いいなぁ…
そう思った自分が怖かった。
アナウンサー「中学生男子が
八十代女性を殺害。
少年は調べに対して、『誰でもよかった』
『家庭環境に不満があった』と言う趣旨の
供述をしたとされる。」
そのニュースを見て思ってしまったんだ。
羨ましい、と。
昔、見た事がある。
「優等生は犯罪を起こしやすいらしい」
という内容の分。
その文では最終的に環境によるとか何とか
言っていたが、あながち間違いではない
と思っていた。
俺は長男だ。
しっかりものの次男。
天然で愛されるの三男。
才能のある四男。
体が弱くて、周りに見てもらえる五男。
そんな五人兄弟の1番上の俺は、
才能もない、努力も苦手。
ただ、何時間も勉強して、
何日も練習して、
それでも結果が出ないんだ。
『母さん、俺遠征行きたい…』
母「桃、ずっと言ってるでしょ…
ごめんだけどうちはお金ないから
遠征行けないの。島だから、
遠征費高いのよ。」
赤「母さん、来月合宿が本島の方であって、」
母「じゃあ準備しないとね! 」
父「Tシャツも買うか?」
赤は、才能があるけど、
俺はベンチにも入れないから…
『父さん、俺生徒会副会長に当選して…』
父「…」
緑「父さん、今回の中間480点だった。」
父「すごいな!今日はチャーハン頼むか!」
緑は俺よりもしっかりしてるから…
わかってる。
周りの友達も才能があって、
努力も怠らなくて、
だから俺ができないのは努力してないから。
祖母「紫くんは、中学の時塾に行かないで
校長先生に直接質問しに行ったりして
勉強して、県トップの高校に行ったんだよ。
それで上位になって、医者の大学行って、
国家試験1発でとって、
100番以内で卒業したんだよ。
紫くんみたいに桃くんも頑張らないとね。」
わかってるよ。
従兄の紫にぃが凄いことも。
努力の仕方が上手いことも。
でも、俺は知らないんだよ。
教えてもらったことないもん。
努力の仕方も、
愛され方も、
幸せになる方法も、
好きなことを見つける方法も、
夢を見つける方法も。
だって、生きてきて、
その度上手く交わして、
上手く誤魔化してたんだよ。
俺は、大人に何も教えて貰えなかった。
こども園の時は叔母が担任で、
小学校に上がった時には水が
本島の病院に入院して、
両親はいない。祖父母は緑たちばかり。
俺がいじめられてても、
黄の絵のコンクールの方が大事だったもんね。
環境だけで、
生まれたくて俺はここに
産まれた訳じゃないのに、
なんでこんな思いをしないといけないの?
大人になって、
俺は何をしたらいいの?
わからないよ…
誰も助けてくれなかった。
画面越しの彼らだけが
俺に…不特定多数の俺たちに
『愛してる』
『生きててくれてありがとう』
『見つけてくれてありがとう』
って言ってくれたんだ。
そして、悔しいも、後悔も、
楽しさも、夢も、幸せも全部教えてくれた。
でもさ、誰かが『俺に』
言ってくれることはなかったんだ。
タヒにたかった。
ここだったら…とか、 こうしたら…とか
沢山計画立てて考えた。
カッターで傷つけようとした、
薬も沢山飲もうとした。
タオルで首をきゅっとしようともした。
でも、俺って意気地無しだから。
どれも出来なかった。
周りには優等生、
流石お兄ちゃん、優しいねって言われるけど、
それは俺が怒るって感情をなくしただけだし、
空気を読まないと、弟に殴られ、
親が喧嘩して、家庭が壊れるから。
もし、俺が今この目の前にある
小さなチョコレートひとつでも
店から万引きしたら
親は見てくれるかも。
タヒんだら見て貰えるよね。
俺はダメなことだって簡単にやれそうだった。
だって、
何も分からないんだから。
これは、実話であり、
フィクションである。
どう受け取るかはあなた次第。
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