テラーノベル
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10月11日の数日前、俺は誕生日だった。
叶がいろんな所に連れてってくれたあと、高級レストランへ来た。
「葛葉、誕生日おめでとう。」
と言われ渡されたのは叶とお揃いのペアリング。
叶はアクアマリンのように輝く指輪、
葛葉はワインみたいに輝く深い色。
嬉しくて両手で顔を隠すと、叶は愛おしそうに俺を見つめた。
後日、 叶と遊びに行った。
お礼がしたくて、「叶にちょっとここで待ってて。」といい、花屋へ向い、赤い薔薇と赤いチューリップを買った。
交差点の奥で待ってた叶は俺を見つけ手を振った。
信号が青になって叶が俺の方に向かってくる。
_____と、信号無視した車が叶に衝突した。
一瞬何が起きたかわかんなくて、呆然とそこに立つことしかできなかった。
恐る恐る叶を見ると、血溜まりの上で意識を失っている叶がいた。
「え、これやばくない。」
「誰か救急車呼んで!!!」
「君、大丈夫か!しっかりしろ!」
周りが騒がしくなっているのに気づき、意識がハッキリとした。
かなえが、事故った。死んじゃう、叶死ぬ。
そんなことを考えていると、いつのまにか救急隊が叶を運んでいる。
俺は呆然と立ち尽くしているだけの自分に無念さを感じながらも、叶がいる病院に向かった。
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受付で叶の病室を教えてもらい、早歩きでそこの病室に行く。
叶はまだ意識が戻っていない。
幸い命に別状はないようで安堵の息をついた。
今日買った花束をベッドのそばに飾り、叶の指に指輪をはめて、叶の手を握りながら起きるのを待つ。
「かなぇ、かなぇ、おきて、」
と声をかけていると、叶の瞼が動いた。
すぐさまナースコールを押し、医者と看護師が数名きた。
邪魔だと思い、入口のところで叶を待つ。
叶が医者と何かを話している。
どうやら一部の記憶がなくなっているらしい。
と、全ての会話を盗み聞きしてると
「ところで、入口にいるあの人は誰ですか?」
「え俺?」
「え、はい。どちら様でしょうか、?」
叶が俺を指す。
「は、 」
記憶喪失でなくなってるのが恋人とかありえんの?本当に覚えてないの?叶、俺ずっとお前のことずっと待ってたのに?
「なんでおれ覚えてないの」
「あれ、これ僕がおかしいやつ?」
「なんで俺。他にわからない人とかいないの。にじさんじのみんなの名前言ってみて」
「え、うん、?んーと、ンゴちゃんとかレオスとか、ローレン、イブラヒム、ふわっちとか?ひばとか宇佐美とか。星川、りりむ、赤羽とかかな…って、なんでみんなのこと言わないといけないんですか?」
「…おれのことわかんないの、」
「だからわかんないって言ってるじゃないですか。もう帰ってください、知らない人に来られても迷惑です。」
「っ、ごめっ、」
いつもの叶の優しい口調じゃない。
まるで嫌悪を示したような、冷たい声色。
それがショックで目に涙を溜める。
「…わかったっ、ゆびわだけっ、ちょうだい、ゆびわくれたらっ、もうこないからっ」
「指輪?ああ、これか。付けた覚えないからいいけど。はい、これでいい?」
こく、と首を縦に振ることしかできなかった。
葛葉は涙を堪えるようにして家に帰った。
叶はもう俺の名前を呼んでくれないのが悲しくて、寂しくて。 一生泣くことしかできなかった。
「っ、ッ゙〜〜〜っふ、ぅあ、ッぁ”、ッッう、
かなぇッ、なんでお”れのことっ、わすれたのっ、お”れ、おまぇッ、ずっとまってたのにッ、かなッ、かなっ、」
葛葉は家で散々泣くことしかできなかった。
ろくに飯も食ってない、ろくに寝てもない。
だがそれどころではないくらいショックだった。
叶は元々自分のことなんか好きじゃなくて、気を使って一緒にいてくれてたから忘れた。 そんな想像が頭に浮かび、悲しくて涙が止まらない
俺はペアリングを握りしめて、一生泣いた。
後日、葛葉は活動休止した。
理由は体調不良のため、とのこと。
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あの人なんだったんだ。
