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ー001話『また出会える日まで。』ー
「藺月!!」
「ボ…ルト…?」
僕は何が起こったのか分からなかった。でもわかる事は僕の体は氷のように冷たく手は宝石のように固まっていた。僕は悟った。
もう僕は…死ぬのだと。
「大丈夫か?」
「あ”…ゲホッ!!ゲホッ!」
「藺月!?おっおいサクラおばさん!藺月を治してくれよ!!」
「ボルト…これは…」
サクラさんは凄く悔しそうに僕を見つけていた。
(サクラさん。そんな悲しそうな顔をしないでよ。死ぬのが怖くなるから)
「サクラおばさん!そこを何とか!!」
「ポンッ…」
「父ちゃん… 」
「父ちゃんまで藺月を諦めるのか?…悔しくねぇのかよ!!」
(ボルト…父親に怒らないで?全部おわらせたいんだ)
辛い沈黙が進み僕は周りを見渡す事しか出来なかった。皆が辛そうで僕を悲しい目で見つめていた。
「俺だって藺月を自分の命と引き換えに生かせてやりたい。」
「、、、、」
「けどな…藺月はそれを拒むはずだ。でも俺は藺月の承諾無しにやりたい。」
「だけど…藺月は本当に嬉しいのか俺には分からない。」
「こんな俺が憎くて情けない。俺はもう…どうしたらいいか分からないんだ。」
ナルトさんは悲しそうでもうどうにかなりそうな程の声をしていた。僕も皆に悲しい思いをさせてしまって凄く情けないし自分が憎い。
僕は血の味で苦い口をあけ、最後の願いを伝えた。
「ボルト…ケホッ。 」
「藺月…どうした?」
「最後に叶えて欲しい事ゲホッ…伝たい。」
「、、、なんだ?」
「あの二人だけの場所に…行きたい」
「あぁ。行こうぜ! ニカッ…」
(辛いのに無理して僕の大好きな笑顔を見せてくれた…)
「スタッ…着いたぜ藺月」
「ボルト…ありがとう」
ここはボルトが里を抜け出し、二人で一緒に寄り添いながら歌を歌った場所だった。
「ボルト…覚えてくれたんだ」
「当たりめぇだろ?ニッ…」
「じゃあ二人で歌った歌詞…覚えてる?」
「覚えてるぜ」
「、、、歌ってくれる?」
「いいぜ。スゥ…」
心地い風が拭きながらボルトの素敵な歌声を聞く。
(ボルトの歌声は心地いいな…)
ボルトは歌い終わり涙を浮かせた。
この歌で僕との長いようで短かった思い出を思い出したのだろう。
「ボルト泣かないで…ケホッ」
「僕はもう…いいんだ」
「何言ってんだよ…俺はお前に数え切れない程の恩があんだろ?いなくなっちまったら…恩返しが出来ねぇじゃんか…」
「もうボルトに恩返しは必要ないよ。」
「だって…僕に離れず一緒に戦ったりしてくれたじゃない」
「それだけで恩返しなんて出来てねぇよ」
「違うよ。もう僕はボルトに大切な思い出を沢山僕に与えてくれた。そのおかげで今の僕がいるんだ。」
「藺月……」
「そんな自分を攻める顔はボルトには似合わないよ。せめて最後は僕が大好きだった笑顔でいてくれたら僕は嬉しい」
「ゲホッゲホッゲホッ!!…ハァハァハァ」
「「藺月!!」」
一斉にボルトたちは声をあげた。
「最後に…皆の僕に与えてくれた思い出と経験をくれてありがとう。僕はみんなと笑いあって、僕を人間にしてくれた。」
「本当にありがとう。そんな君たちを僕は心の底から愛していました。」
僕がそういうと泣き崩れる人やそのまま泣く人、いつも泣かなそうな人まで泣いていた。
(あぁ。この人たちは大好きだな…)
「そしてボルト。貴方は僕の中でのヒーローで眩しかった。僕はボルトを心の底から大好きで愛していました。」
「ッ!!」
「こんな皆の事が大好きな僕を愛してくれますか?」
「「当たり前だ!!/当たり前だよ!!/当たり前よ!!」」
と皆が一斉に言ってくれた。
とても嬉しくて死にたくなかった。だけど仕方がないんだ。
「また会えてもし僕が生前の記憶がなくても僕とまた笑いあってくれたら嬉しい。」
「皆ありがとう。」
「愛してる」
そして僕は息絶えた
ー*僕は皆を愛していました。*
ー*今はほんの少しのお別れ*
ー*また会いましょう*
ー*また僕と沢山思い出を作って幸せに。*
ー*だから泣かないで。落ち込まないで。憎むことも悲しむ事も僕は嫌だから。
ーさようなら
次回002話『転生した世界で僕たちは出会う』