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スタジオでのアオノオト最終振り確認で、柔太朗のダンスシーンの衣装を初めて見た勇斗は固まった。
上は制服のブレザー、その下にスカートとジャージ、リムレスメガネという一見男が着ると事故りそうな衣装。
「…その衣装やっば」
「ヤバい?似合ってない?」
「いや、似合いすぎててヤバい。なんで何でも着こなせちゃうのお前」
「ありがと」
「な!めっちゃカッコ可愛いよな、柔太朗」
太智がひょこっと顔を出してくる。
「ホンマ違和感ないわ」
舜太も近付いてきて感心したように言うと、その隣で仁人も頷いている。
ありがとーと花のように笑う柔太朗は女子高生を見ているような錯覚をさせた。
可愛すぎて誰にも見せたくない。そう思ったが、プロである以上そんなことは言い出せない。
複雑な顔になる勇斗に、眼鏡をかけた柔太朗が覗き込んでくる。
「どうしたの?はやちゃん。…大丈夫?」
「あ、あぁ…何でもない」
勇斗の異変には逸早く気付く柔太朗に、パッと貼り付けた笑顔を浮かべる勇斗だが、全てお見通しのようで、嘘だという顔でじっと見つめられると、うっと言葉に詰まる。
メンバーに隠れて付き合ってる手前、変に思われないように柔太朗の肩に手を置いて耳元にこそっと囁き。
「ちょっと、こっち」
飲み物買いに行く素振りで連れ立って楽屋へ。
先に勇斗、続いて柔太朗が室内に入ると、扉を閉めるなり、勇斗がはぁ…と大きな溜息を吐き、振り返る。
「お前さぁ〜、その衣装何?本当にそれでPV撮んの?」
「え、ダメ?」
「ダメ」
真顔で言う。
「……って、仕上がり良すぎてさすがに言えねぇよ…なんなん、天才なん?」
分かっている。だからこそ発信しなければいけないことを。
「でも誰にも見せたくねぇ」
柔太朗の肩に両腕を乗せて、拗ねるように言う。
クラスメイトだったらと想像されるに違いない。彼氏としてだけならまだしも、彼女としても見られるなんて我慢できない。
子供みたいな勇斗に、ふふと笑う柔太朗。勇斗の独占欲は素直に嬉しかった。
それに不貞腐れながらも頑張って考えた衣装を結局は盛大に褒めてくれているのが、勇斗らしくて温かい気持ちになる。
「ライブで、もっとセクシーなやつとかも着てるのに?今回なんも露出してないじゃん」
柔太朗は勇斗の腰に腕を回しながら、宥めるような声色で話す。
本当は全部嫌に決まっている。だがそれと同じだけ輝いている相手を自慢したい。複雑な気持ちで勇斗が黙り込むと、目元に軽く口付けられた。
相手からの珍しいスキンシップに視線を上げると、綺麗な顔で妖艶に微笑む柔太朗。 眼鏡をかけていることで余計に相手の色香を引き立てている。
「それに」
勇斗の耳に唇を寄せて。
「…脱がすのは、はやちゃんだけの特権でしょ?」
囁くように言われて、ドクンと下半身に熱が集中する感覚。
「も〜〜〜、お前ズル過ぎ。そんなん言われたら何も言えなくなるじゃん」
堪らなくなった勇斗がぎゅううと抱き締めると、苦しい苦しいと笑う柔太朗だが、楽屋にかかる時計を見遣るとレッスンが始まる時間が迫っている。
「…そろそろ行かないと」
「だな」
最後に、啄むように口付け。
「ダンスレッスン終わったら、うち集合な」
脱がせて良いんでしょ?とすっかり機嫌を直した様子で勇斗は悪戯っぽく笑う。
「今日って言ってないって」
呆れたように言うが、どうしてか憎めなく、いつも勇斗のペースに巻き込まれてしまう。
それに、見せたくないのは自分だけだと思っているのだろうか。
相手の魅力を引き出す衣装を作れば作るほど、独り占めしたい気持ちと戦っているというのに。
柔太朗はそんな気持ちをそっと胸に仕舞い、スタジオに向かう。
レッスン後、宣言通りに連れ帰られたのは言うまでもなかった。
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