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コメント
1件
二人とも可愛いすぎる💕 ほのぼの上手く書けないから尊敬します😖🫶 一生この尊い空間が続いてほしい、
そんな貴方が可愛らしくって_。
ようやく秋らしくほんのりと肌寒い季節が訪れてくれた。薄着というほど着ていないわけでもないが、そろそろ冬が訪れるだろうなとは予想が付けられる季節が来て、ほっと一息つける。暫く公園のベンチに腰掛けて、足をぶらぶらと動かしながら空を眺めている。夏頃に一緒に出掛けたいと誘ってくれたのはいいものの、向こうもこちらも忙しいが故に中々予定が合わなかった。すっかり夏の暑さが消えかけた頃、ようやく1日予定があったので出掛けようと計画を立てられた。
「ごめん、待った?」
そう言って駆け足で寄ってきたurは、相変わらずお洒落な格好をしている。白いシャツの上に、薄手のミルクティー色をしている羽織ものを着ており、落ち着いた紺色のゆとりあるズボンを履いていた。首元にはネックレスがついており、流石我がグループのお洒落担当と褒めたくなった。が、urは褒められると照れて不機嫌になることがあるので褒め過ぎないようにしなければならない。
「平気、俺もいま来たところだし」
「それ、俺が言いたかった台詞だし」
少しむくれたurを宥めながら、ベンチから腰を上げて行こうと言った。渋々着いてくるurの白魚のように奇麗な手を取り、早足に公園から抜けた。後ろから困惑した声が聞こえてくるので、それを無視しながら目的地まで向かった。大通りに出ると人通りが多いが、構わず俺はurと手を繋いで歩いた。
「…いいの?」
途中、不安そうにこちらを見てくるurと目が合った。何が、と聞かなくたって何に対して聞いているのかくらい理解している。だからこそ、笑いが止まらなくなってしまった。そんなこと、と思ってしまう。
「いいの。俺は、urとこうしたいから」
「…そっか」
ほんのり嬉しそうに笑うurが可愛らしくって、可愛いなぁなんてボヤきながら目的地のカフェに着いた。ここは甘さ控えめで美味しいのだとメンバーが太鼓判を押していた。店内はアンティークで、檜がメインに使われており、落ち着いた雰囲気の良いお店だった。席に着き、互いに注文して暫くお喋りをした。最近ハマってるもの、好きなこと、メンバーとの思い出話。沢山、沢山話したかったことがあったんだ。
「おまたせしました」
その一言で会話は一時中断され、食べることにした。俺はサンドウィッチを、urはお腹が空いていないからとカフェオレを頼んでいた。一口食べると香ばしく、サクッとしたパンの食感を感じられた。その後、瑞々しいレタス、トマト、ハムが順に感じ取られて口の中が幸せに満ち溢れた。余りにも美味しすぎて思わず口元が緩んだ俺を見て、urはくつくつと笑いを溢しながらカフェオレを優雅に飲んでいた。
「…」
正直、urはすごく格好良い。メンバーからも格好良いのだと言われるくらいには服のセンスも良い、スタイルも良い、顔も整っている。オマケに声も良くて、歌も上手くて、ギターもピアノも弾けるし、絵も描けてゲームも上手い。しかしそれらは生まれ持った訳ではなく、努力をして手に入れたものだからこそ、尚更尊敬の念が止まない。今だって、カフェオレを飲んでいるだけなのに凄く絵になる。じっと見ている俺に気が付いたのか、少し首を傾げてこちらを見てきた。
「jpさん、どうかした?」
「なーんでもない」
何となく、恥ずかしくなったので目を逸らして残りのサンドウィッチを平らげた。俺が食べ終えたのを見計らってそろそろ店を出ようと立ち上がって会計をした。最初こそ俺が奢ると言ったが、結局割り勘に落ち着いた。その後は暫く人通りの少ない道を歩いて散歩することにした。しかし、あまり通ったことのない道だったので、迷子になってしまった。
「どっちだろうね」
「ついてこい」
そう言い、俺の腕を掴んで颯爽と歩いていくur。何だかその後ろ姿が頼もしくて、格好良いなぁと思わず口からこぼれてしまった。慌てた俺を見て、思わず吹き出して笑い転げているurに、今度は俺が膨れっ面をしていた。
「jpさんは可愛いよ、すっごい」
「嬉しくないよ…」
「待ってる時に足を動かす所とか、美味しいもの食べた時口いっぱいに頬張って、全身で美味しい!って表現してくれる所とか、素直な所とか、可愛いなって思ってる」
その時のurが余りにも格好良くて、思わず手をぎゅっと強く握ってしまった。そんな俺に応えてくれるようにurも握り返してくれ、心がじんわりと暖かくなっていくのが分かった。
しかし、そんな格好良いのとは裏腹に十分後、何故か先程と同じ景色が目の前に飛び込んで来る。どっちだろうね、と言ったばかりだったような気がして、urを見ると困った様な顔をしていて、思わず噴き出して笑ってしまった。
「っふふ…ふ、は、駄目だ、ur可愛いね、ふ、ふ」
「うるさいうるさい」
顔をほんのり赤らめて拗ねるurは格好良くもあれば可愛くもある、自慢の恋人だ。暫く笑った後、スマホを取り出してマップアプリを開いた。それを見ながら見覚えのある道に出よう、とurの手を引いた。
「次は何処行こう」
「何処でも、jpさんとなら何処だって楽しいから」
「うん」
家に帰るまで、ずっと手を繋いでいた。この手が永遠ならいい、永遠が無理なら、おじいちゃんになった時まで。沢山、話をしよう。何時までだって、きっと喜劇は続くのだから。何時までも、何時までも、この手を途絶えさせないように。この生活は、続いていくんだから。