▼ 言うの、遅くなっちゃった。
再会した🍓くんに🍰くんが告白するだけのお話。
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注意
・BL
・スプラウト × コスモ / fruitcake
• 曇らせ / 全体的に暗いお話
・シリアス…?
• 性格、口調諸々の捏造
・誤字脱字は私のお友達です 見つけたら心の目でお読みください…_(._.)_
・コスモ視点、スプラウトはほぼ喋らない
(♡) (♡)
スプラウト➡➡➡←←←コスモ
攻めのほうが愛重いけど、どっちもわりかし重いみたいな二人。
すごい長いし話の着地点が分からん!!
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ガタンゴトンと揺れる、誰もいない、一人ぼっちのエレベーターの中。
僕は右腕の傷口を左手で押さえながら壁に寄りかかっていた。
エレベーターの揺れが壁から伝わってきて、なんだかそれがとても心地よく感じてしまって、眠ってしまいそう。
今眠ってしまえば、きっと全て終わってしまうんだろうけれど。
別に、いいか。眠ってしまっても。
そんな僕の意識を繋ぎ止めてくれているのは、まだジンジンと痛む右腕の傷だった。ゆっくりと目線を傷口に落とせば、未だにイコールが流れ出ていた。どくどくと流れ出す液体は止まりそうもない。
包帯と医療キッドはもう使い切った。使えるとしたらフロアに落ちているものを再利用するしかない。…きっとまだ動き回るだろうから、イコールが止まるのはまだまだ先になってしまいそうだけれど。気休めにはなるかな…
そんな事をぼんやりと考えていると、ピンポーンと、エレベーターが開いた。
不意に、懐かしい草の香りが鼻を掠める。
「…なんだか、懐かしい気分だなあ…。」
ザクザクと音を立てて、人工芝の上を歩く。…ここは、スプラウトのフロアだ。
まだTwistedの騒動が起こってからあまり日数は経ってはいないはずなのにもう随分と来ていないような、懐かしい感覚が僕を包み込む。赤と白のレジャーシートを引いて、ここで2人でピクニックするのが僕は大好きだった。
そんな事を考えながら歩いていたら、いつの間にか看板の前まで来ていた。
『スプラウトのピクニックスポット!』と書かれた看板には、彼のイラストが描かれている。これも、なんだか懐かしい。
彼は太陽が似合うあたたかいくてカッコいいトゥーンだった。
ちょっとだけ不器用なところもあるけれど、誰にだって優しく接することのできるヒーローみたいな男の子。スプラウトは運動神経だって良かったし、料理だって大体のものは作れた。…ちょっと、失敗することもあったけどね。
でもそんな彼が、僕には人一倍きらきらして見えて…。
友達になってくれて、嬉しかった。
一緒にお菓子作りをしてくれたことが嬉しかった。
お揃いのブレスレットをくれたことが嬉しかった。
親友だって言ってもらえたことが、何よりも一番嬉しかった。
嬉しかった、嬉しかったんだよ。本当の本当にだよ。
君と居れることが嬉しくて嬉しくて堪らなかったんだ。
スプラウトとの日々は色んな事だらけで、楽しくて楽しくて仕方がなかった。
君と過ごす時間は何よりも大切なものだった。
また一緒に遊びたい。
また一緒にお菓子作りもしたい。
また一緒にピクニックもしたい。
今の僕の頭の中は君でいっぱいだ。
一人ぼっちは寂しいよ。怖くて怖くてたまらない。
あいたいよ。いま、どこにいるの
ねえ。と震えた口唇の端から溢れ出してしまった言葉は、行く当てもないまんま。
そのまま、空気に溶けてなくなった。
…
少し感傷的になってしまった。はっと顔を上げて、熱くなった下瞼を手で押さえる。今は泣いている時間なんてないんだ。早くこのフロアの探索を終えて下の階層に行かなければ。
もしかしたら、僕以外にだって生き残ってるトゥーンがいるかも知れないから。
…スプラウトだって、きっと下で僕を探してるはず。ちゃんと会える。大丈夫。
「…キッチンの方、見に行かなきゃ。」
頭をぶんぶんと振り、マイナス思考を吹き飛ばす。とりあえずは探索が先だ。
そう思ってキッチンのある方に目をやる。あっちはピクニックスポット程ではないけれど、他のメインフロアよりかは開けているから探索もすぐ終わるだろう。
ついでに包帯か医療キッドが見つかればいいな。
そんな事をぼんやり考えていると、視界の端に”それ”は映った。
「…は、ぁ?」
いつも隣に居たからか、見慣れていたその柄。
嘘だ。そんな都合のいいことがあるわけない。
きっと見間違えただけだ、そうだろう。それか疲れすぎて幻覚でも見たんだろう。
_淡い希望を持つな。
脳は確かにそう訴えかけているはずなのに、なぜか足は前に踏み出そうとすることをやめない。身体を駆け巡る緊張感と、ずっと探し求めていた物を見つけた興奮が身を震わせる。
『嘘だ』と『嘘じゃない』を頭の中で繰り返して脳はパンク寸前。整理も上手くできずにゴチャゴチャとした思考をまとめようとしている間に、”それ”は奥の方へと消えていってしまった。それと同時に理解する。
動いている。
…幻覚じゃない?妄想でも?だったらほんとに…?
