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あれから互いに何も言わない時間が過ぎた。
手と口は互いに動けど、言葉は皆無な状態だ。
互いにあまり酒が強くないにも関わらず酒が進んでいく。
この状態があまり長く続くのも無駄だと思い、話を切り出すタイミングを作る為に一度離脱(トイレ)して帰って来たタイミングで俺から話そうと決めた。
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離脱から戻ってきて酒をひと口呑み、決心を決め、元貴の方へ体を向けて元貴に話しかける。
若井「なあ、元貴。何で最近機嫌悪いの?」
大森「…………」
若井「答えてくれないとわかんないんだけど」
大森「…………」
話し合いをする為に来たはずなのに元貴が喋らない。
そんな態度にイライラし、手に持つ酒をどんどん呑む。
若井「なあ!何か言えよ!俺か?俺が悪いのか?!何もした覚えがないけど俺のせいなんだろ?!!だったら黙ってないで理由言えよ!!!」
大森「……何もした覚えないって?」
若井「は?何?だから何かあんの?!!あるならとっとと言えよ!!」
俺の怒りのボルテージがどんどん上がる。
全くこちらを見ない元貴にもムカつく。
若井「話してんだ!こっち見ろよ!!オイ!!」
それでもこちらを見ようとしない元貴に俺は胸ぐらを掴んだ。
若井「見ろって!!!」
目を逸らしていた元貴の瞳がゆっくりと俺を見た。
こちらに向けた元貴の瞳には光がない。
酒で目が据わってるだけかもしれないが真っ黒って言葉が正しい色の瞳だった。
目の前の奴の異様な雰囲気と、人ってそんな瞳の色が出来るのかとゾッとする。
思わず俺は目を逸らした。
その時、フッと小さく元貴が笑った。
大森「こっち見ろって言ったくせに目を逸らすんだ…………それより若井は何もわかってないんだね。本当、なーんにも」
胸ぐらを掴んだ俺の手首を掴み、引き剥がし、逆にぐいぐいと元貴が押してきた。
何故か元貴より大きい俺が力で勝てない。
押し返しても押し返せず、徐々にソファに張り付けられる形になり、俺の上から元貴が俺を見る。
大森「じゃあさ、一つずつ答え合わせしようか。まずは俺が機嫌悪くなったのっていつ?」
……あれはいつだっけ?てか、そんな明確になんて覚えてなんかいない。
若井「……1ヶ月くらい前だろ」
大森「違うよ。若井が報道された3月〇〇日の1週間後の〇〇日ね」
ちょっと待て。
そこまで覚えんのおかしくないか?
大森「じゃあ次。その報道の件について若井が俺たちに言ったのは?」
若井「……その日にごめんって伝えた」
大森「正解。でもそれ以上の説明は?ごめんってなに?何に対してのごめんなの?1週間待ってもそれ以上の話無かったよね?」
一体なんなんだ……この元貴の質問は……
俺がふたりはわかってもらえてると思ってあえて深く言わなかった事が原因?
そんな事で…………なのか……
若井「いや、ふたりはわかってくれてると思」
大森「わかってくれてるってなに?じゃあ何、若井は俺の事わかってんの?」
若井「わかってる、つもり」
大森「わかってないよ。つもりだもん。今だって何でこんな質問されてるのかとか、何でこんな事で機嫌悪いのかよって思ってんでしょ?」
俺の手首を持つ元貴の力が強くなった。
掴まれた手首が痛い。
うまく力が入らず抵抗する事も出来ない。
若井「ちょ、もと、き、痛いって」
大森「抵抗しようとするからでしょ」
なんか
変だ
俺の知ってる
元貴じゃない
元貴が
怖い
大森「あはは。若井の目が泳いでる!何?そんなに俺が怖い?いつもの元貴じゃないって?あ!それとも若井の心が読めてる俺が怖い?何で読めるかって?知りたい?」
知ったら終わる
そんな気がした俺は
首を横に振るしか出来なかった
大森「だって俺
若井の事ずっと好きだから
ずっと見てるから
だからわかるんだよ
ねぇ、若井……俺の事好き?」
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