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お月様の裏の顔_小説版
⚠️_潔愛されはこの話には出てきません、でも後から出します!絶対!多分三〜四章ぐらいから
第一章_お月様の御伽噺
炎は消えない。まるで胸の中で燃え続ける火のように、黒く冷たい空気の中でひび割れた光を放つだけだ。死者の顔が浮かび、彼らの泣き声が、まるで地面から湧き上がるように響いてくる。その声は、空気を切り裂き、僕の鼓動すらかき消す。全てが永遠のように繰り返され、時間が止まったかのような感覚に包まれる。
これが、絶望なのだろうか。どれだけ深く奈落に落ちても、終わりの兆しは見えない。ただ、重力に引き寄せられ続けるだけだ。何も見えない、何も感じられない。この空気の中では、全てが無意味に思えてくる。足元が崩れ、地面に沈み込む。まるで何重にも重なった鎖に動きを奪われたように、僕はただ無力にそこにいる。
あの日愛した街は、今や死体のように横たわり、炎がその体を焼き尽くす。何もかもが消えていく。ただ僕は、ただその光景を見つめるしかできない。僕がここにいることすら、何の意味も持たない。胸を締め付ける痛みと深い無力感が、すべてを飲み込んでいく。
どうして、僕はこんなにも守れなかったのだろう。手を伸ばせば届く場所に、どうして一歩も踏み出せなかったのか。隣にあった命も、今や冷たく、消えゆく。あの温もりも、あの声も、夢のように遠ざかっていく。何もできない。僕はただ、そこに立ち尽くしているだけだ。無力なままで、目の前の悲劇を呆然と見つめることしかできない。
それが、絶望だ。終わらない、終わりの見えない絶望。
何度も心の中で「ごめんなさい」と呟き、溢れる涙に身を任せるだけだ。どうして僕は、あなたたちを守れなかったのか。胸が裂けそうだ、息をするのも苦しい。心の中で叫び続けるその声が、僕を押しつぶしていく。どうして、あの時、あんなにも近くにいたのに、手を差し伸べることすらできなかったのか。その問いに、答えることができない。
目の前に広がる死と絶望を、ただ見つめることしかできなかった。どれだけ頭を振り、泣き叫ぼうとも、何も変わらない。顔を地面に埋め、引き裂かれるような思いを押し込めて、震えながら耐えた。その痛みすら、逃れることができない。
「お願いだ、許してくれ」そう、心の中で叫び続けるけれど、もう誰も答えてはくれない。残っているのは、ただ炎に包まれた街と、崩れゆく命の音だけだ。生きている意味を、今はどうしても見つけることができない。もしあの炎が僕を包み込んでくれれば、どれだけ楽だっただろう。痛みを感じることなく、すべてを終わらせてくれたなら。
けれど、それすら許されない。僕はただ、命を背負って生きている。希望の光を願うことさえできない。光があれば、それにすがることができるけれど、今はその影すら見当たらない。ただ、無意味に生きることを強いられているだけだ。心の中の空白は、どんどん広がっていく。
僕が生きている理由を、もう誰にも聞くことができない。だって、その答えは、もうどこにもないから。
炎がだんだんと近づいてくる。温度が少しずつ、体に染み込んでくるのがわかる。もし、この両足があれば、きっとどこまでも走り抜けられるだろう。あの光景から逃げ出すことだってできるはずだ。だけど、僕はここに残っている。いや、残っているというよりも、もう動けない。もう一歩も踏み出すことができない。
懺悔している方が、まだ楽だ。ここにいて、少しでも償おうとする方が、意味があるように感じるから。けれど、その代わりに僕は苦しみ続けることを選んでいる。逃げられるのに、逃げたくないわけじゃない。でも、あの人たちの分まで生きるべきだって、わかっているんだ。あの人たちが命を落とした中で、僕だけが生き残ることが、どれほど罪深いことなのか。だからこそ、僕はここにいるんだ。
でも、僕にはその重さを背負いきれない。何度も言い聞かせても、耐えられない。あの人たちの声が耳に鳴り響く。助けられなかったことが胸を締めつける。何もできなかった自分を責め、心が押し潰されそうになる。あの炎が僕を包み込んでくれれば、それでいい。楽になれるなら、何もいらない。
お願いだ、お願いだから、やめてくれ。僕はもう限界だ。こんなに辛いことを、どうしてずっと背負い続けなければならないんだろう。あの人たちの分まで生きることが、こんなにも苦しいとは思わなかった。逃げることが、こんなにも罪深いことだと感じることが、こんなにも辛いことだとは思わなかった。
どうして、こんなにも生きることが耐えられないんだろう。お願いだ、どうか、やめてくれ。
その時、ふと目を上げると、予想もしない光景が広がっていた。すべてが灰に変わり、叫び声が響くような火の海が残ると思っていた。だが、そこにあったのは月だった。
その光景が異次元のようで、思わず息を呑んだ。月は、炎の熱や黒煙、灰色の空に負けることなく、圧倒的に輝いていた。まるで空の半分を埋め尽くすほどに大きく、その存在感に圧倒された。炎が荒れ狂う中でも、月は冷徹に、そして美しく反射していた。
驚いたことに、こんな絶望的な状況の中で、月は凛として、揺るぎなく輝いていた。世界が崩れ、すべてが失われていく中で、唯一動じることなく美しさを放っているかのようだった。破壊と死の中で、その光は鮮やかで、心の奥深くに届くようだった。
まさか、こんな環境で「美しい」と感じる日が来るなんて思わなかった。死と絶望に包まれているはずのこの世界で、唯一残ったその冷徹で清らかな美しさが、絶望の先に差し込む光のように、強く、静かに輝いていた。
何もかもが終わったように思えたその時に、ただ一つ、美しいものがここにある。それがどうしようもなく胸に響いた。月がただそこに存在することが、僕にとっての救いのように感じられた。何もかもが壊れていく中で、それだけが、永遠のように感じられた。
