沈黙が流れたあと、「だよね」と、また彼は笑ったのである。「なぜそんなに笑うのか」と彼に問うて見ても、「いいや」「なんでもない」と彼はまた笑う。問い続けるのを諦めて、彼に主導権を投げる。
「君ってもしかして記憶喪失なんじゃない?」
そう言った。そんなわけ、 と思うものの、確かに自分の名前さえもわからず、ここもどこなのか分からない。それなら確かに記憶喪失なのも当たり前か、と思い
「そうかもしれませんね」
と言う。初めて言葉を発した自分に驚いたのか、彼はよりその大きな瞳に映る私を大きくした。どう反応したらいいのか、眉間に皺を寄せていると彼はまた笑うが、その笑いは即席のものに見えた。
「わかった、じゃあ君の名前はニアね」
そう言うと私の左の方に重みが付く。左肩に手を置かれていた。了承の意思を表すべく、頭を下に動かした。
「立って。僕の家に来なよ。」
そう言って彼は私の手を取って歩き始めた。彼の手は大きかった。
林を抜けると芝生が顔を出した。草原だ。
先ほどとは違う爽やかな風が握られた手の間に吹いた。彼を見上げると彼と目が合って、目を無くして笑う。
「もうすぐだよ。」
どうして笑ってるのか、なんで笑ってるのか、分からなかったけど、そのひとの性分としてもう私の中に刻み込まれてしまったような気がした。
彼の家らしき場所にたどり着く。いやいえ、と言うよりは屋敷っぽさか。白い壁に小麦色の屋根。長方形の窓から中を見ると紙の束が散乱している。私が怪訝そうに見ていると、彼は照れたように笑い、繋いだ手とは違う手で後頭部を掻く。
「あはは、いやぁ〜片付け下手なんだよねぇ」
だからなんだ、と言うべきだがその散らかりように声も出てこなかった。目も当てられない、と言うべきか。そんな様子を見かねてか、彼は
「とりあえず入らない?外で話すのもあれでしょ。」
と言う。あれ、とはなんだかわからないが手を引かれるままに私の足は進んでいる。これからここで何が起こるのか、どうなっていくのか。わかりそうもない。
伸びなさすぎて死ぬ( ᴖ⩊ᴖ💧
ハートお願いします〜
文字数足りないかな
コメント
1件
うわあ、冒頭からすごく引き込まれました…!記憶も名前もない「私」が、甲斐田さんに「ニア」って名づけられるシーン、彼の軽やかで不思議な笑い方に「この人、何か知ってるな?」って既に勘繰ってしまいます。林から屋敷への移行も映像が浮かぶようで、これからどんな秘密が待ってるのか、続きが気になって仕方ないです!