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⚠注意
・🐣🈂️
・キャラ崩壊&年齢改変など注意
・とてつもなく長いです
・バーに行ったことも酒を飲んだこともないので多分色々おかしいです
・所々カンザキイオリ様の「こんな夜でもいいじゃないか」を参考にしてます(全人類に聞いてほしい)
・多分、きっと、恐らく、もしかしたら、続き出します
🈂️Side
「___ぇ、そこのおにーさん!」
「ねぇ、君だってば〜!」
急に後ろから肩を叩かれた。
「…え、俺?」
誰かが誰かをナンパしているのだろう。
面倒なことには巻き込まれたくないし、無視を決め込むのが最善策だな、なんて考えていたら、まさかの自分に話しかけていたらしい。
驚きつつも言葉を返し、相手の方へ体を向ける。
そこには、如何にもチャラそうなイケメンがグラスを手に持ちながら立っていた。
「お兄さん、一人?」
イケメンな見た目に相応しいイケメンな声。
これがいわゆるイケボというやつか…。
「…お兄さん?」
俺が何も言葉を返さないことに不安を抱いたのか、少し困惑した表情で俺のことを見つめてくる謎のイケメン。
「あ、はい。一人…です。」
イケメンが俺に話しかけている、という事実に少し怖気つき、敬語で答えてしまった。
「ふはっ、緊張しすぎじゃない?
別に敬語じゃなくていいよ」
なんとも爽やかな顔でケタケタ笑っている。
そんなに可笑しいことを言っただろうか。
俺が悶々と考えを馳せている間に、彼はしれっと隣の席に座ってきた。
「お兄さん、名前は?」
「…えっと、」
……なぜ、名前も知らないような奴に自分の名前を教えないといけないのか。
イケメンはそんな俺の考えを読んだかのように、俺の返答を待つより先に自己紹介をしてくれた。
「あ、俺はかもめね。かもめん、って呼ばれてるから君もそう呼んでよ!」
「かもめ?……本名、ですか?」
ならとてつもなく珍しい名前ではないか?
「そんなわけないじゃん。偽名みたいな感じ!」
「なんで、偽名…」
「まぁ、世の中いろいろあるからね〜。
本名なんて簡単に教えたら危険でしょ?
…少なくとも、ここに来る人たちは大体偽名使ってると思うよ!」
なら、俺も本名じゃなくていいのか。
そう安堵はしたが、そんな簡単に仮の名前が思いつくはずもなく。
「で、お兄さんの名前は?」
「…翔」
本名を口にしてしまった。
「翔!いいね〜」
顔が赤いから、かなり酔いが回っているのだろう。
名前を言っただけで機嫌よく笑ってくれた。
本名を教えたことに一瞬焦ったが、なぜだかこいつなら大丈夫な気がする。
…知らんけど。
「じゃあ翔ちゃん、って呼ぼっかな〜」
「あ、はい…。」
初対面なのにグイグイくるなぁ、このイケ……かもめとか言う奴。
「あ、今『初対面なのにグイグイくるなぁ、この人〜』とか思ったでしょ!?」
「な、っ!?そんな変な話し方しとらんわ!」
悪意しかないモノマネをされたから、ついついツッコんでしまった。
…関西人の悪い癖だ、気をつけよう。
「翔ちゃん関西だったの!?萌えだね〜」
一体今の発言のどの辺りが “萌え” だったのだろうか。
「…イケメンが考えることはよぅわからん、w」
「あ、やっと笑ってくれた〜!!
笑顔可愛いんだから、もっと笑いなよ!」
「へ…?」
“笑顔が可愛い” なんて初めて言われた。
自分の顔が赤く染まっていくのを感じ、慌ててかもめんから目をそらす。
「え、もしかして照れてる?童貞?」
「はぁあ!?童貞ちゃうわ!」
思わず立ち上がってまた大声で言ってしまう。
普段なら絶対にこんなことはできないから、俺も自分で思っている以上に酔っているのかもしれない。
「は、ちょ、翔ちゃん!
いくら酒の席でもそんな大声で下ネタ叫ばないでよ!」
「お前の…!」
せいだろ、まで言いたかったのだが、確かに周りを見ると俺たちは少しばかり注目を浴びている様だった。
仕方なく着席し、言いそびれた “せいだろ” はかもめんにだけ聞こえるほどの小声にとどめておいた。
「いやー、焦った焦った。店中の注目浴びるとこだったね〜」
「全然焦ってなさそうやけどな?」
「まぁ、それはそれで面白そうだし?」
中学生でもあるまいし、 “童貞” なんて単語だけで店中の注目は集められないだろ。
だが、そんな下らない会話はしたくないので、この話はさっさと切り上げることにする。
「なぁ、俺バーとか来るん初めてなんやけどさ。かもめんはよく来るん?」
「来るというか、俺別のとこでバー経営してるんだよね。
客として飲み屋行くのは…週一くらい?
あ、ちなみにバーテンダーもやってるから、酒なら結構詳しいよ?」
「え、まじで?」
カクテルを作るようなジェスチャーをしながらドヤ顔で見てくる。
イケメンで、バーテンダーで、しかも経営者。
こいつ…
「…絶対付き合っちゃ駄目な奴やん」
「なんで!?
