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僕はいつも嫌なことがある度に、学校の裏に行く。
プールへ向かうんだ。
プールのあの匂いと水の音が僕の心を溶かしてくれる気がして、気づけば僕は、いつもそこに向かってしまうようになっていた。
この時間帯は誰も居ないから、自分だけの世界だ。
さすがに制服のままプールに足を突っ込むわけにはいかないから、僕は更衣室で着替えていた。
〜♪♪〜〜♪♪♬.*゚
歌声がした。
(綺麗な声だな。男子校なのに、誰が歌ってるんだろう。)
ルルル〜、と歌う声はあまりにも澄んでいるから、男子から出る声とは想像もつかなかった。
僕はすぐに着替え終わった。早く足だけでも水に浸かりたいと思ったからだ。それと、あの歌の声の主をこの目でしっかりと見たかったんだ。
気づかれないようにそっと扉を開ける。
僕はハッとした。
ゴクリと喉がなる。
『人魚』だ。
肌は少し緑がかっているし鱗もところどころある。耳はヒレのような形だ。真珠のベールのような尾ビレは、薄く繊細でキラキラと輝いていた。
長年信じてきた僕にとっては、夢のような時間のはずなのに、さっきから僕の心臓はうるさいぐらいになっている。
ー誰かに似ているー