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箕浦「だからこそ素人あがりの探偵になど任せられん
さっさと________」
「おーい
網に何か掛かったぞォ」
僕達は声のした方へ向く
敦「何です,あれ?」
「証拠が流れていないから川に網を張って調べているのですが__」
「ひっ人だァ!」
「人が掛かってるぞォ!」
箕浦「何だと!」
…其の割には知ってる気配だ…
敦「まさか……」
箕浦「第二の被害者!?」
網に掛かったのは…太宰さんだった
太宰「やあ敦君,冬美ちゃん仕事中?
おつかれさま」
太宰さんだぁ
敦「ま……また入水自殺ですか?」
箕浦「また…?」
遥華「あー!やっと見つけましたよ太宰さん!」
お姉ちゃんが後からやって来た
『お姉ちゃ!』
僕は手を振った
太宰「うふふ,独りで自殺なんてもう古いよ敦君」
敦「え?」
太宰「前回の美人さんの件で実感したよ
矢っ張り死ぬなら心中に限る!
独りこの世を去る淋しさの何と虚しいことだろう!」
ジトっと太宰さんを見つめる
太宰「というわけで一緒に心中してくれる美女募集」
敦「え?じゃあ今日のこれは」
太宰「これは単に川を流れてただけ
あ,冬美ちゃんどう?
遥華ちゃんには断られちゃってさ」
『………………………………』
僕は無言で太宰さんの頭を殴る
太宰「あいたっ」
太宰さんは降ろされた
僕達はお姉ちゃんと太宰さんに事件の事を話す
太宰「何と
かくの如き佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは……!
何という悲劇!悲嘆で胸が破れそうだよ!
どうせなら私と心中してくれれば良かったのに!」
パシンッ,とお姉ちゃんが頭を叩いた
遥華「不謹慎ですよ」
箕浦「……誰なんだあいつは」
乱歩「同僚である僕にも謎だね」
僕も頷く
太宰「しかし安心し給え麗人
稀代の名探偵が必ずや君の無念を晴らすだろう!ねぇ乱歩さん?」
乱歩「ところが僕は未だ依頼を受けていないのだ
名探偵いないねぇ困ったねぇ」
乱歩さんは若い刑事を見た
乱歩「君名前は?」
「え?
じ,自分は杉本巡査です
殺された山際女史の後輩__であります」
驚いた声を溢した後に名乗ってくれた
乱歩さんは右手をぽんっ,と杉本巡査の肩に置いた
乱歩「よし杉本君今から君が名探偵だ!
60秒でこの事件を解決しなさい!」
杉本「へえッ!?
へっあ,えー!?いくら何でも60秒は」
遥華「そうですよ乱歩さ」
乱歩「はいあと60秒」
遥華「(´・ω・`)」
お姉ちゃん…遮られて悲しかったんだね…
でもあの杉本巡査,普段の敦さんみたい
念の為,持って来ていたボイスレコーダーをポケットの中に突っ込んで其の侭録音する
敦「(普段の僕,きっとあんな感じなんだろうなあ……)」
杉本「そ……そうだ
山際先輩は政治家の汚職疑惑
それにマフィアの活動を追っていました!」
…!マフィア…
僕の脳裏に嫌な思い出が浮かぶ
ギュッとボイスレコーダーを握る
杉本「そういえば!マフィアの報復の手口に似た殺し方があった筈です!
もしかすると先輩は捜査で対立したマフィアに殺され__」
太宰「違うよ」
太宰さんは口を開いてそう云った
杉本「え……?」
太宰「マフィアの報復の手口は身分証と同じだ
細部が身分を証明する
マフィアの手口はまず裏切り者に敷石を噛ませて後頭部を蹴りつけ顎を破壊
激痛に悶える犠牲者をひっくり返して胸に三発」
敦「うえっ」
『ヒンッ…』
想像してしまって思わず近くに居た敦さんに抱き着く
杉本「た,確かに正確にはそうですが……」
太宰「この手口,マフィアに似てるがマフィアじゃない
つまり________」
遥華「犯人の偽装工作ですか…」
杉本「そんな……偽装の為だけに遺骸に二発も撃つなんて……非道い」
遥華「!!」
僕は其の言葉に目を光らせてボイスレコーダーを止めた
『撮った』
乱歩「流石だね!
あと時間ぎれー
駄目だねぇ君,名探偵の才能ないよ!」
乱歩さんはだむだむと杉本巡査の頭を叩いた
箕浦「あのなぁ貴様!
先刻から聞いていればやれ推理だ
やれ名探偵だなどと通俗創作の読み過ぎだ!」