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光射す方へ 、背を向けて

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光射す方へ 、背を向けて

4 - 第一章 灯の届かぬ場所で __ 警告 。

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2025年08月18日

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第一章 “ 灯の届かぬ場所で ”


第四話 「 警告 」
























あの日から三日ほど経った頃だろうか

僕が 、また喜八郎の穴に落ちて

喜八郎に引き上げてもらうために待っていれば

どうやら喜八郎ではない者に引き上げられた。











『あれ 、仙蔵が手伝ってくれるなんてね 。』




「あぁ 、丁度お前に用があって立ち寄った 。

少し六年生だけで集まって話があるんだ」




「……..そういうこと 。」









きっと 、話す内容なんてアレに決まってるけど

僕はそのまま土を落とし六年長屋へと向かった

















「…..また穴に落ちていた 。」




『あはは、、ごめんねぇ…』




「はッ….まだ穴を掘ってるなんてな 。

演技のつもりか本当に好きなのかは

わっかんねぇもんだなァ…..?」




「やめろ文次郎 。それ以上話すな

私がお前を無理矢理にでも黙らすぞ 。

…….喜八郎は裏切っては無いと何度言えば__



「でもよ仙蔵 、あれを見ればよ。


……….そりゃらあ、俺だって信じたかったさ」












そう言って 、文次郎は仙蔵から視線を背けた


ろ組のふたりも視線を俯いているし


留三郎は壁を向いてて分からないし


きっと、さっきまで

その話で持ち切りだったんだろう 。







『……….喜八郎のこと 、?』









僕がそう言えば 、ピクリと動くのがわかった







「…..先に話して上がったんだが 、

やはりこの件は私達では荷が重い為 。

先生方や五年生にも言うべきだ…….と 。」





『……え?』










長次の言葉に 、僕は言葉を失いかけた 。



だって 、そんなの 。








『そんなの 、そんなの…..

密告してるようなもんじゃないかっ 、

そうすれば喜八郎がどうなるのか

お前たちはわかっているの!?!』




「わかってるよッ!!!」







僕の言葉に 、留三郎は勢いよく食いついた 。


でも 、その留三郎の顔って来たらさ…


涙と鼻水でぐしゃぐしゃだったよ笑










「俺だって 、喜八郎を

信じたいに決まってるだろう!!?

でも 、俺は….もう信じないって決めたんだ 。

それに考えて見やがれ!喜八郎を放っておいて

学園が危険にさらされたらどうするんだ!」




「そんなの……なってみないとわからん!」




「いい加減にしないか仙蔵!!

それで…..それでお前ッ….学園長や下級生を

守れるのか?!何かあってからじゃ遅いんだッ」







僕と同じ立場にいた仙蔵に文次郎が釘を刺す 。


その言葉はその場の全員に

刺さって抜けなかった 。








そして 、沈黙の間を壊したのは

いつも通り暴君だった 。













「よぉし!答えは決まったな?

きっと 、答えはひとつしかないだろう 。」


「そうと決まれば 、

さっそく五年を呼んでくるぞ!」




返事を聞かずに小平太は

いけいけどんどんに走り去っていった 。




そんな姿からか 、僕たちは少し笑がこぼれた



















「……..あのぅ..先輩方 、お話って??」




あまりの静けさに限界が来たのか

五年生を代表して兵助がそう問いかけた 。






『…..ごめんね 、急に呼び出して

少し 、喜八郎について話があって 。』




「え?喜八郎ですか?」








そう驚く様子の五年生 。

みんなが喜八郎へ向けるその思いが

今から伝えることで

変化してしまうかもしれない事が

なんとも悲しくてこちらが苦しい 。





僕が 、伝えるはずなんだけれど 。

いつまでも言わない僕を見越して 、

仙蔵が口を開いた 。









「先日 、私達は喜八郎を尾行した 。」




「 「 「 「 「えっ 、尾行!?!」 」 」 」 」




『ちょちょ仙蔵っ 、語弊があるよ……』




「ふん 、別に語弊など無い 。

喜八郎が何者かと会っているという報告があり

それを確かめるために尾行したんだ 。」




「え?!喜八郎まさか 、恋人いんの?!」




「嘘 、マジですか……ショック。」




「えー 、まぁ可愛いしそりゃあいるよなぁ 。」









「お?お前ら 、勘違いしてるな!

喜八郎は彼氏とあってるんじゃなくて 、

アヤメ城のヤツと密会をしていたのだ!!」








────────── は?!!























「….す 、すいません 。取り乱して….」




「あぁ 、大丈夫だ 。俺らもそうなったし 。」




「…..お 、おい兵助ッ!戻ってこい!!」




「….へ 、ぁ….勘右衛門 、おれ…….うそ 。」




『ごめん….皆が喜八郎を想っているのを

知ってたのに言ってしまって 。

でもこれは…..みんなの 、

お前たちの力が必要なんだ 。』




「…..頭を上げてください 、先輩 。

少し気が動転しそうでしたけど 、

先輩方は悪くないんですし…」




「なんだ 、竹谷 。

随分と喜八郎が悪いみたいな言い方だな」





「え….いやっ 、だって……!

喜八郎は裏切ったんでしょう….?

