なーなー。と上目遣いを上手に使い、潮江に呼び掛ける。ふらふらと足を揺らしながら、もんじろー。なんて呟いてみれば、貴方はカタカタと算盤を使って予算がどうたらこうたらしてばかり。面白くない、つまらない。そう思いながらも、終わるのを待った。
同室入れ替え週。嬉しいようで嬉しくないこの週は、私にとって少し寂しいものだ。長次と離れたくない!という気持ちが膨らんでしまうからだ。何時も長次はこの駄々を聞いてくれるが、どうせ潮江文次郎と同じになるんだ。なんて短く済まして終わってしまう。私には興味すら無いのだ。
嬉しいけど、最近のもんじろー冷たいんだもん…
そう、寂しそうな顔をすれば、冷たくて悪かったな。なんて声が聞こえた。気が付けば私の隣には文次郎が立っていたのだ。いつの間に?!なんて驚いた顔をすれば、ちっ。と小さく舌打ちをされた。
__
文次郎との初の任務だった。ぽかん、としている彼を見れば、敵がいるのに…なんて少し不機嫌に思った。
七松➷ ぼけーっとせずにさぁー、少しは動いたらどうだー?
潮江➷ …え、ああ、悪かった。
そういえば、ボソボソとなんか呟いてたよな、此奴。
なんて不思議に思えば、まぁいいか。と自己解決をしてさっさと敵を片付けてしまった。
__
怒られた。文次郎と一緒に、善法寺伊作に、ガミガミ言われた。少しの傷ぐらいいいじゃないか。なんて呟けば、自分の体についた傷の痛さも分からないの?!と怒鳴られてしまった。文次郎は隣で長次に治療を受けていて、私だけだ。ガミガミ言われているのは。
中在家➷ もう辞めてやれ…小平太が可哀想だ…モソ…
食満➷ そうそう、そいつ不機嫌になったらずっと拗ねてるんだから、もう辞めておけ。
善法寺➷ でも…怪我をするってことは、戦いに不利になるって事だよ?
立花➷ 怪我は戦闘において外せないもの。そこまで怒る必要も無いさ。
どうせ、七松も学ぶのだから。と大人な対応をする彼奴らだったけど、私には理解が出来なかった。痺れを切らした私は、もういいや。なんて立ち上がり、治療もせずに裏々山に走り向かった。
__
守っただけじゃないか!なんで、文次郎を守っちゃいけないんだ。この傷は、文次郎を、守った証拠なのに…
理解して欲しかった。
そう、私は大雨の中、一人涙を零した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!