「クソが!ふざけるな!」
拘束された【あなた】は叫んだ。なぜなのか?なぜ自分が罪を償わなければならないのか?
怒りが湧き上がってくるのを感じながら周りを見ると、皆が安心したような顔で互いに話をしていた。「怖かった」「この館をどうしよう」「犯人が見つかってよかった」などの声が嫌でも耳に入ってくる。とにかく、耳を塞ぎたかった。いっそのこと鼓膜を破りたいと思った。「犯人」になった自分にとって、この空間はあまりにも居心地が悪かった。
今でこそ感じた恐怖や安心について語り合っているが、やがてそれらは自分への恨み、哀れみ、憤りへと変わっていくのは目に見えている。
ああ、死んでしまいたい…そう思った【あなた】は、無意識にまた顔を上げ、辺りの様子を伺った。
そして、気がついた。
今、誰一人、自分を見ていないことに。
彼らにとって、自分は視野にすら入っていない。もう既に手足は拘束されていて、まさに「あとは警察に引き渡せば良いだけ」という状態なのだ。
【あなた】は、皆のことを憎んでいる…少なくとも今は。自分が何をしたいか、何をするべきか、考えなくても体が勝手に動いた。
まず、利き手の拘束具を外す。素人の拘束ということで、多少力を加えて工夫すればいとも簡単に外すことができた。次は足だ。こちらも、やはり楽に外すことができる。
心臓が大きく波打ち、体が熱くなっていくのを感じた。手は震え、冷や汗もかいているように思う。けれど、もういい。どうでもよかった。
足の拘束具を外し終えると、周りに気付かれないよう、姿勢を低めて移動する。
【右隣のキャラクター】の背後に忍び寄り、大きく刃物を振り上げた。
コメント
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このもうどうしようもない静かな絶望感大好物です…やはり不穏は美味しいうまうま
だんでらです。従姉妹が描いたキャラクターカードの絵柄が本家すぎてビビりました。 私が持ってるのはリベンジの方なので無印にこういうエンディングあっても許してね!