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“扉”
私の世界には扉に関する不思議な言い伝えがある。
それは世界を脅かせるもの。
そんなものをみんな知らない。
私もまだ、それを知らない。
「扉ぁ?」
自分からすっとんきょうな声が出る。
それくらい、みくの話の出だしはぶっとんでる。
「扉を知らない?」から始まるなんて話が掴めなさすぎる。
「うん、雨はなんか知らない?」
上目遣いが可愛くて、相談にのってあげたいけれど、何も知らない。
「ごめん、わかんない。扉ってどういうこと?」
純粋に疑問だ。
「えーとね、扉ってのは、」
「ちょっとー、私を無視しないでよー。」
肩をばんばん叩かれて、文句が飛んでくる。
見ると、理花が不満げな表情をしている。
「あー、してないしてない。」
適当にあしらっておいた。
「てゆーか、私も気になるんだけどー。」
理花はオカルトとか不思議な話とかが好きで、噂話には目がない。
聞かせて聞かせてと迫る理花と私に、ゆっくりと話し始めた。
調べたところ、”扉”にはいわゆる取扱い説明書のようなものがあった。
これはそれを抜粋したものである。
その一.“扉”には違う世界が広がっている
その二.“扉”には誰でも入ることができる
その三.“扉”に入るためには鍵が必要である
その四.“扉”の鍵を持ち、使えるのは天野家の者だけである
その五.“扉”は一人につき一つ存在しており、その場所は誰にもわからない
その六.“扉”の世界は変わることがある
その七.“扉”の世界から本物の世界の人物が入れ替わることがある
その八.“扉”の世界に連れ去られた者は十日以内に本物の世界に帰らなければ出ることができない
「こんな感じっ。」
話し終えたみくは「おもしろそーじゃない!?」と目を輝かせている。
あり得ない話だけれど、一つ引っ掛かったところがあった。
「私、天野家の者なんだけど。」
そう、私は天野雨。
同姓かもしれないけれど、やっぱり気になる。
「そう!だから雨に聞いたの!」
興奮ぎみにみくは頷いた。
「あっ、ほんとだ!天野って雨じゃん。 」
今気づいたらしい理花まで、興奮ぎみになった。
「ねーねー、なんか知らない?」
しつこく聞いてくる。
焦らしとか、意地とかじゃなくて、本当にわからない。
「だーかーら、わかんないんだってば。」
ようやく引いたみくはいじけてしまったようだ。
けれど、理花は引かない。
思い付いたように、言った。
「あ、そういえばさ、雨の家っておっきい倉庫あったよね。」
それを聞いたみくは、またもや目を輝かせた。
「それだ!見に行こっ。」
二人に手を引かれ、重い腰をあげてあげた。
「わぁ~、広っ。」
理花は私の家の倉庫を見て言った。
久しぶりに見た倉庫は思ったよりも広々としていて、汚かった。
お母さんもお父さんも、入っているところ見たのは数年前ほどだから当たり前だ。
電気はあって、何かないか、三人で探すことにした。
「んー、ホコリだらけー。」
みくは嫌そうな顔を見せたが、それでも一生懸命探している。
理花もあまり見せない真剣な表情だった。
そんな二人に影響されて、私も気がついたときには割りと本気で探していた。
「ねぇっ、なんかコレ怪しくない!?」
理花が見つけたようだ。
それは、古びていて、いかにもといったところだった。
「めちゃ怪しい、ナイス、理花!」
イエーイと二人はハイタッチをしている。
かちゃ
それは簡単に開いた。
鍵もかかっていなかった。
「なんだろう、この袋。」
つまみ上げてみた袋は着物のような生地でできていた。
それもいとも簡単に開いた。
「あ、これ、、、」
三人の声が重なった。
鍵
中に入っていたのは、鍵だった。
なんの鍵かなんて言うまでもない。
これは、”扉”の鍵だ。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 「扉」の設定、めっちゃ好み…!規則が8つもあるってことは、この後どんどん深い話になっていくんだろうなってワクワクする。特に「天野家の者だけが鍵を使える」ってところがもう、雨ちゃんの運命を感じさせるよね。倉庫で見つけた古びた鍵、めちゃくちゃ怪しくてドキドキした…!続きが気になるよ〜🌙
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