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「はぁ……また伊織さんからの連絡、途絶えちゃったな……」


伊織の家に泊まりに行ってからひと月半、またしても連絡が途絶えていた事に嘆く円香。


休日なので自室のベッドの上でだらだらと過ごしていると余計に伊織の事を考えてしまうようで、気付くと溜め息を吐いていた。


「そういえば、請け負ってた仕事がひと段落したから元の家に戻ったって言ってたけど……確か、便利屋さんの事務所は住宅も兼ねてるって、言ってたよね……」


実は伊織からの連絡が途絶える前、マンションから引っ越すので忙しくなるという内容の連絡を貰っていた円香。


それから暫くは忙しいだろうと連絡が来なくても我慢していたのだけど、流石にもう我慢の限界が来ていたのだ。


「便利屋さん……確か、utilityっていう名前だったような……」


伊織の職場である便利屋の場所をネットで検索する円香。


「ここからだと、電車で三十分ちょっと……駅からも結構かかるんだ」


場所を確認した円香は自宅最寄り駅の電車の時刻を調べ始め、


「よし、この電車に乗ろう! 急いで準備しなきゃ」


ちょうどいい時間の電車を見つけるとすぐに出掛ける準備に取り掛かる。


そして、電車を乗り継いで伊織の住む町へやって来た円香はバスに乗り、そこからスマホのナビを頼りに便利屋の事務所を探していく途中で、


「あれ? 円香ちゃん?」


近くのコンビニへ買い出しに来ていた雷斗と偶然鉢合わせた。


「あ、早瀬さん。ご無沙汰してます」

「こちらこそ。っていうか、こんな所でどうしたの?」

「……あの、実は……伊織さんからの連絡が途絶えてしまって心配で。便利屋さんの事務所の方に引越しをするって聞いていたので……訪ねてきちゃいました」

「そうだったんだ? そっかそっか。けど今伊織は仕事で出てるんだよね」

「そう、なんですね。それじゃあ、帰ります」


雷斗から伊織が事務所に居ない事を聞いた円香はがっくりと肩を落とすと、来た道を引き返そうとする。


「あ、ちょっと待ってよ。せっかく来たんでしょ? 伊織、夕方には戻ると思うし、良かったら事務所で待ってなよ」

「え? で、でも……」

「遠慮しないで。俺今日はフリーで暇してたんだよね。せっかくだから話し相手になって欲しいな」

「……それじゃあ、お邪魔します」


雷斗の提案で伊織の帰りを待つ事になった円香は共に事務所へ向かって行った。


事務所に着き、雷斗と話をしながら伊織の帰りを待っていると、


「あー疲れた」

「お疲れ、伊織。お客さんが来てるよ」

「客?」


夕方、疲れたと言いながら部屋へ入って来た伊織は雷斗の声に反応して来客用のソファーに視線を向けた。


「伊織さん、お疲れ様です」

「円香、お前……何でここに」

「すみません、いきなり訪ねて来てしまって。その、連絡が来なくて、心配で……」


まさか雷斗の向かい側に円香が座っているなんて思いもしなかった伊織はただただ驚くばかり。


久しぶりの再会とあって喜ぶかと思いきや、


「……はあ。あのさ、いきなり来られるとか迷惑なんだけど」


突然大きな溜め息を吐き、迷惑そうな表情でそう言い放った伊織。


「おい伊織! そんな言い方……」


伊織の言葉が予想外だったのか雷斗はすぐさま抗議するも、円香は何も言わないどころか戸惑いの表情を浮かべて立ち尽くしていた。

愛を教えて、キミ色に染めて【完】

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