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玄関の前に着くと、悠真が足を止めた。
「……じゃあな。亮には調味料ちゃんと渡しとけよ」
「はい。ありがとうございました」
自然に頭を下げると、悠真は軽く手を振って歩き出した。
その背中が角を曲がって見えなくなるまで、咲は立ち尽くしていた。
胸の奥で、言葉にできない感情がじわじわ広がっていく。
(……昨日より、少しだけ近づけた気がする)
鞄を抱きしめたまま家に入り、階段を上がる足取りは妙に軽かった。