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学園が襲われたあの日、僕達は全てを失った。
先輩も、先生も、学び舎も、全て。
だから僕らは誓った。
復讐を。
翔 「‥‥ここはどこだ?」
僕があたりを見渡すと、仲間達が倒れていた。
翔「皆!」
慌てて駆け寄ると、皆起き出した。
香杳「なんだぁ?」
闌香「真っ白じゃないか。」
遊叉「何処だよここ。」
皆は、戸惑いを隠さずに辺りを睨む。
雅彦「っ!誰かいる!」
その声に、皆武器を構える。
「あっ!誰かいるよ!」
「ホントだ!」
「よかった~!」
聞き覚えのある声と共に、19人の子どもたちがやって来た。
それを見ると、僕たちは固まってしまった。
その子どもたちは、過去の自分たちだったからだ。
眞弦「何で‥‥‥。」
「お兄さん達、ここの出口知りませんか?」
「僕たち迷ってて。」
翔「残念だけど、僕たちも迷ってるんだ。」
僕はいち早く冷静さを取り戻し、にこりと笑いながら庄左エ門の前に立つ。
翔「どうもはじめまして。5年後の黒木庄左エ門です。今は翔って名乗っています。」
雅彦「おいっ!この状態で言っても信じられないだろう!」
翔「信じられないと思うけど本当なんだ。後ろにいるみんなも、君の後ろにいる子供達の未来の姿だ。」
雅彦がそういうのを無視して話を進める。
庄左エ門「信じます。」
彦四郎「ちょっと!庄左エ門!」
庄左エ門「彦四郎。よく考えてご覧よ。仮にこの人たちが曲者だったとして、わざわざ僕達の未来の姿に変装するかな?」
彦四郎「‥‥しない。」
庄左エ門「でしょ?だからこの人達は未来の僕たちなんだよ。」
彦四郎「信じたくないけど、信じます‥‥。」
奈多「ここは恐らく夢の中だな。」
伝七「何でそんなことわかるんですか?」
奈多「怪我をしていないからだ。」
伝七「はい?」
紫乃「僕たちは復讐のためにある城を落として大怪我を負っていたんだ。」
初雅「重症だったけど死ぬほどではなかった。だからここは天国でも地獄でもない夢の中だと考えたんだ。」
伏木蔵「でもいったいなんで復讐を、」
翔「自己満足のためだよ。勝手に先輩や先生の敵討ちをしたんだ。」
乱太郎「え?どういうことですか?」
過去の僕たちは意味がわからないとでも言うように、僕たちを見た。
楼叉「僕たちの生きてる時代に忍術学園はないんだよ。」
都芹「5年前にある城の襲撃にあって俺たち以外みんな死んだ。」
きり丸「‥‥‥嘘だろ?」
翔「嘘じゃないよ。」
椎那「嘘ならこんなことにはなっていない。」
大きな声でいった椎那に視線が集まる。
その隣には無表情の弥刀が椎那の腕に抱きつき椎那を見上げていた。
その顔は無表情で、なのに人形のように美しい。
椎那「弥刀がこんなになってしまったのに、嘘なわけがない。」
低い声を出す椎那は優しく弥刀を抱く。
喜三太「‥‥もしかしてその弥刀さんって金吾!?」
椎那「そうだ。」
金吾「何でこんなふうになって……、」
沙爾「それは10歳の子供に言えることじゃないかな~。」
庄左エ門「‥‥あの!」
急に、黙っていた庄左エ門が声を上げた。
翔「何だい?」
庄左エ門「少し話し合いをしてもいいでしょうか?」
なんの話し合いか分からなかったが了承した。
しばらくしたら、話し合いは終わったようで皆が真剣にこちらを向いていた。
翔「終わったかい?」
庄左エ門「はい。翔さん。僕たちの依頼を受けてくれませんか?」
その言葉に、僕たちは首を傾げた。
庄左エ門「見たところ、翔さん達は19人で活動していますよね?なので僕たちの依頼を受けてほしいんです。」
淡々といっていく過去の自分に頭が痛くなった。
翔「‥‥内容によるかな。」
雅彦「翔!」
翔「いいから。」
庄左エ門「未来を変えていただきたいんです。先生、先輩方がなくなってしまう過去を。」
彦四郎「今の僕たちじゃ先輩方を守ることはできません。でも、大怪我をしながらも勝った皆さんなら先輩方を守ることができると思うんです。」
翔「‥‥‥。君たちの思いはわかったよ。でもその依頼は受けたくても受けられないな。」
庄左エ門「それは僕たちの時代に行くすべがないからですよね?金吾。」
金吾「裏裏裏裏裏裏山に願いが叶う祠があるんです。委員会活動中のときに見つけて。気になって調べてみたら、霧が濃い日に強く願いごとをすると願いが叶うと言われてるみたいで。」
庄左エ門「ですので受けていただけないでしょうか。」
翔ーどうする?ー
雅彦ー僕は賛成かな。ー
佐稀ー俺も賛成だ。ー
遊叉ーあの最悪の過去を変えられるんだったらやる価値はあると思う。ー
翔一決まりだね。ー
翔「いいだろう。その依頼、我らひととせが承った。」
雅彦「霧の深い日に参上いたしましょう。」
いつの間にか僕たちの周りは白い煙に包まれていた。
翔「ではまた。」
僕たちは白い煙と共に現実世界へと戻っていった。