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【アキ天】
早川アキ×天使
2人は同棲設定
天使の能力はマキマによって封印済み
特異4課の狭いリビング。夕食後の静かな時間に、その勝負は始まった。
「いい?人間くん。僕が勝ったら、明日の朝ごはんは豪華なアイスクリームね。あと、仕事はサボる」
「……俺が勝ったら、お前は一週間、好き嫌いせずに野菜を食え。あと、勝った方の言うことを一つだけ聞く。いいな?」
能力を封印され、ただの「生意気な同居人」状態の天使の悪魔は、自信満々に羽を揺らした。だが、相手が悪かった。早川アキは、こういう地味な心理戦において、驚くほど冷静で強い。
数分後。
天使の手元に残ったのは、不敵に微笑むジョーカーの一枚だけだった。
「……あ。……負けた」
「予定通りだな。野菜、残さず食えよ」
アキは淡々とカードを片付ける。天使は「ちぇっ」と唇を尖らせて、ソファに深く沈み込んだ。
「わかったよ……。で? 『言うこと』って何? 洗濯でもしてほしいわけ?」
投げやりな天使の言葉に、アキが動きを止めた。
いつも通りの冷ややかな視線が、ふっと熱を帯びる。アキは無言で立ち上がり、ソファに座る天使の目の前に立った。
「……人間くん?」
次の瞬間、視界が反転した。
背中に冷たい壁の感触。目の前には、逃げ場を塞ぐアキの長い腕。
「壁ドン」。その衝撃音よりも、間近に迫ったアキの瞳に、天使は息を呑んだ。
「……え、待っ、冗談だろ……?」
アキの顔は、これまでに見たことがないほど「マジ」だった。
冗談を言っている余裕なんて1ミリも感じさせない、男の目。
「……言うこと、聞くんだよな」
低い声が鼓膜を震わせた直後、熱い唇が重なった。
溶けるような沈黙
驚きで目を見開く天使の隙を突くように、アキの舌が滑り込む。
深く、執拗に。
味を確かめるような、独占欲を隠さないキス。
「ん……っ、んん!?」
能力を封印されている今の天使には、アキを突き飛ばす力なんてない。それどころか、心臓がうるさいほど跳ねて、頭の中が真っ白に塗りつぶされていく。
ようやく唇が離れたとき、そこには銀の糸が引いていた。
アキは少しだけ荒い息をつきながら、満足げに天使を見つめている。
「…………っ!!」
天使の顔は、髪の毛の色よりも、血の色よりも赤く染まっていた。
心臓が口から飛び出しそうで、熱くて、自分がどんな顔をしているか考えただけで死にたくなる。
「……おやすみ」
アキが短くそう告げた瞬間、天使は弾かれたようにアキの脇をすり抜けた。
「バカ! 人間くんのバカ!! 嫌いだ!!」
バタンッ!! と、廊下に激しいドアの閉まる音が響く。
自分の部屋に逃げ込み、ベッドにダイブした天使は、枕に顔を埋めて叫んだ。
(なんなの……あいつ、あんな……っ)
唇に残る感触と、耳元で聞いた低い声が離れない。
今夜は、アイスクリームのことなんて一秒も思い出せそうになかった。