僕が起きたときに、入口の前に立ってたから 興味本位で聞いてみると、泣きそうな顔をした。
なんで泣きそうな顔をしてたんだろう。
記憶が無くなるまではそんなに仲が良かったのかな?と思い、スマホで にじさんじ 叶 と調べると、 にじさんじ 叶 葛葉 が出てきた。
葛葉って誰だ?もしかしてあの人か。
と思いながらそれをタップして動画を見る。
「僕あの人とそんなに仲良かったんだ。 でも仲良いのに忘れるとかあるんかな。」
“ChroNoiR”というユニットをやっていて、そのユニットがしている”くろのわーるがなんかやる”というチャンネルが人気だった。
これだけ見ても思い出せないんだったらもうどうしようもない。過去の僕には悪いが、忘れたもんは仕方ない、ChroNoiRは解散したほうがよさそうだ。
後日、僕は退院した。
今日は生徒会の収録があるからスタジオに来ていた。
もう収録は終わったので帰ろうとしてたらりりむがいた。
「りりむじゃん、やっほー」
「やっほー!なんだけど!にいやん事故ったって聞いたけど大丈夫なの?!」
「うん。そんな大きな怪我じゃなかったし。」
「よかったぁー、心配したんだからね!!」
「んふwありがとうw」
てか、りりむは葛葉さんを知っているのだろうか?と思い、なんとなく、本当になんとなく聞いてみた。
「ところでりりむ、葛葉さんって知ってる?」
「え、いきなりどうしたの。 この前一緒 ゲームしたけど、」
「え、そんなに仲良いの?」
「本当にどうしたの。」
「りりむちゃん、聞いて? 」
僕はりりむに先日起きた話を全て話した。
「ってことがあって。葛葉さんと僕ってどんな関係だったの」
りりむの顔が青ざめるのがわかった。
「に、いやん。それ、だめ、やばいやつ、 葛葉、死んじゃう、かも、」
「え?死ぬの?」
「にいやんとにかく家行って!本当に死んじゃう!家ここ!はい!」
りりむに住所を教えてもらい、本当にやばそうだったから急いでタクシーに乗った。
マンションに着いたが、何回かまでは教えてもらってない。
わからないままエレベーターに乗ってしまったことに後悔してたら、僕の指がボタンを押した。
「うそ、体が覚えてるやん。 」
ほんとに仲良かったんだな。と謎に感心していたら、目的の階に着いた。
歩いて葛葉さんの部屋の前で足を止め、カバンを漁り合鍵をとる。
本当に体覚えてる。 まあいい、とにかく急がなければ。と思い、合鍵を回してドアを開ける。
遠くから泣き声が聞こえる。それも、僕を呼んだ声。
ずっと僕を呼んでは、なんでなんでなんでなんで。と繰り返している。
家の中に入って、声がする部屋に耳を近づける。
「っ、ッ゙〜〜〜っふ、ぅあ、っぁ”、ッう、ひゅッ、かなっ、なんでっなんでっかなッひゅッ、かひゅッ、う”あぁッ、なんでっ、 」
痛々しい泣き声が部屋中に響き渡る。
我慢できなくなり、部屋のドアを開けると…
そこにはどれだけ泣いたのか、目元が赤くなって、今にでも倒れそうなくらいの隈ができた葛葉がいた。
僕をみた葛葉は首を振りながら、
「…ぇ…ちがっ、かなっ、なんでっ、ひゅッ」
と、今にも取り乱しそうになっている。
他人なのに、知らない人なのに何故か同情してしい、無意識のうちに抱きしめてた。
「かなっ、なんでっ、う”ぁぁッ、かなッ、」
「葛葉、でしたっけ。こんなに悲しい思いするとは思わなくて。あんなこと言ってすみませんでした。」
「ひゅッ、いまっ、なんっ、」
「え、あんなこと言ってすみませんって、」
「ちがっおれのことっ、もっかいよんでっ、」
「葛葉」
「もっかいっ」
「葛葉」
「う”ぁぁあっ…なんでっわすれち”ゃったっ」
「かなえっ、すきっ、すきっ、もどってっ、きおくもどってっ、ひゅッ、すきだからっ、」
彼が泣き叫ぶ中、僕の視界が段々暗くなり、そのまま意識を失った。
「ひっ、なんでっ、かなっ、ひゅッ、またっ、おれのせいっ、ごめっ、ひゅッ、かひゅッ、」
葛葉は、事故のときのに”また”倒れてしまった叶を前に、泣くことしかできなかった。
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なんで?なんでなんでなんでなんでなんで。
なんで倒れたの?また俺のせい?
