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#Lapis
川稀
4,750
𝓵𝓮𝓷𝓪.⋆𝜗𝜚
292
体調不良集始めます
急性低音障害型感音難聴/メニエール病
けたたましい歓声が響く、ライブ開演直前のバックステージ。
🤍は、自身の左耳に違和感があった。
(……あれ、なんか耳が詰まってる?)
プールに入った後のような、奥がじんと重い感覚スタッフの指示も、メンバーの声も、
まるで水の中から聞こえてくるようにこもっている。
❤️「柔太朗、衣装のチェック大丈夫?」
声をかけてくれた❤️の顔を見るが、その声の低い響きだけがごっそり抜け落ちて、ひどく遠く感じられた。
気のせいだと思いたかった。
しかし、異変はそれだけでは終わらない。
ステージの床を踏み締めた瞬間、ぐにゃりと視界が歪んだ。激しいめまいが襲い、思わず近くの壁に手をつく。
🤍「……っ」
💙「柔太朗? どうした、顔色真っ白じゃん」
異変に気づいた💙がすぐに駆け寄り、肩を支えてくれる。
🤍「大丈夫……ちょっと、立ちくらみ」
💙「嘘つけ、めちゃくちゃ震えてる。スタッフさん呼ぶ――」
🤍「だめ! 呼ばないで太智くん……! すぐ開演だから、お願い。ステージ立ちたい」
柔太朗は必死に太智の腕を掴んだ。音が命のアイドル、自分が「耳が聞こえづらい。めまいがする」なんて言えば、
一発でステージを降ろされる。
ファンを悲しませたくない。
5人でステージに立ちたい。
その一心だった。
💙は苦渋の表情を浮かべたが、
そこに🩷と💛も異変を察してすっ飛んできた。
開演まであと数分。
💛は🤍の強い視線を受け止め、
深く息を吐いた。
💛「……分かった。でも無理だと思ったらすぐ俺らを見ろ。
全員でお前をカバーするから」
🩷も🤍の背中をポンと叩き、
「俺がずっと近くにいるから安心しろ」と力強く笑った。
ステージの幕が上がる。
きらめく照明と、地鳴りのような歓声。だが、イヤモニから流れるはずのクリック音や音源が、低音だけ完全に狂って聴こえる。
ピッチが取れない。
自分が正しい音程で歌えているのかすら分からない。
さらに、フォーメーション移動で激しく動くたび、世界の上下が分からなくなるような回転性のめまいが襲う。
サビ前、足元がふらつき、あわや転倒しそうになったその瞬間。
すっと、
隣に並んだ❤️が、ダンスの振り付けの流れを装って自然に柔太朗の腰を支えた。
舜太は一瞬だけ目を合わせ、
優しく、
でも力強く頷いてみせる。
それだけではない。
移動のたびに、勇斗はいつもより大きな身振りでカウントを取ってリードし、💙は位置がズレそうになる🤍の手を引いて位置を補正した。
そして💛は、MC中も常に🤍の体調を気遣うように視線を送り続け、
自分のパートでない時も隣をキープしてくれていた。
耳は満足に聞こえない。頭はぐわぐわと回っている。
だけど、4人のまっすぐな視線と、肌で感じる熱量が、🤍に「ここにいていいんだ」という絶対的な安心感を与えていた。
なんとか本編を歌いきり、ステージの袖にハケた瞬間。
緊張の糸が切れた🤍の身体は、崩れるように床へと倒れ込んだ。
「柔太朗!!」
すぐに4人が取り囲む。
💙「横にしろ! 誰か、バスタオルと冷たい水持ってきて!」
鋭い指示が飛び、🩷がすぐさま衣装の首元を緩める。
💛は🤍の頭を自分の膝に乗せ、舜太は
「柔、大丈夫だからね」と手を握りしめた。
🤍の視界はまだ激しく回っており、天井がぐるぐると動いていた。
耳の閉塞感も限界に達し、メンバーの声がほとんど聞き取れない。
恐怖で涙がこぼれそうになった時、握られた手の温もりと、額を優しく撫でる仁人の手のひらの感覚だけが、唯一の救いだった。
🤍「ごめん……おと、きこえなくて……めまい、して……っ」
涙混じりに消え入りそうな声で白状した🤍に、🩷がそっと顔を近づけ、はっきりと目を見て伝えた。
🩷「謝るな! 気づくの遅くなってごめん。
でも、マジでよく最後まで立ちきった。超かっこよかったよ、柔太朗」
🩷「あとは俺らに任せて、ゆっくり休め。よく頑張ったな」
仁人の優しい声が、なんとなく脳内に直接届いた気がした。
1667文字!
リクエストくれぇぇえぇぇ
コメント
1件
うわっ、これめっちゃ刺さったわ……! 第1話から既に胸がぎゅっとなる展開。柔太朗が体調不良を隠してステージに立つ覚悟とか、メンバー4人のさりげないサポート(腰支える、カウント取る、手引く)とか、チームワークの解像度が高すぎる。特に「ここにいていいんだ」って安心感を肌で伝える描写、ガチで泣ける。バトルものじゃないけど「強さの理由」がしっかり設計されてて好き。続きが気になりすぎる🔥