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付き合ってから気づいたことがある。
龍人くんは思ってた以上に、俺のことが好きだ。
……いや、付き合う前から十分伝わってはいた。
視線も分かりやすかったし、隣に来る頻度も多かったし。
でも実際恋人になってみると、それ以上だった。
合同ライブ終わり。
楽屋でスマホを触っていると、扉がノックされる。
「凌大くん、終わりました?」
聞き慣れた声。
「ん、終わったよ」
そう返した瞬間、扉の隙間から覗く顔がぱっと明るくなる。
……ほんと分かりやすい。
「帰りましょ」
当たり前みたいに言いながら入ってくる龍人くんを見て、少し笑ってしまう。
付き合う前から思ってたけど、龍人くんは距離感が近い。
隣に座るのも自然だし、俺が一人でいると高確率で来る。
移動中も気づけば横にいる。
しかも全部無意識っぽいからずるい。
「龍人くんさ」
「はい?」
「今日もめっちゃ見てたでしょ」
そう言うと、龍人くんは一瞬だけ目を逸らしたあと、小さく頷いた。
「……見てました」
「やっぱり?」
「だって凌大くんかっこよかったんで」
即答。
ほんとこういうところ。
恥ずかしくなるようなことを、まるで“今日は晴れですね”くらい自然に言う。
最初は毎回動揺してたけど、最近はもう笑ってしまう。
「普通そんな言う?」
「思ったこと言ってるだけです」
「俺だったら恥ずかしいけどな」
そう言うと、龍人くんは不思議そうな顔をした。
「好きって言うの、恥ずかしいですか?」
「……まぁ?」
すると龍人くんは少し考え込んでから、真っ直ぐ俺を見る。
「俺は凌大くん好きなの隠したくないです」
どくん、と心臓が鳴る。
ほんとにずるい。
そんな顔で言われたら、嬉しいに決まってる。
「……龍人くんってさ」
「はい?」
「たまに破壊力やばいよね」
「え?」
本人は全然分かってない。
きょとんとしてる顔すら可愛く見えてしまって、俺は誤魔化すように立ち上がった。
「帰ろっか」
「あ、荷物持ちます」
自然に俺のバッグを持つ龍人。
その姿を見ながら、また思う。
付き合う前から、龍人くんはずっとこうだった。
疲れてるとすぐ気づくし、俺が寒そうにしてたら何も言わず上着貸してくるし。
小さい変化も全部見つける。
こんなに大事にされること、人生でそうない気がする。
「……凌大くん?」
気づけばじっと見ていたらしい。
龍人くんが少し不安そうにこっちを見ていた。
「どうしました?」
「いや、なんか」
「?」
「ほんと俺のこと好きだなって思って」
そう言った瞬間、龍人くんの顔が一気に赤くなる。
「……好きですよ」
小さい声。
でもちゃんと聞こえた。
「知ってる」
笑いながら返すと、龍人くんは照れたみたいに俯いた。
そんな反応まで愛おしく思えてしまう自分が悔しい。
……多分俺、思ってたよりずっと龍人くんにハマってる。
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