考えていても仕方がない。戦場にいるのに下を向いて突っ立ってるだけの馬鹿なんかいない。それは、自ら死を欲しがるようなものだから。迷ったら逃げる。全てを捨ててでも。
幸い私にはここの人への気持ちなんてないから、今すぐにでも逃げられるけど…どうしようかな
そういえばこの場所にはどれだけの人がいるんだろう?全然把握してなかったや。まぁいいでしょ、とりあえず逃げようかな。
窓は開けられるしそれほど階数も高くないから着地できそうだわ。剣術を習っていたのか動きやすい服もあるし、家出にはぴったりの状況よ。
家出するときに食料とかお金の心配をする人は、家出するつもりがない人よ。食もお金もあとから散々手に入れられるもの。食は試食会とかその辺の木の実でも食べてれば生きられるわ。お金はアルバイトを探せばいいしね、
てことで、仕事探ししますかー!
「エル・マーカスの護衛」
「レイラ・フランシャールの専属侍女」
私にできそうなのはこの2択ね。剣術をやっていたから護衛と、貴族の娘として侍女を選択した。 とりあえず作法とか人間関係とか、難しいことは考えたくないし、護衛にいきますかね!
コンコンコンッ
「失礼します!」
「新しく護衛となりました、ヨナと申します」
「・・・」
もう、完全無視?!まぁ別にいいけどさ!
でも、護衛として見過ごせないものがあるわよね〜、
「⁉︎」
「護衛とはいえ女だから、甘く見てたわね?」
ドカッ
バスンッ
「くッ…」
「……!」
「さてと、誰の命令で来たのかしら? 暗 殺 者 さ ん ?」
「…言うわけないだろ、笑」
カチッ
「………」
「…自害した」
「……ヨナと言ったか」
「、はい」
「ありがとう」
「……あの程度、エルさんでもどうにかできたのでは?私には、とっくに気付いているように見えましたが」
「よく見ているんだな、」
「護衛ですから」
「はは、笑」
さっきまで真顔でペンを握っていた姿が、
綺麗な笑顔で自分の口元に利き手を寄せる、美しい青年へと変わった。
その一瞬、私は初めて命の儚さを知った。
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