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ゴンッ。
そんな大きな音と同時に部屋の片隅にある棚の上から受話器が落ちていた。
「私戻してくるよ」
hukaはそう言うと立ち上がって部屋の隅に向かって歩いて行った。
何だか嫌な予感がした。
hukaがそのままどこか遠くへ行ってしまうような、そんな感覚だった。
「電話…?」
hukaのその声で目が覚めた。
ぼやけていた視界も、どこかへ行ってしまうのかという妄想も全てが解けたような気がした。
「fukase、電話来たよ。 出てもいい?」
「マスター帰ってきてないし、マスターからかも…!」
「確かに、出てみる!」
そんな短い会話を交わしたあと、hukaは受話器を取って何かを話していた。
「うん…」
「え?」
「それって、壊れたってことなの?」
「そっか…」
hukaの脱力し切ったような声が聞こえた。
顔は見えなかったけど、絶望しているような。そんな声だった。
「huka!どうしたの?」
僕が急いで駆けつけた時にはhukaは受話器を元に戻していた。
「huka、大丈夫?」
hukaの顔色が酷かったため、僕は聞いてみることにした。
「fukase…マスターが…」
そう言った直後、hukaは全身の力が吸い取られたかのように膝から崩れ落ちた。
「huka?大丈夫?」
「うん…でも、マスターが…どうしよう」
hukaの言葉からするにきっと、これは重大な事なんだろう。
「huka、ゆっくりで良いから話せる?」
僕はhukaに目線を合わせるように座り込んだ。
「あのね、fukase」
そこからhukaは淡々と話し始めた。
「さっき、病院って人から電話が来たの」
その瞬間、僕は全身の血の気が引いたような感覚に陥った。
「病院…?何で…?」
「マスターが倒れたって…私達で言う故障だって… 」
そう話すhukaの目に光は見られなかった。
「これから沢山の人がここに来るんだって。」
「マスターのしぶつ?を回収するらしいの。」
私物回収…。
嗚呼。もうマスターはこの世には居ないんだ。その言葉はそれを簡単に感づけるものだった。
hukaはきっとその事を知らない。
いや、きっと知りたくもないだろう。
私物。
僕達も彼らから見たらロボット。
生きていない。マスターの私物だ。
このままだと、2人ともばらばらにされる 。
もう二度とhukaに会えなくなるんだ。
「huka、逃げよう」
「え?」