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とうとう寒い冬が過ぎ、春がやってきたその頃。
「はぁ…」
一人の女子が頭を悩ませていた。
「どうしたの?クラピカ」
そこへ一人の男子がやって来て、女子の話を聞いてあげた。
「貴様か。…貴様に話すことなど何も無い」
冷たく返しても男子は話を聞いてくれる。
「ねえ、ちゃんと言って。心配だからさ」
男子は優しく微笑んでクラピカの頭を撫でた。
優しくされるのに慣れていないクラピカは内心ドキドキしていた。
「やめろ、クロロ!」
「あ、やっと名前呼んでくれた」
「…ッ!!」
どうやらクロロは自分の名前を呼んで欲しかったらしく、クラピカはその罠にしっかりとかかったのだった。
「で、何悩んでたの?」
クロロが問う。
「……バレンタイン、どうしようかと」
言った直後、クロロの顔が一瞬だけ目が見開いたのが分かった。すぐに表情を戻すから、もしかしたら違っていたのかもしれないが。
「…誰かに、渡すの?」
クロロが静かに話す。
「…実は、そうしようと思っているんだ。」
言った。言ってしまった。
数秒間の沈黙の後、クロロは言った。
「…クラピカから貰う人、めちゃくちゃ幸せだと思う。」
クロロが目を閉じて言う。
「…ごめん。」
「なんだ?」
「その、…クラピカから貰う人がオレ、とかさ、淡い期待をしてもいいかな。」
聞いた瞬間、自分の顔が赤くなるのが分かった。
恥ずかしくて、顔を伏せた。
数秒後、顔を上げ、クロロに告ぐ。
「貴様が私から貰う…その確率は、貴様が思っているより…その、高いかもしれない、…」
言った後から恥ずかしさが込み上げてきて、また顔を伏せた。
クロロはそれを聞いて安心した顔になり、クラピカをそっと撫で、クラピカの髪を耳にかけ、耳元でこう言った。
「じゃあ…期待してるね」
甘い声だった。耳と顔が再び赤くなる。
クロロのあんな声、聞いたことなかったからかもしれない。
クロロは微笑んだ後、「じゃあ戻ってるね」
と言い去っていった。
一人になったクラピカは後から後悔した。
「クロロにあげる、ってちゃんと言えば良かった」