_だってあれは、彼のマフラーだったはずだ。なら…
スプラウトも、ここにいるの?
「…っ!!」
そう理解してしまえば、もう足は止まろうとしなかった。
弾き飛ばされたかのように僕は走り出す。
急がなきゃ、急がなきゃ、急がなければ。だってずっと会いたくて堪らなかった彼が、今ここにいる。早く会いたい。だって、言いたいことがたくさんあるんだ。
今僕が出せる全速力でキッチンの奥へと向かう。
どれだけ足がもつれて転びそうになっても、右腕の傷口が開いてイコールが垂れても、速度は一回も落とそうとしなかった。 ただただ、スプラウトに会いたい。
会って話したいよ。
足音が大きくなってくる。 この先だ、この先に君がいる。
勢いよく角を曲がって彼を呼んだ。
「_スプラウトっ!!」
僕が叫ぶように名前を呼んだ先には、少し離れていたけど、確かに”彼”がいた。
_その姿は、僕の知っているものではなかったけれど。
「…え?」
思わず声が漏れる。”どうして?”とか”なんで”とか言葉が頭の中をぐるぐる回る。
だってこの再会は、あまりにも僕が思い描いていた再会と異なっていたから。
再会して、ハグして、『怖かったね』『大丈夫?』とか言い合って、2人で手繋いで
下へと向かっていくものだとばかり思っていたから。
そんな未来は、もうこないけど。
「あ、…ぁ……」
彼が、ゆっくりと振り向く。その動作がやけにスローモーションに見えてしまって、僕の目線は彼へと釘付けとなった。
彼の容姿は、前見た時よりずっと変わり果ててしまった。いつも手を繋いでいた左腕は鉤爪が生えていて、身体の左側はイコールに浸されたみたいに真っ黒に染まっていた。 …彼のお気に入りのマフラーにもシミが少しできている。
そして、振り向いた彼の瞳は
真紅に染まっていた。
その瞳と目線が合ってしまえば、身体が恐怖でガッチリと固まって動かなくなった。僕を見下ろす深い深い赤は、僕の意識をどんどんと蝕んでいく。彼の背はこんなにも大きくなってしまったのか。なんて、場違いな考えが浮かぶ。
_彼の姿は、化け物そのものになっていた。
『逃げなければ』
蝕まれていた意識が遅れて警報を鳴らし始める。逃げなきゃ、逃げなきゃ、と生存本能が暴れ出す。逃げる?逃げるったってどこに?分からない。でも逃げなきゃ。
今は、ここにいたくない!