今の褒める流れじゃないの!?
てか俺、男女問わずかなりモテるんですけど?」
「モテるやろうけど、付き合ったら不幸になりそう」
「え、酷くない…?俺結構一途なタイプよ?」
「……ふーん」
「ねぇ絶対信じてないじゃん!」
酒が回っているからか、相手がこいつだからか、普段より格段に口が回る。
かもめんのコミュ力のおかげだとは思いたくないから、酒のせいということにしておこう。
……まだ1杯目だけど。
🐣Side
中々面白そうな人を捕まえられたな。
3つ並んだ小便器の一番奥で用を足しながら、そんなことを思う。
このバーはトイレがかなり綺麗だからお気に入りだ。
翔ちゃんと話し始めてから、1時間ほどたった。
今は大学生で最近就活を始めた。
独りでバー来るのは初めてで、酒の種類もろくに分からないらしい。
最初の方に童貞じゃない、みたいな下りがあったけどあれは多分…いや確実に嘘。
童貞どころか恋人経験もないっぽい。
無意識に零れ落ちた笑みを噛み殺し、ポケットから取り出したハンカチで乱暴に手を拭いた。
「飲んでるー?」
翔ちゃんの隣に座りながら声を掛ける。
「ん、飲んどるよ」
俺が勧めたカルーアミルクを手にしながら、1時間前より明らかに赤くなった顔をこちらへ向けてくる。
うーん、顔がいい。
「翔ちゃん顔赤くない!?
大丈夫?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。
おれ、酒つよいから」
カルーアミルクが “持ち帰り用のカクテル” と言われているほどには強い酒であることも知らないくせに、どこが強いのか…。
…まぁ、そのことを教えてない俺も大概だろうけど。
「初対面の人の前でそんなに隙見せちゃだめでしょ?
俺が翔ちゃんの貞操を狙う悪い男だったらどうすんの」
「かもめんが?」
ないない、と手を振りながらケラケラと笑っている。
1時間前の警戒心むき出しな感じはどこへいったのだろうか。
まあ俺的にはかなり好都合だから、別にいい。
「そのカクテル、気に入った?」
「ん、これ?めっちゃうまい、!」
「よかった!
…それの名前、覚えてる?」
「なまえ〜?えっとね、たしか…
かるー…、みるく?
みたいな感じやなかった?」
酔っ払ったら喜怒哀楽が全面的に出るタイプなのだろう。
表情がコロコロ変わって、見てて面白い。
ちなみに今は、頭にはてなマークでも浮かんでいそうな困り顔をしている。
とてつもなく可愛い。
「カルーアミルク!
カルーアをミルクで割ったやつね」
そのまんまやん!と、これまたケラケラ笑っているが、きっと明日にはキレイサッパリ忘れているだろう。
…そろそろ頃合いかな。
「翔ちゃん、そろそろ二軒目行かない?
俺いいとこ知ってんだよね!
明日授業ないんでしょ?」
「二軒目?ん、いくー、!」
俺がスマホを取り出す傍らで、翔ちゃんは少しだけ残っていた3杯目のカルーアを一気に飲み干している。
本当に一口の量だったので何も言わなかったが、飲み慣れていない酒を一気飲みするのは危険なので辞めてほしい。
「俺が出すからいいよ。
先に外でときな?」
俺は財布を取り出した翔ちゃんを手で制しつつ、そう伝える。
え、でも…とか、流石に悪いよ、とか言い出したので半ば無理やり外に追い出し、スマホでさっさと支払いを終える。
「ごめん!なんぼやった?」
外に出ると、まだ翔ちゃんが財布を出して待っていたので、俺が社会人で自分はまだ大学生であること、俺がバーを経営していることを思い出させ、一旦黙ってもらった。
「かもめん、ありがとな!
あ、次の店は俺も出すからな!?」
「わかったわかった。ありがとね、w」
とてつもなく可愛い顔でとてつもなく可愛いことを言いやがったので、とりあえず頭を撫でておく。
「んぇえ!?な、急に何やねん!
……え、何?なんか頭についとった、?」
自分の頭を撫でながらこちらをみてくる。
うん、可愛い。
俺のこと56す気なのかな?
いや翔ちゃんに56されるなら本望か…。
「かもめん?どうしたん?」
「あぁいや、何でもないよ!
じゃあ行こっか」
「ん、!れっつご〜!」
さっきトイレに行ったタイミングでホテルの空きは確認しておいた。
これだけ酔っ払っていればホテルに着いてからも楽勝だろう。
なんて思ってたのに。
「あれ、かもめんじゃん。何して……」
「…なんで、」
今1番聞きたくない声を聞いてしまった。
「……あ”ぁ!?お前また、っ!」
急いで翔ちゃんの手を掴んでその場を離れようとするけど、流石元陸上部。
秒で捕まってしまった。
「おっまえ、また性懲りもなく…」
また小言を言われそうになったので、こっちから先に文句を言っておく。
「なんで、今ここにいるんだよっ!?」
「かいにゃん!」