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9 (最終話)
◇様子見4
◇ ◇ ◇ ◇
家を出て、路上駐車している場所に向かっていると20代後半に見える
ひょろりと背の高い男性がこちらに向かって歩いて来るのが見えた。
たしか貴理子の旦那は30才とか言ってたよな。
『いくらなんでもこんな若い青年じゃないよな。
まるで貴理子とだったら姉弟だ』
と思いつつ、男の行く先を振り返り見届けた。
ビンゴ!
家に入って行った。
捨てた元妻の貴理子はイケメンで弟のような男と結婚し、もうすぐ
子が産まれるという。
とても幸せそうだった。
不倫や浮気などではなく、正々堂々と好きな女性ができたから
離婚してほしいと宣言して別れたが。
捨てた相手だから今も自分を恋しいと待っているだなんて
うぬぼれていたわが身が恥ずかし過ぎた。
家も女房も金もなくしちまって、ほんと俺は何やってんだろうな。
路上に停めてあった車に滑り込み、発信させるためエンジンをかけようと
したが無理だった。
正義は車の中で己に『泣くな』と言う具合に歯を食いしばったが、
それでもやはり泣けてしかたなかった。
『どうしてこんなことになってしまったのか』と。
♡―――― おしまい ――――――♡
この度は最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。