足、動いて。お願いだから動いて。逃げなきゃならないんだ。ダメなんだ。
その願いが通じたのか、ようやく足が後ろに逃げようと一歩下がる。靴下とタイルが擦れてキュッと鳴って、なんだかそれがとても大きく聞こえた。
心臓の音がうるさい。大丈夫、大丈夫…。
僕なら撒ける。障害物もあるからすぐに逃げられるはずだ。だから、冷静に…
「_…、コ…ス、モ…」
前の声とは似ても似つかない掠れた声で、スプラウトは僕を呼んだ。
_ずるいよ。そんな泣きそうな声で呼ばれたら、逃げられないじゃないか。
その時、僕の足元に大きな黒い水たまりができた。
「…い゙っ…!!…っ…いたいよ、スプラウト…」
あの時、早く走って逃げていればよかったんだ。もっと早く逃げる判断ができていたらこんな事になっていなかった。もう後悔したって遅すぎるけれど。
『_だから淡い希望なんて持つなと言ったのに』
誰かが脳内で嘲笑う。
あの後足元から生えてきた真っ黒な触手によって、僕の足は完全に動きを封じられていた。僕が少しでも動こうとすると、足に絡みつく触手の締めつけを強くする。
ほんの少し動いただけでも痛いほどに締めつけるから、抵抗なんてできそうもなかった。今だって足がギシギシといや〜な音を立てているのに…抵抗なんてしたら、足をそのままへし折られて終わりだろう。
で、僕をそんな風にした張本人であるスプラウトは、少し離れたところから僕の事をじっと見つめていた。まるで、何か訴えるように。
そんな状況が続いていると、スプラウトがゆったりと歩き始めた。
ゆっくり、ゆっくり、ふらふらとこちらへと歩いて来る。
_ああ、終わりなんだな。
僕の頭は意外にも冷静にそんな結論を出した。
僕は、スプラウトに恋をしている。
いつからだっただろう、スプラウトを友愛ではない別の意味で好きになったのは。
僕らは親友同士だった。どこに行くにもいっつも一緒にいたし、何をするにも全部2人でだった。そう思うと、僕がスプラウトに恋をしてしまったのは割と必然的な事なのかも……なんてね。
本当に、いつの間にか好きだったんだ。きっかけも何もなかった。…もしかしたら一目惚れってやつかな。気づけば君が好きで好きで仕方が無かった。
でも、だからこそ、君には言えなかったんだ。
だって、君はきっと傷つくから。信頼していた親友から『恋愛的な意味で』好きだなんて言われたら驚くだろう。でも君はすっごく優しいから、僕の事を傷つけないように断ろうと努力して、いっぱい悩んでくれる。…それが、嫌なんだよ。
僕はスプラウトの笑った顔が好きなんだ。…そんな風に困らせたくはなかった。
だから、あたたかいけどぐちゃぐちゃした”それ”を友情の裏に隠してた。
ずっとずっとバレないように、僕が意識しないように。
“それ”を恋だなんて呼ぼうともしなかった。呼んだらきっとつらいから。
そうやって、ずっと隠していくつもりだった。いつか、”それ”がなくなるまで。
…
_あぁ、でも。
このままおわってしまうのは、いやだなあ…
ごめんね、我儘な親友で。
でも最後に、言わせてほしいな。
「…スプラウト」
「僕、好きだよ…君のこと」
「ずっと…ずっと、まえから、…」
彼は何も言わない。俯きながら、ふらふらとこちらに向かってくるだけ。
顔はよく見えない。僕の視界が、涙で歪んでいるのもあるけれど。
ただ、少しだけ触手の力が弱まった気がしたのは気のせいかな。きっと思い込みだと笑われるかもしれないけれど、少しでも僕の言葉は届いたのかな。
…そうだといいなあ。
やがて、スプラウトは僕の前に立っていた。 長いと感じていた距離はもうない。
見上げれば泣きそうな顔をした君がいて。
僕は君の笑った顔が好きなんだよ。だから、泣かないで。
その瞬間、彼の振り上げられた左手が僕を切り裂くその時。
僕の意識は、深い深い暗闇の中に消えてった。
もし、つぎにあうことがあったら
きみのほうから、こくはくのへんじをおしえてね
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あとがき
DWのコラボイベントを堪能しています
むぎちゃです!
テラーがバグったり、データが飛んだりしてイライラしていましたが
1日半で無事に書きたかったfruitcakeが書けました。
Twisted × Toonの暗い雰囲気が意外に好きです (◡ ω ◡)
スプラウト視点も書きたいです…やる気は空っぽですが…!!
誰か三次創作して書いて下さい(責任投げやり) 嘘です書かないで下さい…(´ . .̫ . `)
作品が気に入ってもらえればいいねやコメントで感想を頂けるとありがたいです。
最後に、このシリーズの総いいね数800超えありがとうございます!!
自己満で書いていましたが、沢山の方に読んでいただいていて光栄です…
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コメント
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( ˙-˙ )ノスッ