もう10月!?さあさあさあ不器用な富豪のターンですよ。。難産だったよー!!
「元貴、お誕生日おめでとう!」
「制作おつかれさま。差し入れとプレゼント持ってきたよ。」
大好きな2人に誕生日を祝福されるほど幸せなことはない。制作で煮詰まってた俺は我ながら久しぶりに屈託なく笑った。
プレゼントと差し入れを受け取り、2人を制作部屋の中に通してソファに座らせる。
残暑とともに主演映画の撮影が終わり、定期公演をイメージしたライブの準備に入った。
しかし!来年のアニバーサリーライブを盛り上げるために来年も連続リリースを企画しちゃった俺は、休む間もなく制作に追われているというわけ。
やり甲斐しかないけど、疲れてないといえば嘘になる。ちなみに、アニバーサリーライブでは 3人のための新曲も作ろうとしていることはまだ誰にも秘密。
というわけで黙々と俺自身の誕生日も制作してたら、涼ちゃんと若井が連絡をくれて顔を出してくれた。 嬉しすぎてとりあえず手元にあるたくさんメガネを用意して待ってたんだよね。
ソファの前の机にぎっしり並べたメガネに怯える2人がかわいい。
とはいえまずいただいたプレゼントの開封の儀を行う。涼ちゃんからは何故か高額な健康器具、若井からは欲しかった家電をもらった。
「ありがとう。大事に使うわ。」
ありがとうだけど涼ちゃんは何で健康器具なの?とは突っ込まなかった。ラジオでいじろう。
もらったプレゼントのお礼として似合ったものをあげる体で、涼ちゃんにはちゃんと用意してた新作をあげた。
若井?もちろんあげた。ただ若井には別にいいギター買ってあるからさ。
だからメガネとサングラスは涼ちゃんに多めにあげた。用意してたショッパーにケースに納めた状態のメガネを入れて涼ちゃんに渡す。
「ありがとう……めちゃくちゃうれしいけど明らかにあげたプレゼントより高いから、ちゃんとなにかで返すからね。待っててね。」
おずおずと、ショッパーを両手できちんと受け取る涼ちゃん。好意をきちんと受け取りながらも何だかんだお金にちゃんとしてるところは美徳だね。
物欲としては無欲だし健気だからついたくさん買ってあげたくなる(土地以外ね)。
「別にいいよ。涼ちゃんに似合うからあげるんだし。次会うときとかにかけてきてね。」
制作で荒んでた気持ちがあたたかくなり、久しぶりに涼ちゃんの頬を軽く撫でてしまう。
涼ちゃんは照れたように目を伏せた。
かわいい。押し倒したい。だが 。
「俺もこれ欲しい。元貴と色違いにする。」
幼馴染兼相棒が無邪気になんかいってる。
するりと俺の手から抜けた涼ちゃんは若井の方に顔を向けた。
「涼ちゃんどう?似合う?」
なーんか最近若井が絶妙なタイミングで入って来るんだよな。
このイケ散らかしミンネ。
お前もわりと何でも似合うよ。
案の定涼ちゃんも
「似合ってるよ。かっこいい。」
と褒めた。
「よっしゃ!元貴、お揃いにしようよ。だめ?」
「いいよ、似合うし。好きなの持ってけよ。」
「やったーありがとう!」
ふと涼ちゃんを見やると虚ろな顔。 目が合うと慌てたように微笑まれた。
何かを我慢している涼ちゃんの笑い方だ。
「どしたの涼ちゃん?なんかある?聞くよ。」
「え……。だ、大丈夫。ごめん。なんかすごいお洒落なメガネばかりだなーって、ぼんやりしちゃって。」
若井はこちらを見ないままメガネをいじっているが、何か言いたげな気配を出している。
「……2人で何かある?俺は隠される方が嫌だけど。」
2人は顔を見合わせたが、涼ちゃんはすぐに顔を伏せて若井が俺をまっすぐ見た。
「俺はなーい。でも涼ちゃんはあるんじゃないの?で、ここからは多分だけど。涼ちゃんは今日は元貴の誕生日を祝いたくてきたから、別の日に相談したいんじゃない?どうなの?」
若井お前……何その立場!?とめちゃくちゃイラッとしたが、涼ちゃんの顔色が気になるから今は我慢。 若井は後で詰める。
「そうなの?涼ちゃん。それは待てる話?」
「……うん。今日は元貴をあまやかしたくてきたから。でも結局元貴にあまえちゃってごめんね。俺、嘘下手だから。」
「嘘なんかうまくならないでいい!話したくないならいくらでも我慢する。だから俺に嘘つかないで。涼ちゃんと……涼ちゃんと若井にだけは嘘なんかつかれたくない。」
つい哀願してしまった。 ヤバい。
涙が出そうだ、寝不足とは言え情けない。
「……ごめん。元貴、泣かないで。」
腕を引かれ広げてくれた腕に入ると抱き込まれた。寄りかかると優しく背中を撫でられる。
「元貴。お誕生日おめでとう。今日は泊まってもいい? 」
耳元でささやかれる。
「……無理しなくていいよ。優しくできるかわかんないし。疲れてるから。」
我ながらみっともない涙声だな。
「泊まりたいな。お祝いに来たんだもん。」
片や天使みたいに優しいあまい声。
「……いいよ。お構いできないけど。」
ズビズビ鼻をすすりながら 顔をあげると涼ちゃんは久しぶりに大好きな笑顔だった。
「元貴がお誕生日様だもん。俺が構う側だよ。」
涼ちゃんの少し冷たい綺麗な指先で優しく涙を拭われる。
……と、ニヤニヤした若井の顔がひょっこりのぞき見てきた。
「安心しろ。俺は泊まらずに帰るしお前にウソもつかないからな。まあ2人で仲良くやんなさいよ。」
……とりあえず一発肩に軽く?パンチを入れる。
「いっ!!」という若井の叫びは、制作部屋の防音壁に吸い込まれていった。
コメント
2件
更新、ありがとうございます☺️ 嬉しいです❣️ でも難産、本当にありがとうございます🙏 メガネに怯える2人がツボでした🤭💕 妄想出来ました❣️笑