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世利里🗝️🫧🖤(サブ垢)
チャクラ宙返り
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暁のアジトへの潜入後、ランの日々は表面上穏やかなものだった。
里では中忍試験の予選が行われ、サスケ達は見事に予選を通過していた。
(よかったねサスケ、きっとあなたなら本選も勝ち抜ける)
だが、静寂は長くは続かなかった。
──中忍試験本選•当日
サスケと砂隠れの我愛羅が対戦中、突如会場に紛れ込んでいた音隠れの忍が場内全体に幻術をかける。
さらに”風影”を装っていた男が正体を現す。
──伝説の三忍の一人、抜け忍の大蛇丸だった。
音隠れと砂隠れの連合部隊が木ノ葉の壊滅を狙って襲来する。
木ノ葉の忍達は応戦し、必死の戦いを繰り広げた。
そして三代目火影•ヒルゼンは里を守る為、かつての弟子、大蛇丸と相対する。
激闘の末、ヒルゼンはその命と引き換えに、彼の両手を封印した。
──三代目火影、猿飛ヒルゼンの葬儀の日、空からはまるで弔いの涙のように、大粒の雨が降り続いていた。
葬儀が終わり、ヒルゼンの墓前に静かに佇むラン。
その頬を冷たい雨粒が静かにつたう。
「ヒルゼン様…」
ランは墓石を見つめながら、彼に託された最期の言葉を思い返す。
「幼いお前に、辛く苦しい思いをさせてしまい、すまなかった。
今、わしは火影として、そしてかつての師として、大蛇丸と戦わねばならん。
わしに万が一のことがあれば、今まで目を瞑っていた里の上層部が動き出し、サスケに危険がおよぶかもしれぬ。
イタチとの約束を守る為にも、サスケをお前に託す。
わしの最後の弟子であり、木ノ葉の“火の意思”をつぐ
うちはミズノよ」
「………」
(どうして争い続けるの?
同じ忍同士なのに、なぜ傷つけあうの…)
ランはそっと空を仰いだ。
降りそそぐ雨がまつ毛を濡らす。
(イタチお兄様も同じ気持ちだった…?
ヒルゼン様無き今、サスケを守る後ろ盾がなくなってしまった。もうすでに里の上層部が動き出そうとしているかもしれない。
でも…私がサスケを守る。必ず)
ランは何度目かの決意を胸に、静かに手を合わせ、墓前を後にした。
──やがて里が少しずつ落ち着きを取り戻し始めた頃
木の葉の里の静かな茶屋。店の奥に二人の影が佇んでいた。
長い黒髪の男”うちはイタチ”、そして鮫のような容貌を持つ“干柿鬼鮫”
その場にただよう空気には、なんとも言えぬ冷え冷えとした緊張感が張り詰めている。
茶屋の外にはサスケとはたけカカシの姿。
弟の姿を見つめイタチはかすかに目を細めた。
店内に漂う茶の香りが、静かに揺らめく。
やがて目配せ一つで、二人は茶屋を後にした。
──九尾の人柱力を捕らえるという新たな任務を遂行する為に。
ランは暗部としての復興任務についていたが、今日は束の間の休日。
買い物の途中、ふと懐かしい気配を感じてぴたりと足を止める。
(このチャクラ…!まさかイタチお兄様!?
ヒルゼン様の死を知って、サスケの無事を確かめに?
でも、暁の目的は尾獣…まさかナルト君を?)
