世界に蝕病という病気を持つ女が生まれた。この世界に生まれつき蝕まれた少女は、もうこの先誰にも気づかれることもなく消えていくのだろう。
可哀想に…
そう人々が他人事のように呟いた。
自分たちはこの先も平和に暮らしていけるだろうと確信していたからだろう。
しかしある日、世界はそんなこともおかまないなしに闇に堕ちてしまった。世界の中心が何故か崩れてきているらしい。その為出てきた世界の有害物質から人類が汚染された。
光なんてない、
人々も少女と同じようにきえていくのだろうと絶望した。
この世界は人類もろとも直に消滅する。
…あるところに一人の男と女がいた。
病気を最初に持った女、宇山と、その愛人、鞘木。
宇山は最初に病気にかかり、病気が進行していて、歩けなくなっていた。その為宇山は病室暮らしだった。もうすぐ世界も壊滅するというのに、外を自由に歩き回れなかった。宇山が聞いた。死ぬまでに何がしたいか。
鞘木が答える。
一緒に寝たいね。
まるで世界が崩壊することなんて考えてもいないようだった。
世界壊滅まで、あと2日。
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