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広がっていた世界は、ショッピングモールのような館内だった。
(す、すごい…なに?ここ………)
内装はオシャレで、自分が普段いる世界とは、かけはなれたような…そんな、感覚だった。
よく見ると、お店がいくつか並んでいた。周りは誰もいないし、店も閉まっている様子だったので歩き回ってみることにした。
様々なお店が横にズラっと隙間なく並んでいた。
ポップなカラーに包まれた店、和風を基調とした店など様々。どの店も雰囲気から内装までガラッと違っていた。
(不思議………………)
閑散とした、館内に立ち尽くしていた。
(ん?……ひとつ開いている?)
見てみると、一般的な定食屋の扉に[OPEN]と書かれていた。私は迷いなくその扉を開けた。
「いらっしゃいませ。」
「ど、どうも…」
開けると、 ふんわりとした雰囲気のごく普通の男の子が、エプロン姿に身を包み立っていた。笑顔がふわっとした爽やかな感じのする人だ。
すると、
「何?…………客??」
のんびりとした感じで少し眠そうにもうもう一人男の子が出てくる。
「ははっ、相変わらず眠そうだね〜。しゃんとしなきゃだよ𓈒𓂂◌」
「ん〜…」
わけも分からず混乱していると、席に案内された。
「どうぞ!こちらへ」
「は、はい!」
「メニューは、そちらにあります。決まったら呼んでください。」
「ありがとうございます。」
メニューはごく普通に、『トンカツ定食、豚のしょうが焼き定食 』などなど一般的なもの。店の人のオーラだけが違っていた。
「あの……」
「はい。お決まりですか?」
「この…トンカツ定食をひとつお願いします。」
「はい。承知しました。」
ふんわりとした足取りで台所へと戻っていく。それを見ているとこっちまで、気持ちがふわふわしてきていた。
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運ばれてきた、定食は見た目も綺麗でとても美味しそうだった。
一口食べれば食べるほど、自然と笑みが溢れる。
「ふふっ…美味しい…………」
「それは何よりです。」
「………………ふ〜ん…」
店員の名札を、見ていると、ふわふわした子は「おこめ」、もう一人は「みそ」と書かれていた。
(な、名前独特………!!!!!)
顔には出さないが、そう思ってしまった。
見た目もそう感じさせていた。「おこめ」は白色のツヤのある髪。もう一人の「みそ」は少し濃いめの深い茶髪だった。
何より…
(め、めちゃくちゃ…イケメンッッ!!!!)
顔がいい。
ポヤポヤそんなことを思いながら、食べ進め完食した。
「美味しかったです。ご馳走様でした。また来ます。」
「それは良かった。はい。ご縁があればいつか会えることを願っています。」
「?」
少し寂しそうな顔でそう、答える男の子は店の出入口まで見送ってくれ、最後には笑顔に手を振ってくれた。
最後の顔はなんだったんだろう。考えてみても何も分からなかったので、ひとまず店を出た。
すると
─────そこは、いつもの街並みだった。
あれ?私さっきまで………………………
先程の、道はなくなっており、扉の元へさえ行くことも出来ず、その日は家に帰ることにした。
もしかして…さっきの言葉は………………
明日も…あの場所へ行けるのだろうか。
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