そりゃあ 、喜八郎はスキですよ 。勿論 。

でも 、裏切られた以上 、敵同然じゃないですか」







そう 、八左ヱ門が言った途端 。

空気がどっと重くなっていくのを感じた 。




きっと 、八左ヱ門が喜八郎のことを

堂々と「 敵 」と言ったからだろう 。







でも 、そんな空気にもっとモヤがかかる


















「言っちゃ悪いですけど 、

私も八左ヱ門の意見には賛成です 。

そんなのに付き合わされてたら私達 、

その城の人に呆気なくやられちゃいますよ」




「ちょっと 、言い方があるでしょ 。

でも 、僕もふたりと同意です 。

なんっつーか 、許せないです喜八郎を!!」




「…..もそ 、何故だ 。」




「何故って 、言いたくないですけど…….

絶対 、色んな人を泣かしますよ 。喜八郎は 。

昔から 、喜八郎は掴めなくてムカつく時は

ありますけど 、何も言わずそんなこと

するなんて 、一発殴らないと済まされない!」




「………まぁ 、尾浜の言うこともわかる 。

だが殴ったら私が容赦しないからな」




「じょっ…冗談ですよぉ!!」




「…….兵助は?」




「おっ…..おれは 、、」



「わかんない 、わかんないよ………

信じたいよ。でもそれじゃあダメなんだよ 。

いま 、喜八郎には裏切ったっていう

証拠しかなくて 、逆にそれを潔白できる

証拠がないんだ 。それで喜八郎を信じたって

きっと喜八郎は嬉しくないんじゃないかな 。」









涙を流しながら兵助はそういった 。


きっと 、それは本心だったんだろう 。









兵助が落ち着いて 、最後は雷蔵の話になった








「えぇ?僕….ですか 、うーん 。

僕は 、当事者じゃないので 。あんまり兎や角

決めていいものじゃないなって思ってます 。


なので 、信じる信じないは置いておいて

僕は 、綾部喜八郎の帰りを待っていたいです 。」




「雷蔵……..」




『ねぇ 、みんな 。ひとつ約束ね 。

喜八郎を信じる信じないで仲間割れはやめてね 。

そんなんで下級生が真似たら 、もし喜八郎が

戻ってきた時 、可哀想じゃないか 。

自分がされたらやな事はしないよ 。』









皆が 、僕の言ったことに頷いてくれた 。



その動きだけで 、少しは気が緩んだ 。








すると今度は 、仙蔵が再び話を出した 。







「で 、喜八郎について話はしたまでだが 。

呉々も 、今は知らないふりをしておいて欲しい。

もちろん 、先生方と私達二学年しか

知らない為 、他言無用で頼む 。」




「も 、もちろんですよ!

あの…….立花先輩 、伊作先輩の言ってた

俺たちの力がってなんですか 、?」




「…….あぁ 、お前たちには

喜八郎の監視を頼みたいんだ 。」




「監視 、ですか?」




「監視と言ってもバレない程度に 、だ

多分 、喜八郎は只者じゃないぞ。」




「……どういう意味ですか?潮江先輩___






疑問に思った勘右衛門がそう問いかけた瞬間


スパーンッ!!と勢いよく戸が開いた 。








「なッ……何故お前たちがここにいるっ…?!」




「…..滝夜叉丸 。」




「水臭いですよ 、七松先輩 。

なぜ 、あの馬鹿の一番な私に言わないのです」




「いや…..それは 、まだはやいと思って 。」




「はやいって……それじゃあ

同年代の喜八郎はどうなんですか??」








珍しい小平太の濁った返答に

さらにまっすぐ問いかける滝夜叉丸 。




一体 、ふたりはどこまで聞いていたんだろう

















「…….話をきいたのなら 、

責任を負わねばならないのだ 。

田村 、お前はそれをできるのか?」




「勿論です 。私ですよ!?

私は忍術学園のスーパーアイドルなので!!」




「田村もそう言ってるんだ 、そう固くなるな 。」








そう仙蔵が言えば 、小平太がふたりの肩を

ガッシリと掴んで離さなかった 。








「よぉし!一緒に喜八郎を助けるぞー!」




「 「 お、おー? 」 」




「声が小さいぞ!!!」









はい!!!ってまた覇気のある返事をした

ふたりにもう一度 、先日の話をした 。






話したあと開口一番に放ったのは


滝夜叉丸からの謝罪だった 。











「…..喜八郎が申し訳ございませんでしたッ!!」



『えっ?!なんで謝るの 、顔を上げてよ?!

滝夜叉丸のせいじゃないし 。

それに 、まだ決まってるわけじゃ…..』




「ですがッ!」










そう謎な言い合いをしていれば 、

再び勢いよく戸が開いた 。

















「みんなぁ〜!大変大変ッ!!」




「….タカ丸さん?どうしたんですか 、」




「あれ兵助くん?!えー皆ここにいたのっ!?

探したよー!!ってそんなバヤイじゃないの!」




「……..タカ丸 、落ち着け 。」




「あっ 、ごめん〜汗

じゃあ守一郎代わりに言ってくれない??」




「え!?オレですか!?」




「?守一郎 、どうしたんだ?」




「あっ ….あのですね 、食満先輩方 、」



「喜八郎がッ … 喜八郎が居なくなりました!!」











──────────────── はぁあ!?!!!



















その日を境に 、綾部喜八郎の姿は

忍術学園から惣然と消えた 。








そして 、もう誰も 、落とし穴のトシちゃん 。

なんて可愛い穴は存在しなくなった 












学園内では 、すっかり裏切り者の喜八郎 。



今は 、裏切ったように見えるかもしれないけど



お前がきっと戻ってくるって







僕は信じてるからね 。喜八郎 。























「…….詰めが甘いんですよ 。七松先輩 。」



「そうか….そうかっ!!」





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ふあああああああああああああああああああああああああああああああああああマジ神神神神神神神神

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