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1ヶ月に1回、一瞬の娯楽。

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1ヶ月に1回、一瞬の娯楽。

1 - 1ヶ月に1回、一瞬の娯楽。

2024年08月10日

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「起立、礼」

「さようなら~」

そんな声とほぼ同時に俺は鞄を持つ。

友達からの遊びの誘いを早歩きと共に断る。

バス停まで早歩き。いちばん早く来るバスと猛ダッシュで競走。

勝者は猛ダッシュを運転手に見られた俺。

今まで間に合ったことないバスに初めて勝利。

ありがとう、優しい運転手さん。

今日は1日。1ヶ月ぶりに”あれ”をする日だ。

今日はふとした瞬間、身体が”あれ”を欲しがるから、大変だった。

早く家に着けと、窓を眺めていた────



ドスドス足音を立て、思いっきり玄関のドアを開ける。

マンションとかアパートだったら苦情が来るのでは無いかと考えるが、ここは一軒家だし、もうそれどころでは無い。

家に入ってもう、身体は我慢の限界に達していた。

リビングの棚に手を伸ばす。

思い切り棚を開けると、「待ってたよ」と言わんばかりの…


耳かき棒!!!


もう離さない、という気持ちで耳かき棒をしっかりと握る。

これがきっと、遠距離恋愛中、久しぶりに彼女に会う気持ちなのだろう。

持ってきたからと言って焦っては行けない。俺は着々と準備を進める。

綿棒、ティッシュ、消毒用にウェットティッシュ。

用意はできた、俺は今から月イチの娯楽を始めるのだ。


まずは耳を優しく揉みほぐす。これが意外と重要な過程。

耳をほぐすと耳穴が広がるらしい。快適な娯楽を行うためには必須である。

なんでもかんでも、突っ込めばいい訳じゃないっていうのは、きっと恋愛と同じだろう。


次は穴の中に…ではなく、穴の外の掃除だ。

大事なのは綿棒を濡らすことだ。なんかその方が取れやすそうだし、肌に何となく優しそう。

耳掃除は本来、人間には必要ないらしい。もちろん人によりけりだが、耳垢は普通に過ごしていれば自然と中から出てくる。

だから耳の中だけやればいい訳では無いのだ。

あとは綿棒の乾いた方で全体を拭き取る。なんとなく濡れっぱなしはダメな気がするから。


ここからが本番である。

俺は耳かき棒を耳の中に入れる。

入口から、すぐに感触でだいぶお汚れしているのが分かる。

入口から丁寧に、そして自分的に心地よい強さで次々取っていく。

ちなみに耳かき棒であればなんでもいいわけじゃない。俺はステンレス製のが1番好きだ。

耳の中の籠った熱が、それで冷やされる感覚が好きだからだ。


満足したら、濡らした綿棒で取り残しがないか確認。もちろんかわいた方で拭き取ることも忘れずに。





今回も大収穫であった。耳もスッキリしたし。

汚れたティッシュを眺めていると、ドアの開く音がする。

俺は急いでティッシュを綿棒達を包んで丸め、ゴミ箱に。耳かき棒は元の位置に。

「ただいま~」

「おかえり~」

何事も無かったかのように俺は返事をする。

やはり帰ってきたのは母親であった。

なぜ急いで片付けしていたかというと…

以前、母親に「そんなに耳いじくってたらぶっ壊れるで!!」と言われたからだ。

その時の俺は、痒くなればすぐ耳かき棒を突っ込んでいた。毎日のようにやっていることもあった。だからたまに耳が痛くなったりもした。

今は反省して、1ヶ月に1回、と決めている。

だが、何か言われたら面倒だから、なるべく母親の前ではしないようにしているのだ。


今日はいつもよりも、なんだか充実していた気がする。

次の耳かきは1週間後か…と、ちょっと寂しくなりながらも、ベッドに転がる。

「…耳かき専門店にでも行ってみようかな」

と、突然思いついたが、きっとすぐ忘れてしまう、一瞬の夢。

俺はそのまま眠りについた。

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