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ここから逃げなくては。
僕の頭はそれでいっぱいだった。
「どうしたの?ねぇ、fukase?」
hukaのそんな声も無視して…僕は彼女の手を取って走った。
「fukase!!ねえ止まって!」
hukaが声を荒らげながら足を止めた。
その瞬間、僕も目が覚めた。
少し扱いが乱暴だったのかもしれない。
「なんでいきなり家を飛び出したりなんてしたの?マスターは大丈夫なの?」
「huka、少しだけ僕の話を聞いてくれる?」
僕がそう言うと、彼女の目は真剣そうにこちらを見つめていた。
「マスターはもう戻ってこないと思ってね。
僕たちでいう壊れる。それは人間の死ぬというものなんだよ。死んだらもう二度と会えない。話せない。それは分かるよね?」
「うん、分かるよ」
hukaは涙を堪えているからか、少しだけ声が震えていた。
「僕達はマスターの所有物。つまり遺品として回収される」
「それって…」
hukaは頬を青く染め絶望したような震え声で話した。
「私達、離ればなれになっちゃうの…?」
「大丈夫。だから逃げるんだよ」
僕はどうにかしてhukaを落ち着かせようと、ニコッと笑ってみせた。
「大丈夫なの…?」
hukaはさっきよりも感情の戻ったような声でそう呟く。
「大丈夫。僕達なら大丈夫」
「ほんと?」
「うん。何があっても僕がhukaを守るよ」
自分でも恥ずかしいような言葉だった。
それでも、もうhukaを失いたくない。後悔はしたくない。
もう大切なモノを失いたくない。
僕の頭はそんな気持ちでいっぱいだった。
hukaの為なら何だって出来る気がするくらい、僕はhukaが大好きなんだ。
その気持ちはこれまでも…いや、これからもずっと続くだろう。
「好き…」
それは、初めてhukaの口から出た言葉だった。
hukaに好きという感情は分からないはずなのに、それに僕に向かってそれを言うなんて。
それは何かのバグを疑ってしまうレベルのことだった。
「私、fukaseとずっと一緒に居たい。好きだよ…大好きなんだよ」
hukaは嬉しいような悲しいような目をしながらこちらを真剣に見つめていた。
「嗚呼。マスターの言ってた好きってこんな意味だったんだね。」
hukaはそういうと頬に静かな涙をつたらせながら泣いていた。
嗚呼、僕は本当に彼女のことが大好きなんだ。
彼女のその言葉1つで、僕はこの生涯の意味を知れたような気がした。
気がついたら僕はhukaを強く抱き締めていた。
大好きなんだ。
きっと、もう誰にもあげたくない。もう離れたくない。もう失いたくない。
「大好きだよ、huka」
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