テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#塩レモン
みーこ
3,889
#へたくそだけど許して
おだんご🍡
604
「待ってろよ」
その一言に頭の整理が追いつかない
「会いたい」という俺の言葉には本心と嘘が混じっていた
あいつを困らせたくなかったはずなのに
少しでも俺を気にかけて欲しいという思い に気づいて欲しかった
彼を疑った上での言葉だった
あいつは、今俺の元へ来る
脈が速く、体が徐々に熱くなっていく
どんな顔をして会えばいいのだろう
罪悪感で胸がいっぱいになる
会いたいはずなのに、会いたくない
今彼に会っても、迷惑をかけるだけだ
罪悪感や会える嬉しさ、口走ってしまった後悔
全ての感情が俺を襲う
もう一度、電話をかけて謝罪をしよう
そして会う必要はないと一言、言葉をかけよう
♪ ♪ ♪
…電話に出ない
普段電話に出るのは早いのに何故だろうか
急いでいる時でも忘れ物をしない彼がスマホを置いて来るとは思えない
もしかして事故に遭ってしまったのだろうか
何事にも熱心は彼は自分でブレーキすることができない、全てを突っ走る人だ
使命感にやられると、たまに周りが見えなくなる
変な胸騒ぎがする
着信音が鳴り続けるスマホを投げ捨て
気持ちに任せて走り出す
外に出た瞬間、建物の階段から荒い息遣いと足音が響き渡る
ああ、そこにいるんだ
遠くには、乱れた私服と髪型をした彼がいた
肩を大きく揺らして足が少し震えている
あいつ、どんだけ俺のこと好きなんだよ
迷惑なことしたのに、なんだか嬉しくなる
あいつと俺の体はもう勝手に動いていた
俺らの体は磁石のように惹きつけられていった
佐 「仁人…!!」
大きな体で俺を包み込む
いつも優しく包み込んでくれる彼は、今では包容力というより貪欲なようなものだった
彼の腕は力強く、少し息苦しくなる程だった
勇斗の温かい温もりを感じる
少し汗で湿っていて、それでも落ち着くいい匂いがする
耳に熱い吐息がかかる
彼の全てが久しぶりで胸が熱くなった
数秒経った後、俺の顔を覗き込んだ
優しい瞳で少し潤んでいた
険しい顔をした彼の表情は、一瞬で緩んだ
ああ、この表情、いつぶりに見たんだろう
会いたかったよ。勇斗。
佐 「仁人…こうして2人で会うの、
ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀久しぶりだね…」
吐息の中に混じった、甘く、優しく、温かい声
俺の胸はもう感情で溢れていた、耐えられない
吉 「勇斗…家入って」
佐 「いいんだね」
ドアを閉めた瞬間、全ての感情が爆発していた
壁に叩きつけられ、服を乱暴に脱ぎ捨てられる
ベッドに行く余裕も体を洗う必要もないようだ
いつもの彼からは想像できない荒々しさだった
吉 「勇斗まて…!!
ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀せめてベッドに行こう…」
でも彼にそんな言葉は聞こえていなかった
いや、聞く余裕がないんだ
彼の顔はもう、貪欲に満ち溢れていた
彼を説得しようとする俺の口を塞ぐように力強く口付けをする
久しぶりのキスなのに、温かさを感じない
欲に満ち溢れていて、俺の全てを求めるようだ
少し抵抗する俺の腕を力強く握り締める
俺の力では敵わなく、つい「痛い…」と声が出てしまった
その言葉を聞いた彼は瞬間で動きが止まった
彼は焦るように距離を取る
佐 「ごめんっ…!!
ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀俺、落ち着けてなかった…」
彼は少し悲しそうな顔をしていた
犬みたいなあいつの行動に少し笑ってしまう
あいつは少し驚いた表情をする
「怒ってない…?」と覗き込むように恐る恐る聞く彼に怒る気にもなれない
吉 「ベッドに行く前に風呂に入ろう
ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀ㅤ⠀お前汗まみれだし」
あいつは「ですよね…」と半笑いとともに申し訳なさそうな表情をする
久しぶりのあいつに、俺も少し理性が保てなさそうになっていた
あいつのブレーキになれて良かった
風呂から上がったら、そうだよな。
コメント
1件
第3話、読み終わりました。電話に出ない勇斗を心配して外に飛び出す仁人の焦り、そして階段を駆け上がってきた勇斗の姿——「どんだけ俺のこと好きなんだよ」のセリフ、すごく刺さりました。再会直後の貪欲なまでの衝動と、それでも「痛い」と言えばすぐ止まる勇斗の優しさ。2人の関係性がぎゅっと詰まった回でした。