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昔むかし、ある所に小さな三つ編みの女の子がいました
女の子は継母に毎日いじめられていました、女の子は毎日嘆き、悲しんで暮らしていました
「この世の中には楽しいことなど一つもない、こんな世の中を生きていて私はとても悲しい」
女の子は空に向かってそう言いました
「それならオイラと楽しいことをしようよ」
そう言って泣いている女の子の前に現れたのは、灰色のファイヤードラゴンに乗った、真っ赤な髪の小さな男の子でした
「オイラは『魔法使いナッキー!』オイラと楽しく遊ぼうよ!」
初めは驚いてた女の子でしたが
この魔法使いの男の子が目もくらむような、紫の煙をボンッと出して天へ昇ったりして、女の子を驚かせてくれるので
すっかり女の子はナッキーを気に入り、二人は大の仲良しになり、毎日一緒に遊びました
しかし楽しいことが大好きな魔法使いナッキーの、いたずらはだんだんひどくなっていき
ナッキーはケラケラ笑いながら、ファイヤードラゴンに炎を吹かせ、しまいには町を焼き払ってしまいました
アハハハハ「ほぉ~ら!みんな泣いて困ってらぁ!見ろよ!面白いだろ?」
大切な家を焼かれた町の人々が嘆き、悲しんでいるのを見て、ナッキーはお腹をかかえてゲラゲラ笑います
女の子はいてもたってもいられず、ナッキーに怒りました
「ひどいわ!ナッキー!あなたには心というものがないの?」
ケロっとしてナッキーは言います
「オイラには心なんかないぜ」
ほらっとナッキーが着ているマントを広げてみると、なんと裸のナッキーの心臓の部分が、ぽっかり真っ黒に穴が開いているのです
女の子は驚きました
「大変!あなた心をどこかに無くしてしまっているわ!」
ナッキーは不思議そうに女の子に聞きます
「その心というのものはそんなに大切なのかい?」
「大切も大切!、心が無かったら大変な事になるのよ!人間として大切なことに気づけないじゃないの!私が一緒にあなたの心を探してあげる!」
こうして二人はナッキーの、心探しの大冒険に出かけるのでした
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「・・・・おい・・・紗理奈・・・この(ナッキー)というのは俺の事か?」
直哉が応接室のソファーに座り、最初に刷り上がって来たサンプルの上製本を読んで顔をしかめている
そこへ忙しそうに洗濯籠を抱え、紗理奈がパタパタ後ろを通って行った
「制作秘話は物語が一旦落ち着てから公表するものよ、でも・・・今はそうね・・・「モデルがいる」とだけお伝えしておくわ」
ウフフ♪といたずらっぽく紗理奈が、直哉にウインクしてランドリー室に入って行く
そこへ本を広げて人差し指でナッキーの、イラストを指して直哉が紗理奈の後を追って抗議する
「ひどいじゃねーか!いくらなんでも俺はファイヤードラゴンで、町を焼き払ったりなんかしないぞ!
びっくりしたそ!君には俺がこんなに極悪非道に映っているのか?」
ふふん♪「どんな偉大な魔法使いでも、最初はひどいもなのよ♪」
紗理奈の思わせぶりな発言に、え?と直哉がきょとんとする
ウキウキ♪「と?いうことは?何か?ナッキーは本当はすごいヤツで偉大な魔法使いに、これからなっていくのか?」
「さぁねぇ~♪ネタバレは禁止よ」
「おい!教えろよ!」
二人のやりとりを、キッチンからお福とアリスが見て言う
「なんだかずっとナオ君母屋にいる時は、サリーを追いかけてない?」
クスクス・・・「自分の視界に入っていないと落ち着かないんですよ、坊ちゃまはサリー様が大好きですからね」
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スランプから立ち直った「ミステリー作家水谷紗理奈」が今年新しく出版した新刊はなんと「児童書」だった
それは紗理奈のイキイキとした躍動する言葉と、美しいイラストレーターの絵が大人気を呼び
子供達を存分に楽しませてくれる、ファンタジーの世界の絵本で
新しく契約した児童文学を中心に発行する、出版社とも相性が良く
「魔法使いナッキーシリーズ」はこれから、全10作シリーズ出版される予定で
初版から販売利益予想を上回り、早くもゲーム化、アニメ化の話が出没するぐらいになった
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