おはこんばんにちは
5話です!
それではどうぞ
※キャラ崩壊あり
潔世一という男
【side 玲王】
昨日、編入生が来ることと、その編入生が生徒会に入るかもしれないという噂は聞いていた。
『は、初めまして……潔世一です!』
まさか……本当だったなんて。
『そうだ。世一……お前は生徒会役員に決まったらしい』
編入と同時に生徒会加入って、よほど成績がいいってことか……?
『嘘だろ……編入早々生徒会?』
『あんな奴がFS生に……』
『バケモノだろ……』
ほかのクラスメイトも、異例のFS昇格……もとい生徒会役員抜擢に、動揺を隠せない様子。
……気に入らない。
こんな奴が生徒会に入ってくるのか……。
こいつが入ることで、石田というクラスメイトの生徒会役員解任も決まった。
石田はわかりやすく俺に好意を寄せてきていたから、扱いやすかったのになぁ……。
まあ、勝手に彼女わヅラしてきて鬱陶しかったから、ちょうどいいか。
この潔世一という男も、すぐに落とせるだろうし、いいように使ってやろう。
ていうか、” 世一 ”って……。
『お前の名前、潔世一やったっけ?』
『うん』
『世一って……またかわいそうな名前やな』
不本意だけど、今回ばかりは烏に同意する。
『え?かわいそう……?』
『アイドルのヨイチと一緒やん。その見た目で名前が世一はからかわれたやろ?』
今年の3月に引退してしまった、トップアイドルだったヨイチ。
ヨイチのおかげと言っていいのか、国民が” よいち ”と聞いて連想するのはあの美しいヨイチになってしまった。
だから……この地味男の惨めさが際立つ。
『ま、世一って聞いたら誰でも絶世の美少年を想像するわなぁ……あんな綺麗な男、おらんやろうし……』
『あ、アイドルのヨイチ、知ってるのか……?』
『はぁ!? 逆に知らん奴とかおるんか?』
話をしている世一という男を、横目で観察する。
どこからどう見ても地味で、鈍臭そうで……聡明には見えない。
こんな奴が生徒会に入るなんて……” 会長 ”がキレそうだな。
『別にドルオタとかちゃうんやで俺も!でも、もうアイドルっていう次元超えてるやんかヨイチは……!あれは天使やでほんまに!日本中はそりゃもうみんなヨイチの虜になって当たりま……』
『烏、うるさい』
『いや、誰でも好きやろあれは!! ヨイチに興味もたへん凡なんかおらへんで』
ヨイチヨイチって、さすがにうるさくなってきた。
俺だって普通に好きだけど、しょせんは画面の向こうの存在。手が届くとも思っていないし、夢を見ている奴を見ると吐き気がする。
『今何やってんやろなぁ……もう1回芸能界に戻ってきてほしいわ……』
『オタクっぽいよ、烏』
『なっ、ちゃうって言ってるやろ!ヨイチは別枠や!』
『ごめんね世一。烏がうるさくて』
これ以上烏のうるさい声を聞いていたくなくて、話を中断させる。
『お前ほんまに……腹立つ奴やな……!!』
きーきー喚いているが、こいつはどうでもいい。
俺は……バカとブサイクは嫌いだ。
あと……” LS生 ”も。
始業式が始まるため、体育館に向かった。
俺は生徒会の役員として、式典の際は前に並ばないといけない。
FS生は、模範となる選ばれた生徒だから。
『あいつらとは仲良くしないほうがいいよ。ただの不良だから。それと、さっきあいつが言ってた説明、語弊がある』
一応、忠告しといてやる。
『烏の説明?』
『うん。FSは一等星、NSはただの星、LSは……黒星じゃなくて、言葉通り星無しだよ』
俺は、鼻で笑いとばした。
『輝きを失った、落ちこぼれのただの石ころって意味だからね』
ああダメだ……俺、今どんな顔しているだろう。
優しい優等生キャラでいかなきゃ。
すぐに、いつもの笑顔を取りつくろう。
『じゃあ、俺も行ってくるね』
『え?玲王はどこに行くの?』
『俺は生徒会の役員だから、前に出なきゃいけないんだ。世一も次からは招集かかると思うよ』
とりあえず、この男については様子見しよう。
この時はそう、思っていた。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡ 300
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