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めちゃつえー単話集③

第6話 - 🐺✕🐙 I wanna be with you.

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2025年12月20日

#にじさんじBL

#めちゃつえー

#MECHATU-A

鯱

⚠注意喚起⚠

nmmn,rurb要素

こちらは完全二次創作のためご本人様には一切関係ございません

年齢・関係性・二人称など全て捏造

全てhsrb視点で約5500字。

中華パロで2人とも2周年衣装の想定です。

情報屋のhsrbがターゲットのkyngにハニートラップをしかけるお話

↓以下伏字なし

繁華街の大通りを3つほど逸れた薄暗い路地。目的の建物に入りエレベーターで地下に降りる。その扉が開けば、目が痛くなるほど下品に輝くライトの灯った入り口が見えた。入り口の横にはマフィアの管轄内を示すマークが掲示されており、こんな場所でも脱法ではないのか…なんてぼんやりと思う。

マフィアの統治するこの荒んだ街では、真っ当に生きることもままならない。俺の情報屋という職も真っ当……とは到底言えないような仕事である。今日もターゲットにすり寄って、油断させて、依頼された機密情報を喋らせるためにここに来ているのだ。

店に入る前にゆるく三つ編みに結んでいた髪を解いて手ぐしで整えた。今回のターゲットは男性だから、経験上三つ編みよりも下ろしていたほうが好まれるのを知っている。

カラーグラスも俺は気に入っているが男性……特に若い男性にはあまりいい顔をされないので外しておく。顔をよく見たいから外してくれ、だとか言われるのはもう慣れたものだ。

人間なんて所詮欲に忠実な生き物で、そこに男女も年齢も違いなんてない。ちょっと甘い声で囁いて、ちょっと真剣な顔をして、ちょっと心を許したふりをすれば簡単に思い通りになってくれる。人より少し顔の整っている俺にとって、ハニートラップはこの世の何よりも簡単な生きるための手段だ。

カランカランと音をたてて開いた扉の先は紫のライトで照らされていて、広い空間では人々がまばらに点在していた。写真で見た通りの若いオーナーからモクテルを受け取り、室内を見回して今回のターゲットを探す。

匿名で依頼されたため、今回の事前準備はメールのやり取りで進めてきた。どこかの組織のボスが相手らしいが素性はおろか名前さえも分からないのでそこは特定しようがなかった。たった数枚の写真を頼りにするしかない今回の依頼は、その彼についてとにかくなんでも情報を集めろとのことらしい。

……いた。

部屋の端で低めのソファーに腰掛けるターゲットの姿をしっかりと目視で確認する。青灰色の髪と同じく青と黒を基調とした服。想定より整った顔をしてるが……大丈夫、俺も負けてない。

彼の前には白髪と黒髪の同じような背丈をした二人組が居て、3人で何か楽しそうに話していた。とりあえず一人になるまで待つかと思いカウンター近くの椅子へと腰を下ろす。

モクテルを味わいながらしばらく待っていれば二人組が席を立った。そしてそのまま店を出ていくのを確認し、一人になったターゲットの方へゆったりと歩みを進める。俺に気づいた彼は少し目を細めて微笑んだ。うん、出だしはだいぶいい感じ。

「お隣いいですか？」

「もちろん、どうぞ。」

思ってたより低い声に少し驚いたが顔には出さず、自然な風に隣へと腰を下ろした。手に持つグラスを机に置き、彼の方へと体を向ける。じーっと見つめて彼が少し身じろいだ所で、いつもの掴みの言葉を口にした。

「遠くから見て素敵な方だと思ったんですけど……うん、やっぱり素敵ですね。」

いつもと違うのはこれが存外ウソじゃないってこと。肥えたおじ様や香水臭い女性を相手にすることが多いからか、彼はお世辞じゃなく本当に素敵に見えた。……まぁこんなとこにいる時点でまともな人間ではないんだろうけど。

「そりゃどーも。あんたもなかなか目立ってるけどな、いい意味で。」

やはり言われ慣れているのか。返し言葉までがスムーズだ。この調子なら名前くらいなら教えてくれるだろう。

「あなたのお名前をお聞きしても？」

「小柳ロウ、そっちは？」

「シルベって言います。どうぞよろしく。」

「……下の名前？」

本名を言うのは仕事柄良くない。だからいつも使う偽名を口にした。随分勘がいいのか眉をひそめた彼に少し甘い声で言葉を続ける。

「そうですよ。だってこう言えば下の名前で呼んでくれるでしょう？」

瞬間ふっと緩んだ顔にかかったな、と思った。歳も近そうだし彼のことは心のなかで小柳くんとでも呼ぼう。この調子でどんどん聞き出していこうと口を開けば、それを遮るように彼の声が響く。