叶が倒れた。なんで?
俺のせいで、俺がまたやり我儘言ったから。
記憶戻ってって我儘言ったから?
叶おきて、ごめん、俺が、ごめん、かなえ、かなえ、かなえ、かなえ、ごめん、ごめん。
そんなことを口に出せていたのかもわからない。 呼吸もままならなくて、頭で謝ることしかできない。
叶が何事もなかったようにむくりと起きた。
「かなっ、は、ひゅッ、えッ、?かひゅッ、」
「くーちゃん、どしたの?こっちおいで」
「っひ、かっひゅ、なんでっ、きおくっ、?」
「ごめんね。酷いこと言ってた。戻ったよ。」
その言葉を聞いた瞬間、今までの気持ちが全て溢れ出した。 叶はこれでもかというほどに葛葉を抱きしめた。
「う”ぁぁあ”ッ、かなぇッ、かなぇッ、なんできおくッ、なくなちゃたのっ、かひゅッ、」
「本当ごめんね。えらかったよ。
取り敢えずゆっくり息して。しかも、お前その顔じゃ全然寝てないでしょ。」
叶が葛葉の背中をとん、とん、と一定のリズムで叩く。
泣き止み、呼吸も安定してきたところ、葛葉は安堵で叶の胸に顔を埋め、気を失うように眠りについた。
葛葉が寝たあとは少し僕も寝て、葛葉を起こさないようにベッドから起きてキッチンに向かう。
元から体型がひょろりとした身体だった葛葉は、もっと痩せこけた体型になっていた。
「飯食ってないんだよな…」
お粥なら食べられると思い、鍋に火をかける。
葛葉のことが心配でいちいち部屋を覗いてしまうから時間がかかってしまったが完成だ。
葛葉が寝てから数時間が経った。
何日か寝てないのでまだ寝かせときたいとこだが、飯を食わないと流石に危ないと思い葛葉を起こす。
「くーちゃん起きて、ごはんたべよー」
「ぅー、んー、かなぇー、」
「ん、しかたないなぁ、よいっしょ」
このままじゃ一向に起きそうにないので、抱き抱えてリビングに向かう。
リビングに来ても起きなそうだから強制的にお粥を口にぶち込む。
「くずー、あーん」
「んー、んぐっ、んまぃ、」
もぐもぐ…とゆっくり咀嚼する葛葉はまるで幼稚園児のように幼く見える。
意識が浮上してきたのかだんだん自分から口を開けてくれるようになりありがたい。
全て食べ切った頃には完全に起きていた。
「くーちゃん、ほんとにごめんね。」
「もうわすれないで、 おれをひとりにしないで。 つぎはゆるさないから。 ばかなえ。」
だんだんと口調がガキっぽいのに戻っていく。
「ごめんね。いっぱい泣いたでしょ?
今日は一緒にお風呂入って、一緒に寝よ。」
「…………ぅも。」
「ん?」
______ちゅうもしてくれなきゃやだ。
はぁ、君はどこまで僕を魅了するんだ。
【了】
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納得いかない作品できちゃったよ!!!!
こんなのもお気に召してくれる人がいたら光栄ですね☺︎
最後まで読んでくれてありがとうございました
そしていつもお疲れ様です!
さようならー!
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