「お次の方どうぞ。」呼ばれたのは、青江家だった。六十代の夫婦と、三十代の娘だった。「はじめまして。」「まあご家族でお越し頂きまして…」「今日は娘の縁談がなかなか決まりませんで、なんとかならないかと…」夫人が心配そうに言った。「お嬢様は、どんな男性がいいんでしょうか?」「私は年下でもいいんですが、出来れば料理が下手なんで作ってくれる人が。」ずいぶん我儘だと思ったが、「じゃ将来的には、あなたがご主人の分迄働けるのかしら?」「あ、それは考えて無いです。」「お母様が料理を教えたりされないんですか?」「私は何も。主人が作ってくれます。」この家は余程資産家なのだろうか?「ええ趣味だもんで。」と夫が言った。「では、お父さん教えて差し上げて下さい。嫌いなのと出来ないとは違いますから。料理をしないとなるとかなり難しいですね。」渋々納得して3人は引き上げた。
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