「悪い、あっちで話さないか？……さっきから周りがうるさくて。」

彼が指したのは個室らしかった。あれ、確か個室って別途で多額の金が必要だったような…？少し躊躇えば小柳くんがすり…と俺の手の甲をなぞる。

「俺がシルベともっと話したいだけ、だからお前は何も気にしなくていい。」

「……いいですよ。俺もあなたとお話したいので。」

個室での接待は初めてだ。今までは俺に構ってほしさにすぐ情報を喋る人ばかりだったから。まぁでも個室のほうが聞けることも増えるしいいかと思いあまり深く考えず肯定を返した。逃げる時用に扉の位置を確認してから個室へと足を踏み入れる。地下の閉め切られた空間であるそこは、外よりもずっと静かだった。

ソファーに座った彼の隣に腰を下ろし、先ほどより身体の距離を近づける。個室に来たということは嫌がられないだろうという見たて通り、小柳くんはむしろ満足そうに笑う。

「俺、あなたのこともっと知りたいです。だめですか…？」

空いていた彼の手を取り、自身の頬へと擦り寄せる。これもいつものお得意の手法だ。こうやればみんな簡単に……

「いいけど、じゃあ俺のお願いも聞いてくれん？」

断られるわけがないと高をくくっていたからか、少し反応が遅れた。やはり顔がいいやつはこういうこともやられ慣れているのだろうな。

「もちろんです。」

にこりと笑って返せば彼の手は自身の膝を指さした。あーそういうことね、と理解し膝立ちで彼と向かい合うような体勢になる。ゆるりと目が細められ、褒めるようにあごの下を撫でられた。俺のことを猫かなにかだと思っているのだろうか。

くすぐったさに身をよじれば、離れるなと言わんばかりに腰に手が回される。じとっと下から向けられる熱っぽい目線に応えるように、髪を耳にかけて照れたようなふりをして顔をそらした。

これで彼の注目はばっちりと俺に向いた。やっと本題に入ろうと思い、彼の後ろ髪やピアスを手持ち無沙汰な指で遊びながら様々なことを問いかける。

「何のお仕事してるんですか？」

「んーまぁ取締役みたいなやつやね。」

「今日はどうしてここに？」

「シルベみたいな人に会えたらいいなって思ってた。」

「こういうとこにはよく来るんですか？」

「何、気になんの？どうだと思う？」

……駄目だ。全部的を射ない答えばっかり。このままじゃ依頼人が満足するような情報を持ち帰ることができない。

「シルベ？」

質問攻めの後、急に黙った俺が気になったのか小柳くんが俺の頬を撫でる。やったことないけど……仕方ないか。覚悟を決めた俺はぐいと彼の耳に顔を近づけてこれでもかと甘い声で囁く。

「本当に素敵な人ですね。俺、好きになっちゃうかも。」

そのまま彼の頬に自身の唇を押し当てる。いつもはこんなことしないが情報を手に入れるためには仕方ないことだと割り切って、数回それを繰り返した。

これでもう完全に落ちただろ！なんて思いながら離れようとすれば、頬を包み込むようにぐいと掴まれてしまった。至近距離で月のような瞳に見つめられて羞恥で思わず目をそらす。

「奇遇やね、俺も。なぁ…口にはしてくんないの？」

く、くち？その言葉に嫌な汗が背中を伝った。俺は今まで大抵の人が自身の顔にころっと騙されるおかげで、ハニートラップ…と言いながら実際は大したことをしてこなかった。

だから行為はもちろんのことキスも、なんならハグすら仕事には使ってこなかった。……というかしたくなかった。だってそういうのは本当に好きな人とするべきじゃないですか。

「あ…えと、それは……。」

動揺しちゃ駄目だと頭では分かっているが、いつのまにか腰に回されていた腕によって密着した身体にどうしても意識がいってしまう。うるさいほど脈打ってる心臓の音もバレてしまうんじゃないかなんて思う。

でも情報を手に入れるためには本来これくらいやらなくてはならないのか…？そうだ、言ってしまえばキスなんて皮膚をちょっと合わせるだけ。意を決めた俺は、ぎゅっと目をつむりゆっくりと顔を近づけた。甘いホワイトムスクが鼻先をかすめもうすぐ触れる……という直前。彼の声がすぐ近くで響く。

「ほんとかわいいなぁ、星導。」

は……え…？なんで俺の名前知って……？驚いて開いた俺の瞳がどろりと甘く溶けた彼の瞳と交わる。本能的にあ、これ喰われる…なんて思った時には既に柔らかい感触が広がっていた。

角度を変えて何度も合わされるそれ。頬を掴まれているせいで逃げることも叶わない。せめてもの抵抗でぐいと彼の肩を押すが、余計に燃えさせてしまったのか口内までひどく弄ばれる事となってしまった。

歯列をなぞられて、舌の先を吸われて、下唇をなめられて。一つ一つの彼の動きに注目してしまう。キャパなんてとうに超えていて、俺にできることといえばただ情けなく身体を震わせることくらい。やっと唇が離れたあとにはくたりと彼の方へ倒れ込んでしまった。

