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「今日も雨だねぇ!」
「そうだねぇ」
そんなたわいもない話をして憂鬱を紛らわす。俺は、一回り下の弟と2人で暮らしている。だからシングルファザーと同系だと個人的には思っている。
「”お兄ちゃん”は雨好き?」…。
前言撤回、父ちゃんじゃなくてお兄ちゃんです。
雫が地面に打ちつける音しか響かない中、弟は「今日もお洋服干せないの?」と話しかけてきた。
そうだった、この前も雨だったため、二日分の洗濯物が溜まっている。俺は大学生なので働く時間は少なく、家は狭い。ただでさえ狭いのに洗濯物に部屋を占領されるなんて、、そうなると外に干せないのは厄介だ。
「う〜ん、、」やはり、占領されてしまう未来になるのか?、、、 「お兄ちゃん言ってたよね!コインランリーっていうところめっちゃくちゃ便利って」そうだ、‘コインランドリー’があるではないか、、!「コインランドリーね、」と弟のコインランリーを訂正し、行動しなければ意味がないので早速コインランドリーへ行こう、
とした。
ゴロゴローン
「「ひっ、、!」」、、「怖いよぉお兄ちゃん、」今にも泣きそうな声でそう言っていた。ここは、なだめるのが正解だと思われるが、雷が苦手なのはおまえだけではない。『俺だって無理だよ!!』そう言いたかったが、お兄ちゃんとしてのプライドが許さなかったので今回“は“言わなかった。「、、、明日にしようか、コインランドリー。」結局、部屋を洗濯物に占領されることになった。
「、、、お兄ちゃん、」弟の声がした。あの後、家にいることしか出来なかったので大人しく寝ていたんだった。しっかりと熟睡していたのだろう、服に何かがついているではないか、唾液が。そのきったねぇ液をなんとかしつつ、弟の話を聞く。「どうしたの?」
「あのね、!あのね、」言葉を発するたび、もろくなっていく声。「ゆっくりでいいから言ってみな。」弟が同じ言葉を反復して言っている時は何かやらかした時だ。だからこそ強い口調にならないように注意しなくては。「、、、ん」
「、ん?」弟はそう言ってベランダの方を指差した。その弟が指を差した方向を見ると。なぜあんなに弱々しい声をしていたか、分かった。靴下がびしょ濡れになっているではないか。きっと洗濯物がベランダに干せないとガッカリする俺を見て、どうにか干そうを考えた結果、こうなったんだろうな、「ごめんなさい、、」泣きだした。何か慰めの言葉をかけなくちゃ、「だ、大丈夫だよ!すぐに乾くし!」
、、
本当になだめるのが苦手だ。まずはなだめるのが先か、叱るのが先か、なぜそうなったかも知りたい。
その前にあの靴下を救出しに行こう。
泣き止んだ後に聞いた話だが、俺が寝ている間に雨が止んだ時があったらしいのでそこで干していたのだが、弟はまだ六だ。しかし、靴下ぐらいは干せる年頃にはなっていたらしい。靴下だけを干し終わって俺と一緒に寝ていたところ、雨が再び降ってきてしまって今に至ったらしい。俺の予想通り。「ここは一階だから落ちる心配とかなかったけど勝手にお外に行くのはやめようね、」「分かった、」「ん、えらい子。」とりあえず弟が何もなくて良かった。
「お兄ちゃんは靴下さんを濡らしちゃたのにそこは怒らないの?」「だって俺のために干してくれたんだろう。」「うん。」「なんで怒らなくちゃいけないのさ、優しさで行動したなら別にそこは怒らなよ。でもまだ子供なんだから無理はしないでね。」「はぁーい」元気を取り戻し、いつもの弟に戻ったようだ。
いまだに雨は降っているし、靴下や洗濯物も乾いていない。でも少し、ほんの少しだけど、憂鬱がなくなった気がする。
『靴下』end