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緑山 紫苑
ローウェンに挨拶をして、店から出た2人。街の明かりにより、夜であるということすらもう忘れてしまいそうだった。
ひとまずは王国図書館へ行き、図書館の人に色々聞いてみることに。
お腹をさすりながら歩くフィニスと、ゆっくりと街並みを見ながら歩くニティア。
図書館へ到着し、入り口で固まる2人。
フィニスよりも身体が一回り以上も大きいであろう兵士が4名ほど、入り口から動かずに2人をじっと見ていた。
「これは……無理ですねニティアさん」
「で……でも、話を聞くくらいなら……」
ガシャン!
そんな話をしていると、1人の兵士が2人の前まで歩いてきた。
「いや!何も悪いことしてないです!図書館に入る方法を教えてもらおうかと!」
「べ、別に侵入しようとかは思ってませんので!」
慌てふためく2人を無視して、兵士は口を開けた。
「もしかして……先日ジャヌス様と一緒にいた……?」
フィニスが大怪我をし、ニティアがなりふり構わず飛んできた時。ジャヌスが耳打ちした兵士が声をかける。
当のニティアというと……その時は完全にパニック状態であったため、全く覚えていなかった。
「あ、はい。多分そうです」
「やはり!」
興奮した兵士は声を大きくしていた。
「?」
首を傾げるフィニス。
「して、今日はどのようなご用件で?あ、ジャヌス様はまだ来ておりませんよ?」
嬉しそうに話す兵士。その言葉を聞いた2人は俯くことしかできなかった。
その空気に何かを察した兵士は、3人の見張りに何かを指示し、声が聞こえなくなるであろう距離まで離れさせる。
「……一体、どうされたのですか?」
⸻
「そ……そんな!?あのジャヌス様が!?」
事情を説明し、驚いた兵士。すぐに口元を押さえて、何かを考え始めた。
「まさか……あの大賢者ジャヌス様が……いや、でも何で?そんな場合じゃない……まずは……」
ぶつぶつ独り言を言っている兵士。フィニスとニティアもただ立ち尽くすことしかできずに、そのまま待っていると、兵士が突然顔を上げた。
「お二方……今から城に来てください!」
「え…でも私たち図書館が……」
「今はそのことを王様に伝えることの方が大切です!」
そう言い3人の兵士を呼び寄せた後、2人の兵士は再び図書館の入り口へ。
「どうぞ、こちらへ」
先ほど呼ばれた兵士に案内されるような形で、図書館を後にする。
「ジャヌスさん……すごいとは思ってたけど、そんなにすごい人だったんだ……」
涙目になりながらも、少しだけ誇らしげにボソッと言うニティア。
「昔、この王都を救った英雄。そして、黒い魔女と戦った生き残りの魔法使い……だからな」
同じく小さな声で呟くフィニス。その言葉を聞いてニティアは大きく目を見開いていた。
「え?!英雄って……あんた知ってたの?!」
「俺も知ったのはついこの間なんだよ」
「教えてくれればよかったのに……」
「……俺から話す事でもないと思ってさ」
「……それもそうだけど……」
少しだけ不貞腐れているニティアに、フィニスは優しく笑う。
「たとえどんな過去があったとしても、先生は先生だろ?」
「……そうだね」
小声でそんなやりとりをしながら、兵士についていく形で城へと足を運んでいく2人であった。
コメント
1件
おお、第26話読了!ジャヌスさんの過去がどんどん明らかになって熱いな…。王都を救った英雄で黒い魔女と戦った生き残りの魔法使いって、めちゃくちゃカッケェ設定じゃねぇか。兵士が「あのジャヌス様が!?」って驚くシーン、そりゃそうなるわな。フィニスが「先生は先生だろ」って言うのがまたニクい。ニティアとの距離感もじわじわ縮まってて微笑ましいし。次は城でどんな展開が待ってるんだろう。続きめっちゃ気になる🔥