テラーノベル
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てくてくと、並んで歩いているが、アリスの歩くスピードがいつもより少し速い気がした。
「ごめんね、アリスちゃんがせっかく断ってくれたのに」
ピタッと一瞬だけアリスの足が止まり、速かった速度を少し落としてくれた。
そのおかげで彼との離れていた間が埋まり私は追い付くことができた。
「リサちゃん」
「な…に……?」
喋ってる途中で、ぎゅっと抱き締められる。耳が胸元に当たりアリスの鼓動が聞こえる。
「ア、ア、アリスちゃん?!」
「リサちゃん、気をつけないと帰れなくなっちゃうよ?」
「あ、うん。心配させてごめんね。じゅうぶん気をつけます」
「そうじゃなくて……」
ふっと、腕の力が抜けて、アリスがまた歩きだした。
また、少し早足になったので追いかけるために私も小走りになった。
ーーー
ふぁぁ。
念のためと、衣装合わせをさせられて当日の予定をリードから聞かされ、とっぷりと日も暮れて。夜です。眠たいです。
よし、寝るぞ! と気合いを入れてベッドにもぐりこみました。
ツンツン
もう寝るんです!
ツンツン
もう寝てまーす!
ツン……
「だからもう寝てるって……」
「成功したねー」
「成功したー」
小さな光る小人と、ライトがベッドサイドに立っていた。
「あ、ライトさん、こんばんは。眠いのでまた明日お願いします」
ベッドにもう一度潜り込もうとすると、なんだか見覚えのある顔がすでに寝ていた。
「あれ……。私が寝てる。あれ、でも私起きてる。あれ……?」
私、死んだ?!
「大丈夫だ。生きているぞ」
ライトが死を否定してくれる。
「こちらの世界に少し来てもらっただけだ」
こちらの世界?
「精霊界だ。少しずれた場所にある」
何故?
「僕の花嫁を救ってもらえないか? リサ」
花嫁? 誰が?
「さっき会っただろう? カナだ」
パッと、頭が動き出す。
「カナちゃんを救う? それは眠っていることと関係があるの?」
「そうだ」
「カナちゃんを救えば、目が覚めるってことでいいの?」
ライトはこくんと頷いて肯定する。
「彼女はいま、世界の狭間に落ちて閉じこもってしまった」
ーーー
それにしても、自分の体がここにあるのに、もう一人の私がふわふわとした足どりでベッドからおりるのは不思議な感覚だ。
ゆらゆらと自分が透けていて本当に幽霊みたい。服だって薄いレースカーテンみたいなの一枚着ているだけだし、裸足だし。
「聖力と魔力をそのまま形にしただけだからな。それだけ形が保てるとは。やはりリサはすごいな」
なんか、誉められてしまった。
「こっちだ」
さっきアリスと歩いた廊下を今度はライトと歩く。
ライトは足が速い。追い付くために何度も何度も小走りになる。
あぁ、そっか……。アリスは私の速度に合わせて歩いてくれてたんだ。
そのことに気がついて、なんだか嬉しくて、むず痒かった。
コメント
1件
うわ、今回めっちゃ好きな回でした!「そうじゃなくて…」のところ、アリスの抱きしめ方とか口調のニュアンスが絶妙で「え、そういう意味!?」ってドキドキしました(笑)。あと、ライトと歩いて初めてアリスがリサに速度を合わせてくれてたと気づくシーン、あそこ本当にじんわりしましたね。精霊界の描写もふわふわしてて綺麗で、カナを救う伏線がどう転ぶのか気になりすぎます…!
comi
978
226
#異世界転生
しめさば
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花月夜れん
2,111