テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#恋愛
桜咲かな
687
#ハッピーエンド
にゃみ3
30
にゃみ3
526
#政略結婚
常陸之介寛浩
330
「そんな……」
「まあ、あくまでも噂は噂でしか無い……がな」
「そうですよ……そんな、実の父親と弟がお兄さんを手にかけるだなんて……」
そう口にしつつ、エリスは思う。
もし今のギルバートの話が本当だとして、シューベルトが既に人一人を手にかけているのだとしたら、自分を殺す命令を誰かに下したとしても何とも思わないのではということだ。
「血が繋がっていようが無かろうが何らかの邪魔になるならその存在を疎ましく思い、この世から消すという選択をすることもあると俺は思っている」
「…………」
そんなギルバートの言葉にエリスは返す言葉が見つからなかった。
実際身内に殺されかけたエリスだからこそ何も言えなかったのだ。
「エリス、お前はこのままで良いのか?」
「え?」
「きちんと真実を知り、自分の居場所を取り戻すべきでは無いのか?」
「……出来ることならば、そうしたいです……だけど、私は何も出来ない……」.
「何故出来ないと決めつける?」
「だって、私には、何も無いから……」
ギルバートの言う通り何故自分は殺されなければならないのか、それ程までにシューベルトやリリナ、アフロディーテに恨まれているのかということを知りたいとは思うが、何の取り柄も無い自分に何か出来るはずが無いと決めつける。
けれど、そんなエリスにギルバートは、
「大丈夫だ、お前は一人では無い。俺が居る。必ずお前の力になると約束しよう。だから今のお前は無力なんかじゃない。願えば何だって出来る」
「ギルバート、さん……」
エリスは思う、出来ることならシューベルトと縁を切って父や母が愛したルビナ国へ帰りたい。
アフロディーテを追放して、愛する国を守りたい。
――それが、彼女の一番の望みだった。
「ギルバートさん……何故あなたそこまで私に親切にしてくださるのですか?」
「それは…………形は違えど俺とお前が同じような境遇にいるから」
「そう、なんですね」
ギルバートのことを詳しくは分からないが、彼がそう言うのならばそうなのだろうと深く追求することはせずに頷くエリス。
例えギルバートをよく知らなかったとしても、命の恩人であることや初対面の自分に良くしてくれている今が全てで、そんな彼が力を貸してくれるというのだ。
断る理由が無かったエリスは、
「……それではギルバートさん、お願いします、どうか私に力を貸してください。私は何故自分が殺されなければならないのかという理由を知りたいし、奪われた大切な居場所を取り戻したいです」
姿勢を正して深々と頭を下げながらギルバートに協力を願い出たのだ。
「分かった。ならば俺は必ずお前の助けになる。何があってもお前を守り抜くと誓おう」
「ありがとうございます…………あの、今の私は何も出来ませんが、もし、全てが片付いて無事に自国へ戻ることが出来た暁には必ず何かお礼をさせてください」
「まあ、お前がそれで満足出来ると言うならば有難く受けよう」
「はい!」
愛する自国の為に政略結婚をして幸せとまではいかなくても不自由無い暮らしを送るはずだったエリス。
しかし約束とはまるで違っていて、夫には疎まれ幽閉され、ほぼ自由の無い毎日を送らされた挙句、突如命を狙われ逃げ出す羽目になった。
そんなエリスの前に現れた、人が苦手だというギルバート。
傭兵をしながら生計を立てている彼は恐らく強いのだろう。
何があっても守り抜くと誓いを立てたギルバートを信じて全てを預けることを決めたエリスはこれまでの経緯を包み隠さずギルバートに話をして情報を共有した。
こうして、成り上がりの復讐劇は静かに幕を開けることになったのだった。
コメント
1件
読了〜!第12話、めっちゃ良かったです😭💕 ギルバートが「形は違えど同じ境遇」って言ったところ、すっごい気になりました…!彼にも何か過去があるんですね、そこを知りたい…!エリスが全部話して、もう迷いを捨てて動き出す決意をしたのも胸熱でした🔥「何があっても守り抜く」って誓ってくれて、本当に心強い味方ができたなって感じで嬉しくなりました✨ 復讐劇の幕開け、めっちゃ楽しみです〜!これからどう動くのか、次話が待ち遠しい!📖💖