正体を知られてはならない自分。
けれども迷ってはいられない。サスケにも危険が及ぶかもしれない。
ランは意を決してチャクラを消し、彼の気配を感じる方向へと走りだした。
──その頃
まさにイタチと鬼鮫がナルトと対峙している現場へ、
サスケが駆けつける。
復讐対象を見つけたサスケは、感情が高ぶりイタチへ千鳥を放つ。
だが、力の差は歴然だった。
イタチは“月読“をかけ、あの日の斬撃を繰り返し見せ続けた。
一族を切り伏せる自身の姿を。
「お前は弱い。何故弱いか。…足りないからだ、憎しみが」
サスケの心により深い闇を植えつけたイタチは鬼鮫と共に、その場を去る。
彼らを見つけ、遠くからその一部始終を見届けていたラン。
イタチの行動に身体の震えが止まらない。
(お兄様がサスケをあそこまで傷つけるなんて…
憎しみなんかで強くなるわけない。
どうしてサスケに本当の事を言わないの…)
ランは自身の震える身体と、乱れる感情を必死に抑えこんでいた。
──その後
イタチと鬼鮫はカカシ達と交戦。
イタチはカカシに”月読“を行使。そして里から立ち去っていった。
夜、サスケが入院する病室の窓辺にランの影がそっと現れた。
窓の外から、ベッドへ横たわるサスケの顔を見つめる。
(サスケはあの日からずっと、お兄様を憎み続けている。私は知っているのに…側にいてもサスケに真実を伝えることもできない)
悔しさを噛み締めながら、ふと夜空に浮かぶ月を見上げた。
「イズミお姉様、お兄様は一体何を考えているの?
このままじゃサスケは本当の事を知らないまま、お兄様をただ憎み続けるだけ…」
──月は静かに照り続けている。
ランの髪が夜風にそっと揺れていた。
サスケとカカシを救う為、ナルトと自来也は綱手を見つけ出し、木の葉の里へと連れ戻す。
そしてサスケとカカシは意識を取り戻し、5代目火影に綱手が就任。
ナルトは一段と強くなっていた。
サスケはナルトの急成長に焦りを募らせていく。
その心の隙に音の四人衆が入り込んだ。
仲間を思い、迷うサスケ。
──しかし”力”を選び、木の葉を去る決断を下す。
サクラは涙ながらにサスケを引き止めようとするが、届かない。
ナルト達はサスケの追跡を開始。
ナルトは一人、サスケと終末の谷で対峙する。激闘の果て、千鳥と螺旋丸が衝突した。
サスケは勝利するが、ナルトの命を奪うことはせず、自らのやり方で”力“を手に入れることを決意し、傷ついた木ノ葉の額当てを残して去って行った。
──サスケの里抜けの報に、ランは打ちのめされていた。
(私は…サスケを守ることができなかった)
悲しみと不甲斐なさが胸の奥に込み上げてくる。
自分が許せなかった。
(追いかけてきた仲間を振り切って里を抜けた。
サスケはそこまで追い詰められていたんだ)
心が軋むように痛む。
直接追うことも出来ない歯痒さに、ただ耐えるしかなかった。
──その後ナルトは自来也と修行の旅へ、サクラは綱手に師事する。
それぞれが強さを求め、歩み出していく。
(みんな強くなろうとしている。私も、もっと強くなりたい)
──そして約2年半の月日が流れた。
大蛇丸の元で修行に励んでいたサスケは、その師をも凌ぐ力を得る。
“不屍転生”の器として飲み込まれるも、精神世界で写輪眼を使用。術を跳ね返し、逆に大蛇丸を吸収した。
再生能力を手に入れたサスケは鬼灯水月・香燐・重吾へ声をかけ、小隊 ”蛇” を結成。
「いくぞ。あいつを……必ず抹殺する」
真実を知らぬまま、復讐の炎だけが彼を突き動かしていた。
──元うちは居住区近く。
思い出の川辺に彼女はいた。
朝露に濡れた木々が木漏れ日に照らされてきらめいている。川のせせらぎが風に乗って響いていく。
その中で静かに呼吸を整える、うちはミズノの仮の姿
━━“やかぜラン”
髪をなびかせながら、凛とした気配を纏っていた。
(もう一度、あの二人と向き合う時が来るまで私は…)
翡翠の光を宿した瞳で川の流れを見つめ、静かに拳を握りしめる。
──その背には強い覚悟と”火の意思”が宿っていた。