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8 - yn×tk

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2025年05月04日

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1話の続きみたいなお話です!


夜が明ける少し前。
拓実の部屋は、まだ深い闇に包まれている。カーテンの隙間から差し込む街灯の光が、ぼんやりと天井を照らしていた。



yn「……寝ないの?」



背中越しに声がして、拓実は振り向く。そこには、ソファに浅く腰掛けた奨の姿があった。スーツのジャケットを脱ぎ、シャツの袖をまくった彼は、普通の大人。



tk「寝られるわけないやろ。奨くんに久しぶりに会って……黙ってキスして……帰ってまうん?」


yn「帰らないよ」



即答だった。


少し意地悪に言ったつもりだったのに、まっすぐなその声に、拓実は胸の奥を揺らされる。



tk「……こういうの、初めてだから。大人の人が来るの」


yn「大人の人って」



奨が小さく笑う。拓実は顔を赤くしてそっぽを向いた。



yn「……でも、ここなら安全だね。奴らは知らない」


tk「ほんとにそれだけ?本当に、俺に会いに来ただけ?」


拓実の問いに、奨は一瞬、目を伏せた。だがその沈黙のあと、静かに近づいてくる。

 


yn「……違う。半分は“逃げてきた”。でも、もう半分は——」



手が、頬に触れた。


それは、銃を握る手じゃない。誰かを傷つける手じゃない。ただ、拓実を確かめるように、そっと包む手だった。



yn「拓実に触れたくて、声が聞きたくて……それが理由じゃ足りないかな?」


tk「……足りる」



声が震えて、喉の奥が熱くなる。


この人は嘘をつく。生きるために、隠しごとをする。だけど——拓実にだけは、まっすぐな言葉をくれる。



tk「抱いて」



ぽつりと、呟いた。


奨の目がわずかに見開かれ、すぐに熱を帯びる。



yn「……いいの?」


tk「うん、いいよ。怖いのは、あんたがいなくなることの方やし」



そして、静かに唇が重なった。


ゆっくり、丁寧に、今度こそ嘘のないやさしさで。


部屋の闇の中で、二人の温度だけが確かに溶け合っていた。


夜が明けても、彼らにはまだ、朝が来ない。


だけど、それでもいいと、そう思えた。



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