テラーノベル
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満ちてゆくの反対視点です。
にじさんじenパロ
卒業ライバーさん出てきます
夜の影が深くなる頃、僕は彼の元を尋ねた。
お別れの挨拶を。彼は何も言わない。ただ笑顔で頷いた。最高の友達で、最高の兄弟。ミスタは、今何を思っているんだろうか。
大木の下、大きな白い狐に語りかける。
「神様、神様は覚えてますか?僕と初めて会った日を、僕の第一声を。」
神様は、突然現れた。家族に捨てられ、雨の森を彷徨う僕の前に。
「…あなたはいつからここにいるんですか?」
僕の問いかけに驚く神様。
「…お前は見えるんだな」
関心と哀れみが混ざった瞳。そのまま背中に僕を乗せ、ここまで連れてきてくれた。
そこに居たのはミスタで、兄弟だと言った。それは、神様とも家族であることだと思った。
それでも、神様との距離は遠いままだった。まるで、誰かを待っているよう。僕でもミスタでもない。誰かを。
成長と違和感は比例していった。僕自身も人間として生きたいと思うようになった。でも、そのためには、強くならなきゃいけない。この結界に守られてばかりじゃいけない。
だから、「行かなくきゃ。神様、大好きでした。僕はあなたやミスタように大人になれない。でも、また来てもいいですか?」
相も変わらず、何も言ってはくれない。でも、優しくて暖かい。まるでこの時が来るのが分かっていたようだ。
「ありがとうございます、神様。ここまでのこと大事にしますね」
きっと、しばらくは何も手につかないだろう。人の言葉も完璧とは言えない。もう神様は見えない。夜が深まっている。真夜中になる前に行かなくきゃ。それなのに、僕はそんなに強くない。だから、何度も何度も振り返ってしまう。それでも思うことは1つ。見ていて欲しい。僕は神様もミスタも忘れない。だから、さよならだ。
本当はもっと話がしたい。呪文の話、木の実の話、動物の話。なんでもいい。ただ3人で笑っていたい。でも、そうするには時が経ちすぎた。でも、またここに来れるのなら、今よりたくさんの話が出来るように、たくさん笑顔に出来るように、いろんな経験をしてきますね。
どれくらい過ぎたか。数えるのはもうとっくの昔に辞めた。
そして、今かつての結界の前に立つ。大きく息を吸う。式神が結界を壊す。
目の前にはミスタがいた。
「ごめん、ミスタ」
あの時と同じ。ただ笑って頷いた。
「何もない。けど、全て差し出すよ」
あの頃と違う。笑顔でも、虚しさでもない。明るい諦めだった。
大丈夫。彼はきっとわかっている。
あの頃と変わらない呪文を唱える。自分だけの結界が降りてくる。
神様が語りかけてくる。
「知ってしまったのか…」
伏せて、潤った瞳がこちらを見つめる。
「…はい。あなたにはもっと見せたかった、僕も、ミスタも…。でも、仕方がない…」
深い紫の結界に白い光が満ちる。
「…すまなかった。もう、時間というわけか…」
「…はい。」
神様も知らない呪文。除霊は対話、理想は話すこと。魂に直接問いかける。神様は心の底から優しい、どこまでも暖かくて、明るい。一瞬緩む、涙がこぼれそうになる。目を逸らす。その先にはミスタが見える。
不安そうな目でこちらを見続ける。大好きな母様がいなくなる。それは分かっている。そして、何も出来ない。それは、きっと何より辛いこと。それなのに…、ミスタは強い。
僕も目の前の神様と向き合う。
分かってる。この光と共に消えてゆく。帰りは1人。それでも
「…さよなら」
森に風が吹き込む。暖かくて優しい、神様のような風。光に溶け込む神様、もう、さよならなんだ。
そのまま、神様は、消えた。
ただ、空っぽな心だけが残る。冷たい風が声を震わす。
「ごめん、ミスタ。君の大切なもの、全て奪ってしまった」
ミスタの声は明るかった。それでも、顔を合わせられない。ただ、重くのしかかった何かが、ずっと首を押さえつけられているようだった。
「何もない。けど、全て差し出すよ。そう言ったじゃん。元々母様は俺のものじゃないから…!」
震えた精一杯の声だった。
目を合わせて、ちゃんと謝りたかった。顔をあげた。
涙を流していた。でも、笑顔だったんだ。気づいていないのかもしれない、自分が泣いてるって。
「…ミスタ、泣いてるよ」
ハッとしたように涙を拭った。あぁ、強いな。敵わないな…、ミスタには。
笑顔を咲かせて、こっちへ来る。
そっと僕の頬に触れ、涙を拭う。そして、いつかの神様のようにおでこをくっつけた。
「大丈夫だよ、俺たち、また会えたじゃん。」
ずっと、ミスタは自分より幼いと心のどこかで思っていた。でも、本当は僕なんかよりずっと、強かった。
恥ずかしくて、誇らしくて、思わず声に出して笑ってしまう。
それくらい嬉しかった。
「ミスタ、この近くに神社があるんだ。そこで一緒に暮らそう、話したい事がたくさんあるんだ」
ミスタは笑顔で頷いた。まだこれから先、どうなるかなんて分からない。
でも、その笑顔とこの温もりだけはずっと忘れない。
#闇ノシュウ
コメント
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うわあ……読み終わって、しばらく動けませんでした。第1話とは思えない密度と情感の深さに圧倒されました。 特に「何もない。けど、全て差し出すよ」というミスタの台詞が胸に刺さって。あの場面、彼が泣きながら笑っていた描写と合わせて、兄弟の関係性が一瞬で立ち上がってくるようでした。神様との別れも、除霊が対話だという設定も、世界観の設計がしっかりしていて惹き込まれます。 「また来てもいいですか?」と問う主人公の、弱さと強さのバランスが本当に美しかった。続きが気になります……!