「お月様_…」
その呟きは、夜風に吹き流されるほどに弱々しく、まるで誰にも届かないかのようだった。しかし、それでも月はただ静かに、強く輝き続けていた。その存在感が、まるで呟いた言葉に返事をしているかのように感じられた。
「楽になるって決めたのに、…」
どうして今頃こんなにも凛々しいものを見てしまったのだろう。月の冷徹な美しさに、心が揺さぶられてしまった。あれだけ、全てを投げ出す決心をしていたのに。どうして、今さらまた生きたいと思ってしまうのか。あの炎に包まれた世界から、もう一度命を拾いに行こうとする自分が、ただただ不思議で、哀しく感じられる。
「ずるいですね、 お月様」
少しだけ唇を引き裂くような笑みを浮かべ、そしてその顔は、誰にも見られることなく消え去った。
その笑いも、すぐに炎とともに散っていった。まるでその一瞬にすべてが集約されているかのような短さで、何もかもが焼け落ちる中で消えていった。月の冷たい光だけが、揺るぎなくそこに残っている。
それでも、何もかもが焼き尽くされていく世界の中で、僕の心の中に残ったものは、あの月の美しさと、それに引き寄せられた自分の弱さだった。それが、ただ一つの答えのように感じてしまう自分が、少しだけ怖かった。
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「えぇ〜!?」 一人の女の子が眉をひそめて、不満そうに声をあげた。その顔には、物語が重すぎて心が追いつかない様子が見て取れた。「そんなお話、私嫌い。」
「もっとハッピーなのがいい。」
そう言いながら、足をジタバタさせて、子供らしい不満を表していた。その姿に、思わず微笑ましくも感じた。まだ世界をすべて理解していない、純粋な目がそこにあった。
「でもね、そこからお月様のエネルギー源が取れるようになったんだよ?」
急いでフォローするおばあちゃん。その言葉を使って、少しでも物語に明るい面を持たせようとしているようだった。
「へ〜、じゃすごいんだな!」
その話を聞いていた男の子が興味深そうに言った。まだ小さな顔には、その発見に対する驚きと好奇心が浮かんでいた。
「そうなんだよぉ。私たちはお月様のおかげで生きていられるんだよ。」
おばあちゃんは、まるで子供たちに大切なことを教えるかのように、ゆっくりと説明を続けた。目の前にある小さな世界が、どれほど大きな力によって支えられているのかを語っていた。
「お月様の…エネルギー…」
男の子は、言葉の意味が少しずつ飲み込めてきた様子で、興味津々に繰り返した。まるでこの世の中の秘密が一つ解き明かされたかのように、その言葉が胸に響いているようだった。
おばあちゃんは微笑みながら、続けた。
「そう。お月様のエネルギーは、私たちの生活の中で、目に見えない形でたくさんの恵みをくれるの」
「へぇ〜、すごいなぁ。」
男の子は、今度は真剣な顔で、目を見開いて話を聞いていた。
女の子も少し納得した様子で、しばらく黙って聞いていたが、やがて小さな声でこう言った。
「じゃあ、お月様って、本当に大切なんだね…」
その言葉に、おばあちゃんは優しくうなずいて、微笑んだ。
「うん、そうだね。お月様がいなければ、私たちの生活はこんなに豊かじゃなかったかもしれない。」
その一言が、子どもたちの心に少しずつしっかりと根を張り、夜空を見上げることが少しだけ特別な意味を持つようになったのかもしれない。
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当たり前のように見過ごされがちな光景、その背後にはお月様のエネルギーが静かに共鳴しているのだろう。――この世界が絶命を迎える時、希望の光として現れたのは、冷徹でありながらも不思議な美しさを放つお月様だった。その瞬間から、お月様のエネルギーが我々の世界に流れ出し、あらゆるものを変えていった。
太陽光とお月様のエネルギー源、一見、違いがないように思えるが、実は圧倒的に異なる。太陽光は、エネルギーというよりも、地球を温め、昼間に明るさをもたらし、時間を刻むための基盤を提供している。無論、生命に欠かせない力を与えているが、その役割は明確であり、物理的なものにとどまる。
一方で、お月様のエネルギー源は、それとはまったく異なる。月の光が夜空に浮かび上がった瞬間、月明かりはただの反射光ではない。それは、目に見えぬ形で我々にエネルギーを与える源となるのだ。そのエネルギーで育った作物は、太陽光の80倍も強く、そして美味しく育ち、やがて人々の食卓を豊かにする。
月光は、地上に降り注ぐ光にとどまらず、我々の生活そのものに深く根ざすエネルギー源となり得る。作物だけでなく、乗り物にも月のエネルギーは利用され、現代の技術、例えばインターネットや電気、ガスといった日常の全てが、お月様のエネルギー源によって支えられることになる。現代の便利さの中に、月の力が静かに息づいているのだ。
あの時、あの場所で目にした神々しい存在。それこそが月であり、私たちはその存在に深い敬意を込めて「お月様」と呼ぶ。月はただの天体ではなく、時を超えた力を持つ神聖な存在として、私たちの生活に不可欠なエネルギーを供給し続けている。
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読んでいただきありがとうございます!小説版を出すことで親に堂々と本を読んでいると言えるので自分の国語の単位も崖っぷちからその一歩下がることができました!皆さんも親に堂々と本を読んでるアピールができますね←多分私だけ
チャット版も出したいです!
フォローしていただけると投稿日増やします!多分…
ー|御伽話に出て来た男の人は潔ではございません|ー