「ははっ…！大丈夫？w」

半笑いでこちらを見る彼をきっと睨みつける。彼はきっと俺が情報屋として近づいてきたのに最初から気づいていたのだろう。だからこんなひどい仕打ちを受けたに違いない。

こうなってしまっては依頼を遂行することなんてできないだろう。おとなしく引き下がり、依頼人には謝罪と代金でなんとか納得してもらうしかない、か。まだうまく力の入らない身体をなんとか動かして彼の上からどいた。

今はとにかくこの場を去りたい。その一心で立ち上がり部屋のドアへと早足に近づく。幸い、彼はもう満足したのかこちらを追う気配はない。小柳くんはただにやにやと意地の悪い笑みを浮かべこちらを見ていた。

ドアノブに手をかけてがちゃりと回す。その勢いのまま外へ出ようとしたがなぜかドアは開かなかった。勢いを止めきれずにおでこをぶつけた俺は間抜けな声をあげながらその場にうずくまる。

「いっっ…た！？」

「逃げられると思った？残念、ここ俺の店だから。」

すぐ後ろから聞こえたのは愉快で堪らないとでもいうような彼の声。いらっとしたのも束の間、今言われた言葉が頭の中を巡る。

「俺の店…？」

この店のことは事前に調べてある。オーナーはたしかに若そうだったが彼ではない。写真も見たからそれは間違いないはずだ。混乱する俺を見越したように彼は口を開く。

「入り口に書いてあっただろ、管轄内のマーク。」

必死に記憶をたどり入り口がどんなだったか思い出す。言われてみれば確かにあった。いや、でも待ってくれ。その言いようと依頼人から言われていた情報から推測すると彼は…………

「マフィアの…ボス……？」

声が震えて背中を冷や汗が伝った。否定してくれと縋る俺の願いを打ち砕くように、彼はやっと気づいたのかと言わんばかりの楽しそうな笑みで頷く。

「うそ、ですよね。いや……そんな…っ！」

終わった、俺の人生ここで終わったんだ。街全体に権力を持つマフィアのボスから情報を抜こうだなんて、そんなこと今すぐにでも殺されておかしくない。

「殺されるとでも思ってる？」

心を読むようなそんな言葉をただ黙って聞き入れる。俺の頭の中はなんて言えば許される？とか、どうすれば逃げられる？とかでいっぱいで、たったひと言でさえすぐに答えられるような状況ではなかったのだ。

沈黙を肯定と捉えたのだろう。ぺたりと床に座り込む俺と目線を合わせるように小柳くんがしゃがんだ。澄んだ瞳からは殺意なんて全く感じ取れなくて、むしろ動物でも見てるんじゃないかってくらい緩んだ表情に言いようのない恐怖が募る。

「そんなことするわけないだろ。俺ね、お前に一目惚れしたの。」

もったいぶるように発された言葉に身体が跳ねる。それは情報屋である俺をおちょくるための嘘だったんじゃないの？と思ったのは一瞬で、少し赤くなった耳と合わされた熱い手の温度が何よりも雄弁に現実を語っていた。

「ははっ……やっと捕まえた…！」

開かないドアを背にしたまま、ぐいと引かれた手の勢いで床に押し倒される。ただでさえもう抵抗する手段なんてないのに状況は悪くなっていくばかりだ。乱れた俺の髪をさらりと退けて、おでこに軽く彼の唇が触れた。

「これからずっと、俺と一緒にいてくれるよな？」

問いかけているようで問いかけていない。俺にできる答えなんて1つしか残されていないんだ。ギラギラと輝く彼の瞳がお前は捕食される立場の人間でしかないんだぞ、と嫌でも分からせてくる。

死にたくないという一心でぎこちなく頭を縦に振った。正解択を褒めるかのように彼の手がわしゃわしゃと俺の頭を撫でる。「三つ編みの方が似合ってるぞ」なんて言う彼からは、きっともう一生逃げれない。

どうして、どうしてこんなことに…？俺はただいつものように生きるために仕事をしようとしただけなのに。

罠にかかったのは俺の方だったんだ。

スクロールありがとうございました。

どうしても書きたくなって衝動書きしちゃいました。この続きとしてRありのお話も書きたいな…と思ってます。

余談ですがタイトルの「I wanna be with you.」は「あなたと一緒にいたい」っていう意味で最期の🐺さんの言葉と重なります。また、”wanna”の部分はハニー”トラップ”の「罠」と掛けていて……思いついた時は私天才か…？と思いました😚

この作品はいかがでしたか？

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私のお気に入り作品がまた一つ増えました、本当にありがとうございます😇

めちゃ好きな展開で続きが楽しみすぎます、、、！なんなら「be」も読み方少し変えれば「bee」=ハチ→ハニーみたいなもんですよね(？)

鯱

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