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誰の視線も浴びない毎日で、 自分に興味がある人間なんていなくて、
まして、性欲を向けてくる人間がいるなんて、
思ってもみなかったから。
告白されたとき、思わず頷いてしまった…
けど。
けどさ。
ずっと、小学校から一緒だったこいつ…
いつの間にか、クラスのカースト上位な感じになっちゃって、
女子なんかにもモテモテで、
しかも、告白してくるやつを片っ端から振ってるようなやつが…
(俺に、…欲情してる…)
顔を背けて、肘で隠しながら
俺への感情を見せないように…
ただ、髪に触れただけで、顔を赤くして…
「裕真、隠すなよ」
声が、喉でひりついて、かすれた。
「その顔、もっと、見せろよ…」
裕真は、後退ろうとした。
(逃さない)
手を伸ばして袖を掴んだとき、裕真の足が椅子に当たり、ふらついた。
「あぶなっ…」
支えようと引っ張ったつもりが、小柄な自分が引っ張られ、雪也は、裕真の上に倒れ込んでいた。
「いった…」
「ごめん」
慌てて、身体を起こそうとした。
しかし、その時、裕真の顔が見えた。
いつも完璧な、爽やかな笑顔で鎧われているその顔は、
今は、ひどく無防備に、
うっすらと口を開けて、
焦がれるように雪也を見ていた。
(何だよ、おまえ)
雪也は、自分の呼吸が浅くなるのを感じた…
「俺が好きなの、ダダ漏れじゃん…」
彼女には、一度もしたいと思ったことがなかったというのに。
誘われるように開いた唇に、否応なく鼓動が速くなっていく。
(えっ…これ、ヤバい)
裕真の薄茶色の目が、見たこともない熱をはらんで見上げてくる。
(こんなん、ヤバいのに…)
そう、思いながら雪也は、 身をかがめると、裕真の薄く開いた口に、そっと唇を落としていた。